日産キューブ15X Vセレクション(FF/CVT)【ブリーフテスト】
日産キューブ15X Vセレクション(FF/CVT) 2009.03.05 試乗記 ……218万4000円総合評価……★★★★
3代目になった、シカクい日産車「キューブ」。相変わらずユニークな内外装は目を引くが、さて、肝心の乗り心地のほうは……?
長く使える“箱”
キューブはその名前のとおり、立方体をそのままデザインしたようなボディスタイリングが特徴で、固有のファンを創り出した。今度のフルモデルチェンジでは、そのカドはすっかり丸くなったものの、大きくイメージを変えてはいない。
デザイン的に、単純にリファインされたとも言いがたく、後年になって先代の方が評価されることになるやもしれない。
しかし走りの中身の方は、後述するように十分進化を遂げている。乗り心地はよく、ハンドリングも自然で、さしたる不満はない。傑出したものがなくても基本をしっかり押さえて、長期の使用で飽きることがない。実用車とはもともとそういうものであり、このキューブも、地味ながら実直にロングセラーを狙っているのだろう。極めて日産らしい製品といえる。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
「マーチ」をベースにしたコンパクトクラスのハイトワゴンとして、1998年2月に誕生。2002年10月にフルモデルチェンジを果たし、2003年9月には3列シート7人乗りバージョン「キューブ・キュービック」も追加された。
3代目となる現行モデルは先代の外観イメージをほぼ踏襲しつつ、ホイールベースを100mm延長するなどボディサイズを拡大。エンジンも先代と同じ1.5リッターユニット1種のみで、全車CVTが組み合わされる。FFのほか、モーターで後輪を駆動する「e4WD」仕様もラインナップする。
なお、今回からキューブは輸出を開始。左ハンドル仕様車は、左右非対称が特徴のリアデザインも逆転する。
(グレード概要)
「キューブ」は、エントリーグレードの「15S」、プライバシーガラスや電動格納式リモコンカラードドアミラーなど装備を追加した「15X」、さらにフォグランプやオートライトシステム、インテリジェントキーなど上乗せした「15X Vセレクション」のそれぞれにFFとe4WDをラインナップする。(今回の試乗車は、「15X Vセレクション」のFFモデル)
FFモデルに限って、ガラスルーフや障子のような風合いのシェード、カーテンエアバッグなどを標準で備える最上級グレード「15G」が選べる。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★
普通の乗用車とは違った独特の雰囲気を持つ。フロントウィンドウは立ち気味なせいもあり、ダッシュボードは短い。インストゥルメントパネルは立体的で実用性を備えたもので、助手席側は二段構え。駐車中はものを置く場所としても使えそうだ。外周の色使いを回転計と速度計で違えるなど凝ったデザインのメーターは、ややもするとオモチャっぽく感じられる。
ドライバー側のドリンクホルダーも大小あって便利。5ナンバーサイズながら室内幅は広く、インストゥルメントパネルも垂直に断ち落とされているから、横方向にウォークスルーしやすい。
(前席)……★★★★
四角いクルマらしく、天井は横にも縦にも広く伸びる。室内はやや暗く感じられるものの、キューブならではの落ちついた雰囲気を醸し出している。シートは特に凝ったものではなく、どちらかと言えば実用本位の質素なものだが、座り心地は決して悪くはない。立ち気味に座るタイプだが、座面傾斜もそこそこにあり、ソフトなクッションと相まって腰は沈み込んだうえで安定する。ホールド性もまずまず。
(後席)……★★★★
前席同様、後ろも立ち気味に座るタイプで前後方向には余裕がある。ルーフも高いから、狭苦しい感覚はない。ここも前席と同様に天井の広さに比べ、窓の開口部が相対的に小さくやや暗いが、それなりに落ちついた空間と言える。いわゆるベンチシートに近いが、そのまま横移動して歩道側に降りるのにも便利。子供なら立って移動できる天地クリアランスがある。全長4mを切る小型車の室内空間としては立派。
(荷室)……★★★
外から想像するほど狭くはない。天地方向には有利な空間で、積み方や荷物の形によってはたくさん積めそう。ここでもスクエアなボディ形状が活かされている。横開きのドアは、天井が低い駐車場などで便利。最新の冷蔵庫に見られるような、右からでも左からでも開ける構造にすれば、なお便利。このドアにまでポケットがあるのは感心だが、出っ尻気味なバンパーは服を汚しやすいので注意。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★
実用型のエンジンではあるが、1.5リッターの排気量のわりには元気な走りっぷりを示す。エンジンノイズは決して控えめとは言えないものの、不快な音質ではなく回して楽しめる。重量も1180kgと見た目のわりには軽量。コラムシフトのレバーの使いにくさなど、さらに改善する余地もあるが、ATの変速フィーリングもスムーズで特に不満点は見当たらない。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★
総じて姿勢はフラットでダンピングよく、快適な乗り心地を提供してくれる。タイヤも頑張り過ぎず適当にソフトな路面へのアタリ具合は、ファミリーカーとして適当な設定といえる。サスペンションを固めてロールに対抗するチューンが多いなかで、このクルマは適度に傾いてくれて挙動的には自然で厭味がない。パワーステアリングの操舵力は軽めながら路面反力もあり、よく切れる。ホイールベースの長さに対して回転半径が小さいのも美点である。
(文=笹目二朗/写真=荒川正幸)
【テストデータ】
報告者:笹目二朗
テスト日:2009年2月10日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2008年型
テスト車の走行距離:6065km
タイヤ:(前)175/65R15(後)同じ(いずれも、ブリヂストン B250)
オプション装備:バイキセノンヘッドランプ+アシストグリップ+SRSカーテンエアバッグ+VDC(17万3250円)/カーウイングスナビゲーションシステム+バックビューモニター+ETCユニット+ステアリングスイッチ(30万9750円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(3):高速道路(7)
テスト距離:218.2km
使用燃料:16.97リッター
参考燃費:12.86km/リッター

笹目 二朗
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