クルマ好きなら毎日みてる webCG 新車情報・新型情報・カーグラフィック
【スペック】パッソセッテG:全長×全幅×全高=4180×1695×1620mm/ホイールベース=2750mm/車重=1190kg/駆動方式=FF/1.5リッター直4DOHC16バルブ(109ps/6000rpm、14.4kgm/4400rpm)/価格=173万5000円(テスト車=210万2500円/ディスチャージヘッドランプ=4万7250円/HDDナビゲーションシステム+音声ガイダンス機能付カラーバックガイドモニター+ステアリングスイッチ=29万4000円/ETCユニット=2万6250円)

トヨタ・パッソセッテG(FF/4AT)/ダイハツ・ブーンルミナスCXエアロ(FF/4AT)【試乗速報】

勢力図を塗り替えるか? 2009.01.21 試乗記 島下 泰久 トヨタ・パッソセッテG(FF/4AT)/ダイハツ・ブーンルミナスCXエアロ(FF/4AT)
……210万2500円/245万4350円

トヨタ、ダイハツで共同開発された、コンパクトな3列シート車「パッソセッテ」「ブーンルミナス」がデビュー。最新ミニミニバンの実力やいかに?
【webCG】クルマを高く手軽に売りたいですか? 車一括査定サービスのおすすめランキングを紹介!

ミニバンっぽさが薄い

ベースになっている「パッソ/ブーン」と同じく、ダイハツ主導で開発され、トヨタにもOEM供給される3列シートのコンパクトミニバンが、「トヨタ・パッソ セッテ/ダイハツ・ブーン ルミナス」である。このカテゴリーはダイハツにとって、かつて「アトレー7」のようなモデルもあったものの、事実上は初参入。トヨタには「カローラスパシオ」や「シエンタ」のような先例もあるが、それらよりもミニバンっぽさの薄い、スタイリッシュで気軽に乗れるモデルを欲していたということで、当初ダイハツが進めていた企画に相乗りするかたちで開発が進められたそうである。

たしかにその外観は、ホイールベースの長さこそ目立っているものの、すっきりシンプルにまとめられている。低い全高、ヒンジ式のリアドアも、そんな印象に繋がっているのかもしれない。凝り過ぎたスタイリングの多い最近のトヨタ車の中では異色な感もあるし、かといってダイハツ色が強いわけでもないのは、やはり共同開発ゆえか。ダイハツの開発陣曰く、「素の状態はトヨタ寄り、エアロパーツ付きはダイハツ寄りの雰囲気」ということだが、なるほどそんな感じがしないでもない。いずれにせよミニバン的な生活感、ある種のとっつきにくさが薄めなのが特徴と言えそうだ。

ブラウンとベージュのツートーンでコーディネートされた試乗車のインテリアも、雰囲気は上々である。全体にクオリティは悪くないし、センターメーターやオーディオ周辺のデザインも凝っていて、安っぽさを感じさせないのが嬉しい。ドアミラーが三角窓を邪魔しないよう後ろ寄りに付いているおかげで、視界だって悪くない。

こちらは「ダイハツ・ブーンルミナス」。外観は装備の違いを除いて、基本的にはエンブレムが異なるだけ。
こちらは「ダイハツ・ブーンルミナス」。外観は装備の違いを除いて、基本的にはエンブレムが異なるだけ。 拡大

トヨタ・パッソセッテG(FF/4AT)/ダイハツ・ブーンルミナスCXエアロ(FF/4AT)【試乗速報】の画像 拡大

トヨタ・パッソセッテG(FF/4AT)/ダイハツ・ブーンルミナスCXエアロ(FF/4AT)【試乗速報】の画像 拡大
トヨタ パッソセッテ の中古車webCG中古車検索

インテリアは好印象

フロントシートはベンチタイプ。オーソドクスな形状だが、しなやかなクッションには案外コシもあって、短時間の試乗の印象としては、掛け心地には満足できた。

特等席は2列目だ。シートは左右分割して最大150mmのスライドと20度のリクライニングが可能。コンパクトカーらしからぬ余裕を満喫できる。ヘッドレストが3人分ちゃんと用意されているのも評価したいが、シートベルトは中央席は2点式でしかない。後席シートベルト着用は義務なのだから、今や2点式はナシだろう。
3列目に座るには2列目シートを前に出す必要がある。しかし2列目を自分自身が座れるギリギリの位置に設定しても、3列目では膝下が2列目シートバックに密着してしまう。足下フロアをえぐるなど工夫はされているのだが、やはり全高の低さは補えていない。スライドドアではないということも含めて、やはり3列目はたまにだけ使うものという設定なのだ。

普段、荷室として使う時には、3列目はヘッドレストを外して背もたれを前倒しできるし、左右分割式の2列目も倒せば前後長1810mmのフラットなスペースを生み出すこともできる。シートアレンジの範囲はこれだけと簡素だが、実際の使い勝手を考えれば、煩雑になるより余程いい。

そんなふうに全般に印象は悪くないインテリアだが、ガッカリしたのはパッソ セッテのベースグレード「X」で、サイド&カーテンエアバッグがオプションとなることだ。トヨタは昨年のイスト以降、新登場モデルにはすべてこれらを標準装備化すると宣言していたはず。どんな理由を並べられようと、トヨタが率先してそんなことをやっているようでは先行きは暗い。
ちなみにブーン ルミナスも、これは全車オプション。サイド&カーテンエアバッグの代わりとして、ミュージックサーバー機能付きのオーディオが標準装備となるそうである。

乗り心地の良さが印象的

走りっぷりは、際立ったなにかがあるわけではないが、おおむね不満のない出来映えと言える。3名乗車で市街地を中心に走行した限り、4段ATとの組み合わせとなる1.5リッターエンジンの力は十分。7人乗れば物足りなさもあるだろうが、致命的なほどではない。むしろ強化してほしいのは、いったんある程度の制動力が立ち上がった後の踏み増しに、今ひとつリニアに応えてくれないブレーキのほうだ。

印象的なのは、乗り心地の良さである。カッチリとしたボディとしなやかなサスペンションのマッチングは良く、路面が多少荒れていようが快適さをキープする。特に、実はミニバンが苦手としがちな2列目は、直接的なショックが伝わってこず、安楽そのもの。一方、3列目は突き上げが大きいが、後輪の真上に座っているだけに、仕方のないところだろう。

2008年下半期、国内でもっとも多くの台数を売り上げたのは「ホンダ・フリード」だったという。今や多くの人がミニバンの便利さを知っており、手放せないと思っているが、一方でサイズはそれほど大きくなくていいと思っているということだろう。見た目も機能も、よりミニバンらしく3列目までしっかり座れるフリードとは狙いが微妙に異なるとはいえ、市場では間違いなく競合するはずだ。いや、こちらの2台は価格も、サイド&カーテンエアバッグ付きのモデルでもフリードよりはかなり抑えられているだけに、あるいは大きな勢力図の塗り替えも起こるかもしれない。

(文=島下泰久/写真=高橋信宏)

【スペック】ブーンルミナスCXエアロ:全長×全幅×全高=4195×1695×1620mm/ホイールベース=2750mm/車重=1190kg/駆動方式=FF/1.5リッター直4DOHC16バルブ(109ps/6000rpm、14.4kgm/4400rpm)/価格=188万円(テスト車=245万4350円/ディスチャージヘッドランプ=4万7250円/HDDナビゲーションシステム+音声ガイダンス機能付カラーバックガイドモニター+ステアリングスイッチ=25万9350円/ETCユニット=2万6250円/セーフティパック=7万3500円/リアエンターテイメントシステム=10万5000円/VSC=6万3000円)
【スペック】ブーンルミナスCXエアロ:全長×全幅×全高=4195×1695×1620mm/ホイールベース=2750mm/車重=1190kg/駆動方式=FF/1.5リッター直4DOHC16バルブ(109ps/6000rpm、14.4kgm/4400rpm)/価格=188万円(テスト車=245万4350円/ディスチャージヘッドランプ=4万7250円/HDDナビゲーションシステム+音声ガイダンス機能付カラーバックガイドモニター+ステアリングスイッチ=25万9350円/ETCユニット=2万6250円/セーフティパック=7万3500円/リアエンターテイメントシステム=10万5000円/VSC=6万3000円) 拡大

トヨタ・パッソセッテG(FF/4AT)/ダイハツ・ブーンルミナスCXエアロ(FF/4AT)【試乗速報】の画像 拡大

トヨタ・パッソセッテG(FF/4AT)/ダイハツ・ブーンルミナスCXエアロ(FF/4AT)【試乗速報】の画像 拡大
島下 泰久

島下 泰久

モータージャーナリスト。乗って、書いて、最近ではしゃべる機会も激増中。『間違いだらけのクルマ選び』(草思社)、『クルマの未来で日本はどう戦うのか?』(星海社)など著書多数。YouTubeチャンネル『RIDE NOW』主宰。所有(する不動)車は「ホンダ・ビート」「スバル・サンバー」など。

試乗記の新着記事
  • 日産エクストレイルNISMOアドバンストパッケージe-4ORCE(4WD)【試乗記】 2025.12.3 「日産エクストレイル」に追加設定された「NISMO」は、専用のアイテムでコーディネートしたスポーティーな内外装と、レース由来の技術を用いて磨きをかけたホットな走りがセリングポイント。モータースポーツ直系ブランドが手がけた走りの印象を報告する。
  • アウディA6アバントe-tronパフォーマンス(RWD)【試乗記】 2025.12.2 「アウディA6アバントe-tron」は最新の電気自動車専用プラットフォームに大容量の駆動用バッテリーを搭載し、700km超の航続可能距離をうたう新時代のステーションワゴンだ。300km余りをドライブし、最新の充電設備を利用した印象をリポートする。
  • ドゥカティXディアベルV4(6MT)【レビュー】 2025.12.1 ドゥカティから新型クルーザー「XディアベルV4」が登場。スーパースポーツ由来のV4エンジンを得たボローニャの“悪魔(DIAVEL)”は、いかなるマシンに仕上がっているのか? スポーティーで優雅でフレンドリーな、多面的な魅力をリポートする。
  • ランボルギーニ・テメラリオ(4WD/8AT)【試乗記】 2025.11.29 「ランボルギーニ・テメラリオ」に試乗。建て付けとしては「ウラカン」の後継ということになるが、アクセルを踏み込んでみれば、そういう枠組みを大きく超えた存在であることが即座に分かる。ランボルギーニが切り開いた未来は、これまで誰も見たことのない世界だ。
  • アルピーヌA110アニバーサリー/A110 GTS/A110 R70【試乗記】 2025.11.27 ライトウェイトスポーツカーの金字塔である「アルピーヌA110」の生産終了が発表された。残された時間が短ければ、台数(生産枠)も少ない。記事を読み終えた方は、金策に走るなり、奥方を説き伏せるなりと、速やかに行動していただければ幸いである。
試乗記の記事をもっとみる
トヨタ パッソセッテ の中古車webCG中古車検索
関連キーワード
関連サービス(価格.com)
新着記事
新着記事をもっとみる
車買取・中古車査定 - 価格.com

メルマガでしか読めないコラムや更新情報、次週の予告などを受け取る。

ご登録いただいた情報は、メールマガジン配信のほか、『webCG』のサービス向上やプロモーション活動などに使い、その他の利用は行いません。

ご登録ありがとうございました。

webCGの最新記事の通知を受け取りませんか?

詳しくはこちら

表示されたお知らせの「許可」または「はい」ボタンを押してください。