6代目「メルセデスSLクラス」、世界初公開【デトロイトショー2012】
2012.01.10 自動車ニュース【デトロイトショー2012】6代目「メルセデスSLクラス」、世界初公開
1月9日のプレスデイで開幕する、2012年の北米国際自動車ショー(デトロイトショー)。その前日に行われたメルセデス・ベンツの前夜祭「ニュー・イヤー・レセプション」において、新型「メルセデス・ベンツSLクラス」が世界初公開された。
■久々の世代交代
メルセデス・ベンツ・ブランドを統括する、ダイムラーのディーター・ツェッチェ会長のスピーチから始まったメルセデス・ベンツの前夜祭。ツェッチェ会場から報告された「2011年の輝かしい販売実績」は、もちろん注目に値する話題だったが、ホテルの広間にあふれんばかりのプレスがつめかけたその最大の理由は、11年ぶりにフルモデルチェンジをとげた新型「SL」の姿を見ることに他ならない。
ツェッチェ会長のスピーチが終わると、1952年に発表された、「SL」の始祖となるレーシングカー「300SL」、そのなかでも2番というシャシーナンバーを持つ最初期の、しかもフルレストアで新車と見間違うほどきれいに仕上げられたモデルが登場した。往年の名車を前にセールス・マーケティング担当のヨアヒム・シュミット氏が、初代「SL」にまつわる逸話を紹介。さらに新型のさまざまなテクノロジーが解説される。そのあとついに、お待ちかねの新型「SL」がひな壇に現れた。
展示されたのは2台。どちらもV8エンジンを搭載した上級モデルの「SL500」だ。1台はレッド、もう1台はシルバーで、シルバーのモデルは「エディション1」と呼ばれる特別仕様車。「AMGボディスタイリング」「スポーツサスペンション」「AMG19インチホイール」「デジーノ・ナッパレザーシート」などが、特別装備として与えられている。
■どこを見ても艶やか
新型「SL」のスタイリングの特徴は、ひと言で表現するならば“艶(あで)やかさ”だ。先代の「SL」よりも鮮麗さが増している。初代「300SLロードスター」を彷彿(ほうふつ)させるフロントフェンダーのエアアウトレットや、ドアからリアフェンダーへと流れるショルダーラインがそう感じさせるのかもしれない。フロントまわりは「SLS AMG」などに通じる“最新のメルセデス・ベンツ顔”だが、角型のヘッドランプは、どことなく3代目「SL」のR107型風だ。
バリオルーフによる制約が大きいのか、フォルム自体は先代モデルにかなり近い。そのため、近代のエアロダイナミクスデザインを取り入れた4世代目、バリオルーフを採用した5世代目のときのようなドラスティックな変化は見られない。ボディー全体がアルミ製になったことを表現する要素も、特に盛り込まれてはいない。もちろん、ただ変わればいいというものではないが、多少の物足りなさが感じられるのも事実だ。
インテリアは、「SLS AMG」や弟分の「SLK」に準ずるデザインだ。ただし、それらに比べてクロムやウッドが多用されており、エクステリア同様、艶やかさが増している。もちろん、「SL」に不可欠なスポーティーさも十分。また、カーナビなどを表示する液晶モニターをセンターパネル上部の一等地に配し、ユーティリティーのニーズにもしっかりと応えるなど、機能性への配慮も万全である。
アルミ製ボディーの採用によりホワイトボディーで110kg、車両全体で最大140kg軽くなった(「SL350」の場合)ことをはじめ、機能面についてはすでにリポートした以上のアナウンスはなかったが、軽量化とアジリティー、そして安全性の3つを高い次元で成立させたことは、強くアピールされた。
(文と写真=新井一樹)