第65回:Roy Graceを偲ぶ(その3)
2007.09.01 広告のススメ第65回:Roy Graceを偲ぶ(その3)
アメリカ広告全盛期に活躍したアート・ディレクター、ロイ・グレース氏の名作を紹介する。今回は、フォルクスワーゲン「Mr.Jones」。1968年のテレビコマーシャルをご覧ください。
巧妙な比較広告
ナレーション
ジョーンズとクランプラーはお隣同士。それぞれ、3000ドルもっています。
ジョーンズは、3000ドルでクルマを買いました。クランプラーは、新しい冷蔵庫、ガスレンジ、洗濯機、ドライヤー、レコードプレイヤー、新しいテレビが2台、そのうえ、新車のフォルクスワーゲンを購入しました。
ジョーンズはいま、お隣さんに生活レベルを合わせなければ、という問題をかかえこんでいます。
まったく同じつくりの2軒家。それぞれに住んでいるジョーンズとクランプラーが、3000ドルずつ持っている、という設定だ。結果はご覧の通りだが、60秒間ワンカットの演出はお見事である。ジョーンズの唖然とした顔のアップや、商品であるクルマのアップもなく、二人のライフスタイルを等距離から見続けることで、このCMは現代の寓話になったといえよう。
1968年当時、比較広告は公式に認められていなかったが、「Mr.Jones」は比較広告である。このCMがまかり通ったのは、商品であるクルマとクルマを比較せず、持ち主のフトコロを比較したから、その範疇に入らなかったのである。そこが、このCMの巧妙なところだ。
【VW「Mr.Jones」】
Volkswagen“Mr.Jones”
アートディレクター:Roy Grace
コピーライター:John Noble
プロダクション:EUE/Screen Gems
ディレクター/カメラ:Steve Ellot
エージェンシー:Dole Dane Bernbach
(1968 NYDC Distinctive Merit)
(文=金子秀之/2003年10月)
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金子 秀之
早稲田大学商学部卒業。資生堂のアートディレクターとして前田美波里のサマーキャンペーンを担当。1973年博報堂のクリエイティブ・ディレクターとして、サントリーの「ブランディ水で割ったらアメリカン」キャンペーンを手がける。1993年(有)クエスターを設立。広告製作及び海外広告の紹介をして現在にいたる。
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