アウディA4アバント3.2 FSI クワトロ(4WD/6AT)/1.8 TFSI(FF/CVT)【試乗速報】
がんばれワゴン! 2008.08.05 試乗記 アウディA4アバント3.2 FSI クワトロ(4WD/6AT)/1.8 TFSI(FF/CVT)……754.0万円/482.0万円
もしかしたら、もう一度ステーションワゴンが脚光を浴びる時代が来るかもしれない――。新型「アウディA4アバント」は、そんな期待を抱かせるほどよく出来ていた。
ワゴン冬の時代だけれど……
「トヨタ・カルディナ」や「日産ステージア」の名前がカタログから消えてしまったことにお気づきでしょうか? ホンダのホームページをのぞくと、「現行アコードワゴンのオーダー受付は終了させていただきました」と書いてあったりする。
日本におけるステーションワゴンの売り上げは激減していて、ここ10年で4割近くも減ったという統計もある。売れないから作らない、作らないから売れない。てな具合に、ステーションワゴンは負のスパイラルに陥っている。
でも、燃費が大きな関心事になったいま、ミニバンに流れたお客さんの一部がワゴンに戻ってくる可能性はあると思う。また、流行にのってミニバンを買ったけれど冷静に考えると8人乗りは大きすぎた、なんていうケースも結構あるのではないか。
4人家族のわが家だと、8人乗りミニバンは大きすぎる。たまに仕事で乗って帰った3列シートのミニバンに家族で乗るとサイズが合わなくて、あの時と同じだと思う。あの時とは、「すぐに背が伸びるから」と言われてブカブカの詰め襟を着せられた中学校の入学式。確かにすぐに背は伸びたから詰め襟はピッタリになったけれど、子どもは(多分)増えないのでミニバンはブカブカのままだ。
そんなこんなで、いまは5ドアハッチバックと暮らすわが家、2人の豚児がもう少し大きくなって荷物が増えたらワゴンかな〜、てなことを考えるようになった。だから日本への導入が始まった「アウディA4アバント」には興味津々なのだ。
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もしも一家に一台しか所有できないのなら
日本への導入が始まったのは、FFのA4アバント 1.8TFSIと、4WDのA4アバント 3.2FSIクワトロの2グレード。前者が直列4気筒+ターボ、後者がV型6気筒で、どちらも直噴エンジン(FSI)となる。つまり、エンジンのラインナップはA4セダンと共通だ。
主に試乗したのは、3.2FSIクワトロ。前から、横から、後ろから、どこから見てもハンサムで利口そうなA4アバントのフォルムを確認してから乗り込む。シフトセレクター脇のエンジンスタートボタンを押してエンジン始動、スイッチ式のパーキングブレーキを解除して、いざ発進。
V6ユニットは、市街地では黒子に徹している。静かにスムーズに、なるべく存在感を消しつつも、豊かなトルクだけを供給する。面白いのは、アクセルペダルを踏み込んでエンジン回転数が3500rpmを超えたあたりから「フォーン」というキモチいい音を発して、スポーティなエンジンに“変身”すること。
乗り心地にも同じようなことが言える。ゆっくり走っていると、ひたすら滑らかで繊細な乗り心地を味わうことができる。そしてスピードを上げれば上げるほど、足まわりは強靱かつ筋肉質に“変身”するから、ドライバーは溜飲を下げることになる。
お買い物の時はオシャレでしなやかに、いっぽう高速やワインディングロードをぶっ飛ばす時にはダイナミックに。一粒で二度おいしいA4アバントは、一台しかクルマを所有できないわが家みたいな事情だと大変に嬉しい。
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18インチタイヤまで履きこなす足まわり
続いて、荷室をチェック。フロアはフラットで、いかにも使い勝手がよさそう。ゴルフをやる人には、ゴルフバッグを横にふたつ置けるということが嬉しいだろう。ヘッドレストを外さずに後席を倒せるのも便利だ。
A4はワゴンではなく“アバント”なんていう洒落たネーミングを使うから、カッコ優先で荷物は載らないと思いがちだ。けれど、ラゲッジスペースの容量は「BMW3シリーズ」や「メルセデス・ベンツCクラス」のワゴンを上まわる。
ちょい乗りしかできなかったけれど、A4アバント1.8TFSIにも簡単にふれておきたい。結論から言うと、こっちで充分。どんな場面でも力不足を感じることはなかった。それもそのはず、1.8リッターとはいえターボの恩恵で先代A4が積んでいた2.4リッターV6ユニットとほぼ同じ性能を確保しているのだ。
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ただし、今回の試乗は1名ないしは2名乗車で行ったので、5人が乗って荷物も満載、なんていうシチュエーションで比べると差が出るのかもしれない。
試乗したA4アバント1.8TFSIは35万円のオプションの「Sportパッケージ」付きの仕様で、タイヤは245/40R18サイズ(ノーマルは245/45R17)。けれども、18インチタイヤのせいで乗り心地が悪く不満を抱くということはなかった。
もう少しお手頃な“クワトロ”が欲しい
で、「1.8で充分」と言った舌の根も乾かぬうちにこんなことを書くと閻魔様に舌を抜かれそうですが、真剣にA4アバントの購入を考えるのであればやはりFFではなくクワトロが欲しい。クルマ好きという人種は、タイヤさえスタッドレスに換えればバビューンと北の果てまで行ける、なんてところに夢を感じたりするものなのだ。
そう考えると、663万円の3.2(クワトロ)と437万円の1.8(FF)の間に、もうひとつクワトロ仕様があると嬉しい。そんなあたりまえのこと、アウディ・ジャパンはとっくに考えているのでしょうが、500万円を切る価格設定のクワトロがあれば、個人的にはかなりグッとくる。いや、希望を言えば448万円くらいで。
冒頭で、ワゴンが売れなくなったと書いたけれど、それには欲しくなるようなステキなモデルがないという理由も少なからずあるのではないか。だって、A4アバントには、かなり心が動かされるのである。先代の数字だけど、日本においてはA4セダンとA4アバントの割合はほぼ50:50だという。いいワゴンがあれば選ぶ人もかなりいるのだ。
近い将来にワゴンを買うかもしれない潜在ユーザーとしては、A4アバント以外にも魅力的なワゴンがバンバン出てきてほしい。そして激烈な価格競争、熾烈な性能競争、血で血を洗う燃費競争(!)が繰り広げられてワゴン全体がレベルアップすると、非常に嬉しい。
(文=サトータケシ/写真=荒川正幸)

サトータケシ
ライター/エディター。2022年12月時点での愛車は2010年型の「シトロエンC6」。最近、ちょいちょいお金がかかるようになったのが悩みのタネ。いまほしいクルマは「スズキ・ジムニー」と「ルノー・トゥインゴS」。でも2台持ちする甲斐性はなし。残念……。
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