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【スペック】全長×全幅×全高=4420×1840×1305mm/ホイールベース=2650mm/車重=1620kg/駆動方式=FR/3.8リッターV6DOHC24バルブ(350ps/7200rpm、40.5kgm/4800rpm)/価格=539万7000円(テスト車=569万1000円/カーウイングスナビゲーションシステム=26万7750円/ETCユニット=2万6250円)

日産フェアレディZ バージョンNISMO Type 380RS(FR/6MT)【試乗記】

扱いやすく、レスポンスの良いエンジンが魅力 2007.12.20 試乗記 生方 聡 日産フェアレディZ バージョンNISMO Type 380RS(FR/6MT)
……569万1000円

レーシングエンジンと同様のパーツを組み込んだ、専用の3.8リッターユニットを搭載するクルマが「フェアレディZ バージョンNISMO Type 380RS」。レーシングエンジンと聞くと気むずかしい印象があるが……。
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究極の「Version NISMO」

「GT-R」不在の日本のモータースポーツシーンにおいて、ここしばらく日産の顔として存在感を高めてきたのが「フェアレディZ」である。そしてその活動をワークスとして支えてきたのが、NISMO(ニッサン・モータースポーツ・インターナショナル)であることはご存知のとおり。

そのニスモがレースでの経験を武器に手がけたのがZのコンプリートカー「バージョンNISMO」。大型のリップスポイラー付きフロントバンパーや、ディフューザーとして機能するリヤバンパー、派手なリヤスポイラーなどにより、高速時にダウンフォースを生み出すエアロフォルムを実現したことに加えて、剛性アップのためにボディを補強したり、ハイグリップタイヤやブレンボ製ブレーキ、専用チューンのサスペンション、YAMAHA製パフォーマンスダンパーを与えることなどにより、見かけとは裏腹に(!?)、実にバランスのいい大人の走りを実現していたことは、以前にも報告した。

これだけでも十分魅力的といえるのだが、ノーマルのままだったエンジンに手を加えることでさらにスペシャルなZを目指したのが、今回紹介する「バージョンNISMO Type 380RS」。ニスモはレース専用車両の「バージョンNISMO Type 380RS-Competition」向けにVQ35HRを3.8リッターに排気量アップしたエンジンを投入しているが、そのレーシングエンジンを公道で使用できるようにデチューンし、バージョンNISMOに搭載したというわけだ。

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スペシャルZは300台限定販売

380RSの専用エンジンは、標準のVQ35HRのストロークを7mm伸ばし、ボア95.5×ストローク88.4mmとすることで排気量を3798ccまで高めるとともに、専用のアルミ鍛造ピストンや、強化素材を用いたクランクシャフトとコンロッドの採用、さらにカムプロファイルやバルブリフト量の変更などにより、最高出力350ps/7200rpm、最大トルク40.5kgm/4800rpmを達成。これはノーマルの3.5リッター比べて、37ps、4.0kgmの性能アップになる。

ラインアップは6段マニュアルのみ、エンジンが300基の限定生産ということで、380RSも300台の限定販売になる。価格はバージョンNISMOの6MT仕様に対して、ほぼ100万円プラスの539万7000円。そのわりに外観は、380RSのリヤに「RS」のバッジが付く程度で、両者の判別はほとんど不可能。一方、窓越しに室内を覗くと、ステアリングホイールの一部やシフトレバー、パーキングブレーキレバーに赤の本革があしらわれていて、オーナーの心をくすぐる演出に抜かりはなかった。

NA350psの快感

さっそくイグニッションキーを捻るが、レーシングエンジンに由来するとはいえ、そこはニスモが市販化するだけあって、エンジンは始動一発、神経質さなど一切感じられない。やや重たいクラッチをつないで発進すると、低回転から豊かなトルクが発揮され、“下がスカスカ”なんて心配は無用。むしろ、ノーマル以上に扱いやすい性格にまずは一安心だ。

ここで、アクセルペダルを少し踏み込むと、それまで秘めていた本性を見せ始めた。このエンジン、とにかくレスポンスがいい。右足の動きに即座に呼応して、どこからでも太いトルクを絞り出し、回転計を押し上げていくという感じなのだ。とくに力強いのが4500rpmを超えたあたりからで、ベースのVQ35HRに輪を掛けて、スムーズかつリニアに吹け上がっていくさまは、大排気量自然吸気エンジンの醍醐味。NAエンジン派にはたまらない快感である。

気持ちよく乗るにはコンディションも大切

走りに関する部分は、バージョンNISMOをそのまま受け継ぐという380RS。マニュアル仕様なら車両重量も同じというこの2台だが、印象はやや違っていた。

コーナーでは相変わらず軽快にノーズの向きを変え、コーナリングが楽しい380RSではあるが、乗り心地に以前試乗したバージョンNISMOのマイルドさがなく、一般道では路面からのショックを伝え、高速でもフラット感がいまひとつという印象だった。タイヤやサスペンションはバージョンNISMOと同じパーツを使っているとのことで、そうなると疑わしきはタイヤの減りやダンパーのヤレなど。
たしかに試乗車として2万kmも酷使されたら乗り心地は悪化するわけで、コンディションさえよければ、予想どおりの快適さを味わえたのではないか……。

まあ、それはさておき、380RSがバージョンNISMOの魅力を一段も二段も引き上げたのは確実であり、300台限定のこのスペシャルなZを手にする人を私は羨むばかりである。

(文=生方聡/写真=郡大二郎)

生方 聡

生方 聡

モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。

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