トヨタ・パッソセッテ G Cパッケージ(4WD/4AT)【ブリーフテスト】
トヨタ・パッソセッテ G Cパッケージ(4WD/4AT) 2009.02.17 試乗記 ……208万3250円総合評価……★★★★
トヨタの7人乗り3列シートミニバン「パッソセッテ」。アクティブママ!?をターゲットに、コンパクトボディで使いやすさをアピールするニューモデルを試す。
手元に置くのにちょうどいい
“ちょうどいい”を連呼するのはライバルのCMだが、このパッソセッテの印象はまさに“ちょうどいい”。嫌みのないデザインにストレスを感じさせないサイズ、贅沢すぎないパワートレインなど、ファミリーカーとして手元に置くにはちょうどいいコンパクトミニバンである。
実際に運転してみても、これなら「運転が苦手」という女性でも扱いやすそうだし、ガソリンをガバガバ使うタイプじゃないのでお財布にも優しいはずだ。乗せられる側にまわっても、サードシートに長時間押し込められないかぎりは不満も出ない。
ハンドルを握って楽しいタイプではないが、世の中、全部が全部、そんなクルマである必要はないわけで、ときどきサードシートを使う程度のファミリーには、便利で手堅い選択だと思う。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
2008年12月25日、トヨタ自動車とダイハツ工業から発売した7人乗り3列シートのコンパクトミニバン。トヨタは「パッソセッテ」、ダイハツは「ブーンルミナス」。開発・生産はダイハツが担当する。
文字どおり「パッソ/ブーン」をベースに、ホイールベースを延長して3列乗車を実現。アクティブな子育て女性がターゲット。
エンジンは「トヨタ・ラッシュ」「ダイハツ・ビーゴ」などにも採用される、可変バルブタイミング機構を備えた「3SZ-VE型」1.5リッター直4ユニット。最高出力109ps/6000rpmと最大トルク14.4kgm/4400rpmを発生する。組み合わされるトランスミッションは4段のオートマチックのみ。それぞれFFと4WDが用意される。
(グレード概要)
スポーティな「S」、充実装備の「G」、ベースモデル「X」の3モデル。「S」「G」には、廉価仕様の「Cパッケージ」が用意される。
テスト車「G Cパッケージ」の4WDモデル。タコメーター付きセンターメーターやサイドターンランプ付き電動格納式リモコンドアミラーなどが装備される。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
中央にメーターを配置したインパネは、シンプルなラインと小振りのセンタークラスターのおかげで、広々とした印象を与えてくれる。このあたりは、ダイハツ(パッソセッテの開発はダイハツが担当している)が軽自動車で培ったノウハウだろうか?
インパネ上部には、最近トヨタのクルマでよく見る線状のシボが施され、安っぽい感じがしないのはいいが、ダークブラウンのカラーや真面目すぎるデザインのせいか、楽しい雰囲気が乏しいのが惜しい。
センターメーターはアナログ式の速度計と回転計が備わる。試乗した「G Cパッケージ」は「G」の廉価版ということでパネルのデザインがシンプルになる。それ自体は気にならないが、瞬間燃費や平均燃費が表示可能なマルチインフォメーションディスプレイが省かれるのは残念。燃費に敏感な人が増えているこのご時世、燃費計くらいは標準装備してほしいものだ。
(前席)……★★★★
G Cパッケージの前席にはベンチシートが採用されている。もちろん、運転席、助手席は別々にスライド可能。運転席側に付属するセンター部分はアームレストを引き出して使ったり、あるいは小物置き場として利用できるのが便利だ。ベージュ系のファブリックシートは、適度な張りと硬さがあって、座り心地は快適。シートリフターやチルトステアリングなどの調整機能も有効だ。欲をいえば、ステアリングにテレスコピック調整があればよかった。
アイポイントが高いおかげで見晴らしは良く、コンパクトなボディサイズも手伝って、街なかでも扱いやすいのがありがたい。
(2列目シート)……★★★★
スライド、リクライニング機能を持つセカンドシート。一番前のポジションでも膝は前のシートにあたらず、爪先もシート下に収まるから、さほど窮屈ではない。シートを後ろに下げれば足が組めるほど余裕があり、4名乗車なら下手なラクシャリーサルーンよりくつろげるだろう。中央席にはヘッドレストが備わり、シートバックも硬くないので、横方向の余裕さえ気にしなければ、サードシートに座るよりも楽。それだけに、ここにも3点式シートベルトがほしいところだ。
(3列目シート)……★★★
セカンドシートを後ろに下げるとさすがに窮屈だが、少し前に出してもらえばなんとかニールームが確保できる。ヘッドルームも必要十分だが、どうしても膝が立つような姿勢になるので、大人が長い時間乗るには不向きだろう。
ちなみに、ドライバーからは、大きなヘッドレストが後方視界の妨げになるが、使わないときにはヘッドレストだけ、あるいはシートを収納すればいい話なので、とくに気にする必要はない。
(荷室)……★★★
サードシートを起こしたままの状態では、さすがに奥行きは足りないが、ふだんはサードシートを収納して使うことが圧倒的に多いだろうから、それで得られる90cm弱の奥行きは十分な広さだ。さらにセカンドシートまで倒せば約180cmまで広がるので、大きな荷物があるときでも安心だ。
ただ、サードシートのシートバックが分割可倒式ではないのと、ヘッドレストをいちいち外さければならないのが面倒なところ。まあ、そう頻繁にするわけではないが……。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★
1.5リッターエンジンと4段オートマチックはともにダイハツ製。10・15モード燃費は14.6km/リッターで、トヨタのCVTを使えばさらに燃費が改善できそうだが、パワートレインの“相互乗り入れ”はそう簡単には実現しないとのことだ。
しかし、実際に運転してみると、このパワートレインのスムーズさには目を見張るものがあり、とくにシフトショックとは無縁のATは、CVTかと思うほど。エンジンはトルクに余裕こそないが、ふつうに走るには必要十分な性能といえる。やや心もとないブレーキは改善の余地あり。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★
ファミリーカーにふさわしい、しなやかなサスペンションを備える「パッソセッテ」。おおむね乗り心地は良く、一般道、高速を問わず、まずまずのフラットさを示す。ただ、装着されるタイヤが185/55R15のスポーツ系タイプなので、路面の荒れを拾いがち。できればコンフォート系に変えてほしい。セカンドシートの乗り心地も快適。それに比べると、サードシートは、目地段差などを通過したときのショックがやや大きめになるが、それでも十分合格点を与えられる。
高速走行時は、直進安定性に不満はないが、ステアリングの中立付近がややあいまいで、少し切ると急に曲がり始める動きに違和感を覚えた。
(写真=峰昌宏)
【テストデータ】
報告者:生方聡
テスト日:2009年1月30日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2008年型
テスト車の走行距離:1485km
タイヤ:(前)185/55R15(後)同じ(いずれも、ブリヂストンPOTENZA RE040)
オプション装備:HDDナビゲーションシステム+音声ガイダンス機能付きカラーバックモニター+ステアリングスイッチ(29万4000円)/ETCユニット(2万6250円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(4):高速道路(6)
テスト距離:214.3km
使用燃料:19.06リッター
参考燃費:11.24km/リッター

生方 聡
モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。
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