nvh volume 2:もっとプロ意識を!
2007.03.29 internet NAVInvh volume 2もっとプロ意識を!
規制緩和によって
交通問題に舌鋒鋭くメスを入れるノンフィクションライター矢貫さんの連載コラム「侃々諤々」の今号の内容は、規制緩和が職業ドライバーと呼ばれる人々を、いかに苛烈な労働状況に追い込んだか、を論じたものだ。
かつてタクシードライバー、トラック運転手として生計をたてていた経歴を持つ著者だけに、短い文章量の中にも説得力がある。そう感じるのは、何も僕だけじゃないだろう。
加えて興味深かったのは、昔の職業ドライバーと呼ばれる人々が、段階を踏んで徐々に育っていったという件りである。
2トントラックで慣れてから4トン車に乗り換え、大型免許を取得して大型トラックの運転手となり、その後トレーラーの運転手を目指す。あるいは路線バスで経験を積んでから、観光バスの運転手となる。考えてみれば当然のことなのかもしれないが、今まで思いもしなかったことなので、読んでいてハッとさせられた。なるほどそういうことだったのか、と目を開かされた思いだ。
しかし最近はそういった順序を踏まない急造ドライバーが増え、その傾向は規制緩和以降、ますます拍車がかかっている状態だというから怖い。
実は先日もこんなことがあった。深夜長期リポート車のケイマンSで首都高を走っていたときのことだ。
追い越し車線をノロノロと走る個人タクシーに、進路をブロックされた。走行車線にはそう大差ないスピードで走るクルマがあったし、左側からの追い越しはなるべく避けたいので、いつものようにしばらく後ろで待つことにした。
ところがこの個人タクシー、走行車線のクルマの前に出ても、一向に左レーンに移る気配がない。そうこうするうち、猛烈な勢いで追い上げてくる1台のセダンがバックミラーに写った。どうやら旧型のセドリックかクラウンのようである。
流れを妨げるのは嫌だったので、仕方なく左から個人タクシーを追い抜いた。その時、例のセダンはケイマンSの背後にピッタリとくっついていた。
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運転マナー
正直に告白すれば、普段ならペースを上げて引き離しにかかっていただろう。ルールを無視した個人タクシーにも腹をたてていたし、セダンの距離の詰め方にも傍若無人さを感じていたからだ。
しかしその日は思いとどまった。後ろを走るのは、ひょっとすると覆面パトカーの可能性だってある。ボディカラーもブラック、あるいはそれに近いダークカラーだったのである。
走行車線をキープしたまま自分のペースを守って走っていると、セダンはすぐに追い越し車線に踊り出て、ケイマンをパスしていった。ドアサイドにはハイヤーであることを知らせるマークがペイントされていた。すかさず僕も右にウインカーを出して、ハイヤーの後方につく。その先の二又路を右に入る必要があったからだ。
ハイヤーはこちらの存在を意識したのだろうか、コーナーが迫ってきてもペースを緩めない。ケイマンSに乗る僕でさえブレーキングしようか迷ったほどの速度で、コーナーに進入していったのである。案の定ハイヤーは途中からコントロールを失い、スピン状態のままコンクリートウォールにクラッシュした。
こういう結果になることが予想できたので、早めにスロットルを戻した結果、巻き添えを食わずにすんだ。
しかしここで言いたいのはそんなことじゃない。日本の職業ドライバー、とりわけタクシーやハイヤーのドライバーに、プロ意識が欠ける傾向があまりに顕著だということを言っておきたいのだ。
むろん今回のケースに規制緩和は関係ないかもしれない。しかし都内近郊の道路で今最もマナーが悪いのは、トラックでもオーナーカーでもなく、タクシーや客を乗せないハイヤーだということを改めて主張しておく。
(『NAVI』編集長 加藤哲也)
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