第63回:Roy Graceを偲ぶ(その1)
2007.09.01 広告のススメ第63回:Roy Graceを偲ぶ(その1)
1960〜70年代のアメリカ広告全盛期、数々の名作CMを生み出したアート・ディレクター、ロイ・グレース氏が、2003年3月に逝去した。かつて、グレース氏に大変お世話になったという金子秀之氏が、彼との旧交を交えて作品を紹介するシリーズを、全7回でお送りする。
2003年春(3月4日)、“Roy Grace、Art Director in the Creative Heyday of Ads、Dies at 66.”(広告全盛期のアート・ディレクター、ロイ・グレース氏、66歳で逝去)という内容のe-mailが、ニューヨーク・アート・ディレクタークラブから送られてきた。
ロイ・グレースといわれても、おわかりになる方はすくないのではと思います。グレース氏は、いわゆる1960〜70年代のアメリカ広告全盛期に、クリエイティブで頭角をあらわしたDDBのアートディレクターとして活躍された方である。たとえば、フォルクスワーゲンの「Mr.Jones」や、American Touristerの「ゴリラ」、VW「お葬式」、アルカセルツァー「マーマ・ミーヤ」などなど、数々の名作CMを手がけたアート・ディレクターだ。
私はグレース氏が現役の頃、毎年、広告雑誌「ブレーン」に、ニューヨーク・アート・ディレクタークラブの入賞作品を紹介していたので、彼に手紙を書いて、素材の16mmフィルムを送ってもらっていた。
いつでも快く私の要求に応えてくださった方なので、なにかの機会に一度お会いしたいと思っていたところ、
ニューヨークを訪れるチャンスがあり、手紙を出してお会いすることになった。
当時、有名広告代理店が集まっていたマディソン・アベニューでは、クリエイターたちが脚光をあびていた。私は、グレース氏がどんなオフィスで、どのように仕事をしているか“興味津々”。きっと、ジョン・ウェインのような大男で、手や胸元に毛がはえた、男くさい人ではないかと想像していた。
437Madison Ave.にあるDDBのオフィスへ行って彼の部屋に案内されると、私の予想に反し、身長180cmほどの、青白い顔のナーバスな雰囲気をただよわせるスリムな男性、ロイ・グレース氏が迎えてくれた。
(文=金子秀之/2003年9月)

金子 秀之
早稲田大学商学部卒業。資生堂のアートディレクターとして前田美波里のサマーキャンペーンを担当。1973年博報堂のクリエイティブ・ディレクターとして、サントリーの「ブランディ水で割ったらアメリカン」キャンペーンを手がける。1993年(有)クエスターを設立。広告製作及び海外広告の紹介をして現在にいたる。
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