美術館でF1展 〜東京オペラシティアートギャラリーで「F1 疾走するデザイン」が開催中〜
2008.04.23 自動車ニュース美術館でF1展 〜東京オペラシティアートギャラリーで「F1 疾走するデザイン」が開催中〜
東京・新宿の「東京オペラシティアートギャラリー」で企画展「F1 疾走するデザイン」が、2008年4月12日から始まった。
■主役は8台の歴代マシン
博物館ならともかく美術館でF1展とは、意外に感じる人もいることだろう。なぜ美術館かといえば、その理由はタイトルにもあるとおり、F1における「デザイン(設計)」をテーマとした展覧会であるから。2006年に英国ロンドンのデザインミュージアムによって企画され、翌2007年にはフィンランドのヘルシンキで開催、そして今回の東京へと続く国際巡回展である「F1 疾走するデザイン」。F1が発展するプロセスにおいてデザインが果たしてきた役割を、F1が始まった1950年から現在に至る、各年代を代表するマシンを中心に検証するというのが、そのコンセプトなのだ。
会場の主役は、前述したように年代順に並べられた実物のF1マシン。1958年にF1にミドシップを持ち込んだクーパーが、翌59年に王座を獲得した「クーパーT51」、3リッター時代の幕開けとなった66年シーズンのチャンピオンマシンである「ブラバムBT20」、76年に富士スピードウェイで開かれたF1選手権イン・ジャパンの優勝車である「ロータス77」、88年に全16戦中15勝を記録した「マクラーレン・ホンダMP4/4」、92年にナイジェル・マンセルがチャンピオンを獲得した「ウィリアムズ・ルノーFW14B」、2004年に佐藤琢磨らが駆った「BARホンダ006」(カラーリングは2008年のホンダF1)、そして2005年にミハエル・シューマッハらがドライブした「フェラーリF2005」(カラーリングはF2008)である。
■カットモデルやパーツの展示も
そして「勝つための、研ぎ澄まされた究極のデザイン」を細部にわたって紹介するサンプルとして、2005年のチャンピオンマシンである「ルノーR25」(カラーリングはR27)のカットモデルおよびパーツ類も展示。併せて掲げられた詳細な解説ボードをじっくり読めば、F1マシンの構造が理解できる仕組みとなっている。そのほかホンダのF1エンジン単体やブリヂストンのF1用タイヤの展示、F1の歴史を年代順に追ったパネル展示、さらに映像資料を見せるコーナーもあるなど、展示内容は充実している。
展示内容もさることながら、F1マシンをはじめとする展示品に添えられた解説文が、非常に正確、かつわかりやすく書かれているのも好印象だった。同様にCS放送のF1解説でおなじみの小倉茂徳氏らが執筆した、F1の歴史をコンパクトにまとめた関連パンフレット(800円)も、なかなかの力作である。総じてF1のビギナーからマニアまで楽しめると同時に、知的好奇心を刺激される展覧会と言っていいだろう。
この「F1 疾走するデザイン」は、6月29日(日)まで開催されている。開館時間は11:00〜19:00(土・日は20:00まで)、休館日は月曜(ただし4/28、5/5は開館)、入場料は一般1200円、大学・高校生1000円、中・小学生600円。問合せは東京オペラシティアートギャラリー(TEL:03-5353-0756 http://www.operacity.jp/ag/)まで。
(文と写真=田沼 哲)
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