トヨタ・ヴォクシーZS(FF/CVT) vs 日産セレナ ハイウェイスター(FF/CVT)【短評(後編)】
トヨタが売れるワケ(後編) 2007.12.19 試乗記 トヨタ・ヴォクシーZS(FF/CVT) vs 日産セレナ ハイウェイスター(FF/CVT)……245万7000円/240万4500円
(車両本体価格)
人気のミニバン「日産セレナ」と「トヨタ・ヴォクシー」に試乗。2台を比べてみると相対的なキャラクターの違いが明らかに。
『CAR GRAPHIC』2007年11月号から転載。
質感のヴォクシー、広さのセレナ
ヴォクシーのボディサイズは全長×全幅×全高=4640×1720×1850mmで、ホイールベースが2825mm。セレナ・ハイウェイスター(4725×1725×1840mm、WB=2860mm)に比べると、スペック上はわずかに小さいが、感覚的には大差なく、どちらも背は高いが運転席への乗り降りにも不都合は感じられない。街中での取り回しも似たようなものだ。
けれども運転席の眺めには大きな違いがあって、たとえばダッシュボードのレイアウトなど、セレナのオーソドックスな作りに対し、ヴォクシーはいかにも若者が好みそうな現代的なデザインを採用する。このあたりは好き嫌いがはっきりと現われるところだろう。
ただしインテリアの質感、特にダッシュボードやドア・トリムなどに使われるプラスチック系素材の質感では、誰もがヴォクシーに好感を抱くはずだ。ダッシュボード表皮の革シボのきめ細かさなど、ひとクラス上の仕上がりを見せ、安っぽさを感じさせないところにトヨタの巧さが光る。
同じ3列シートの2台でもシートアレンジは微妙に異なるが、どちらも工夫たっぷり、実によく考えられている。中でも感心したのはヴォクシーの3列目シートで、レバーを引くだけで自動的にシートバックが折り畳まれ、内蔵のスプリングによって左右に跳ね上がる構造にはアイデア賞を贈りたい。重いシートを格納するのはけっこう骨の折れる作業なので、特に女性ユーザーに喜ばれるはずだ。
いっぽう、セレナの長所は室内の広さにある。全長とホイールベースの長さを利して、3列目にもしっかりとレッグスペースを確保できている。2台の違いは写真を見てのとおり。2列目足下に余裕を作ると、ヴォクシーの3列目には必要最低限の空間しか残らなかった。