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【スペック】全長×全幅×全高=4500×1740×1620mm/ホイールベース=2630mm/車重=1430kg/駆動方式=FF/2.2リッター直4DOHC16バルブ(151ps/5600rpm、21.0kgm/4200rpm)/価格=325万5000円(テスト車=同じ)

シボレーHHR 1LT(FF/4AT)【試乗記】

うってつけ! 2007.07.11 試乗記 生方 聡 シボレーHHR 1LT(FF/4AT)
……325万5000円
本国アメリカでは2005年の発売当初から販売好調とされる「シボレーHHR」。日本への導入が始まった、新しいコンパクトモデルの実力を試す。
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ニッチだけど魅力的なクルマ

ある日、『webCG』編集部のS君から仕事の依頼が舞い込んだ。

S:すいません、○月×日、シボレーの試乗会、お願いしたいんですが、ご予定はいかがでしょうか?
私:その日は昼過ぎに阿蘇から戻ってくるから、午後遅い枠なら大丈夫だよ。で、クルマは?
S:HHRです。
私:えっ!?
S:エイチエイチアールです。
私:それ、どんなクルマ?
S:PTみたいなクルマです。

恥ずかしながら、私はこのときはじめて、シボレーに「HHR」というモデルがあることを知った。無理もない!? HHRはアメリカ国内向けのモデルで、日本に輸出される予定など端からなかった。それを、「ハマー」や「エスカレード」など、日本ではニッチだけど魅力的なクルマを正規輸入する三井物産オートモーティブが、日本に持ち込んだのである。当然、他のモデル同様、このHHRも正規輸入され、三井系列の正規ディーラーで、販売やメンテナンスのサポートが受けられる。

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レトロなフォルムのその中身は?

試乗会当日、会場に向かう道すがら、見慣れないクルマとすれ違った。膨らんだボンネットにピカピカのメッキグリル、張り出したホイールアーチ、箱形のシルエット……まさにこれが「シボレーHHR」だった。レトロな雰囲気に包まれるところはたしかに「クライスラーPTクルーザー」に似ているが、PTほどワルな感じはしない。説明によると、このHHRは1949年式の「シボレー・サバーバン」をイメージしたという。

実物を目の当たりにすると、その存在感に圧倒されるが、意外なのがスリーサイズ。大きく見えるが、実際は全長4500×全幅1740×全高1620mm(ルーフレールなしの場合は1600mm)と、日本でも取り回しに困らない大きさなのだ。ちなみに、これでもアメリカではコンパクトカーである。

このHHRは、やはり日本では馴染みのない「コバルト」「アヴェオ」などと共通の“デルタ”プラットフォームをベースにつくられている。コンパクトカー用のプラットフォームということで、当然駆動方式はFFとなり、前:マクファーソンストラット、後:トーションビームアクスルのサスペンションを採用。
エンジンは、2.2リッターまたは2.4リッターの直列4気筒DOHCで、ラインアップは2.2リッターエンジン搭載の「LS」と「1LT」、2.4リッターエンジンの「2LT」の3モデルとなる。トランスミッションは4段ATが組み合わされるが、LSでは5段MTを選ぶこともできる。

おおらかで懐の深い走り

この日、試乗したのは1LT。ベーシックなLSに対し、アルミホイールやルーフレール、パワーシート(運転席)などが追加されるちょっと豪華な仕様である。

やや高めのシートに陣取ると、そこからの眺めは意外にふつうだった。特徴的な外観から一転して、インテリアは嫌みのないシンプルなデザインである。ダッシュボードの質感はさほど高くはないが、そのあたりは軽く流して(!?)、さっそく走り出すとしよう。

期待どおり、HHRの2.2リッターエンジンは、低回転からトルクがあって、とても扱いやすい。街なかでは、アクセル操作に素早く反応してスッと加速してくれるし、あまり回さなくても流れに乗れるのがいい。4ATはシフトがとてもスムーズで、シフトプログラムにも違和感がない。
一方、このエンジンは回したときの印象もなかなかよくて、3500rpmあたりから盛り上がりを見せるとともに、レブリミットの6500rpmまでスムーズに回り切るスポーティな面も持ち合わせている。実はこのエンジン、「エコテック」という名が物語るとおり、オペルの技術が活かされていて、アメリカとヨーロッパの“いいとこ取り”という感じがした。

ワゴンとしても優秀

乗り心地に関しても、やはり期待どおりマイルドな印象で、街なかでは快適そのものだ。しかし、覚悟していた無駄な横揺れやピッチングなどはきっちりと抑え込まれ、とても落ち着いた動きを見せる。高速でも、日本の速度レンジならフラット感は十分。高速を降りるころには、HHRにすっかり感心させられた私だった。

ワゴンとしての使い勝手も悪くない。背が高く、箱を並べたようなデザインだけに、リアシートを倒さなくても荷室は十分に広く、90cm弱の奥行きが確保される。リアシートはシートバックを倒すと、それにあわせてクッション部分が沈むため、フロアは簡単にフラットに。また、フロアのボードは持ち上げたり、斜めに固定したりと、荷物の量や種類にあわせてアレンジできるのも便利だ。
リアのスペースも、アップライトに座らせられるおかげで、足元には十分な余裕があり、ヘッドルームもありあまるほどだ。

というわけで、HHRはちょっと背の高いワゴンとして、走り、パッケージングともに魅力的なクルマだった。そのうえ、この主張するデザイン! ハッチバックやステーションワゴンの機能を失わず、デザインで主張したい人にはまさにうってつけだと思う。

(文=生方聡/写真=峰昌宏)

写真をクリックするとシートが倒れるさまが見られます。
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シボレーHHR 1LT(FF/4AT)【試乗記】の画像 拡大

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生方 聡

生方 聡

モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。

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