第47回:『2台のヨーロピアンホットハッチ』(前編)
2007.09.01 広告のススメ第47回:『2台のヨーロピアンホットハッチ』(前編)
南米はアルゼンチンでつくられた、ホットハッチの広告を2つ紹介する。1台は、“元祖ホットハッチ”のフォルクスワーゲン「ゴルフGTi」(ゴルフIV)、もう1台は、オシャレなフレンチコンパクトのホットバージョン「206GTI」だ。今回は、フォルクスワーゲンの広告をご覧いただこう。1997年の「ニューヨークフェスティバル」で、金賞を受賞した作品である。
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Simple is best!
不思議なクルマの広告である。マッチ箱とマッチ棒が1本あるだけで、コピーもなにもない。マッチとクルマ、これがどう結びつくのか、応えはこちら(読み手)に預けられていて、さながら“連想クイズ”か“心理テスト”といった感じである。
しかし勘のいい人なら、広告の片隅に小さく書かれている「ゴルフGTi」の文字を見て、「ははぁ」と気づくかもしれない。コンパクトなハッチバックに高性能エンジンを積んだスポーティモデルを、一般に「ホットハッチ」と呼ぶ。たとえば、ルノー「クリオRS2.0」(日本名:ルーテシア)やプジョー「206 S16」などがそれにあたるが、ホットハッチの“元祖”ともいえる存在は、初代「ゴルフI」のGTiなのだ。
そう、つまりこのマッチは、ホットハッチの“熱”を表現しているのである。クリエイターは火薬面のザラつきが、アスファルトの感覚と似ていることに気づき、このヴィジュアルを思いついたのかもしれない。
広告のヴィジュアルがシンプルであるほど、商品の印象が強く焼き付く。この広告は、その良い例といえるだろう。
(2003年5月24日)
Volkswagen Golf GTi/Argentina
クリエイティブディレクター:Jose Molla
コピーライター:Joaquin Molla
アートディレクター:Juan Manuel Ricciarelli
フォトグラファー:Juan Castagnola
イラストレーター:Mario Franco
エージェンシー:Ratto/BBDO/Buenos Aires
(1997 New York Festival Gold Medal)

金子 秀之
早稲田大学商学部卒業。資生堂のアートディレクターとして前田美波里のサマーキャンペーンを担当。1973年博報堂のクリエイティブ・ディレクターとして、サントリーの「ブランディ水で割ったらアメリカン」キャンペーンを手がける。1993年(有)クエスターを設立。広告製作及び海外広告の紹介をして現在にいたる。
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