シトロエンC2 1.6VTR(2ペダル5MT)【試乗記】
3つの魅力 2004.03.23 試乗記 シトロエンC2 1.6VTR(2ペダル5MT) ……194.0万円 シトロエンジャポンが、快調プジョーに遅れじと日本に導入したのが、“スポーティ”を謳う3ドアハッチ「C2」。「C5」「C3」に続くダブルシェブロンの末弟に、webCG本諏訪が試乗した。“スポーティ”を訴求
「“シトロエン”ってどんな印象ですか?」
試乗会に向かう途中、webCGムービーカメラマンに尋ねられた。
「そおねぇ……。フランス大統領が乗っていたクルマかな」
最初に出てきた言葉はそれだった。頭に浮かんだのは、シャルル・ド・ゴール大統領が乗る、シトロエンDSデカポタブル。……話題が古くてスイマセン。
最近のWRC(世界ラリー選手権)での活躍を知らないわけではないが、私のなかでシトロエンは、ゆったりと乗る印象のクルマ。柔らかい乗り心地であり、スポーティでは決してない。
しかし、今回、「サクソ」からボトムレンジを引き継いだニューモデル「C2」は、“スポーティ”を声高に謳う。「C3」はもとより「サクソ」よりも短い3670mmの全長を持つ一方、サクソより40mm増の1660mmの横幅で、同じく100mm高くなった車高とのバランスを取る。ボディは3ドアハッチバックのみ。5ドアでファミリーカーイメージの強いC3と、明確にキャラクターを分ける作戦だ。
その傾向はカラーラインナップにも表れて、面白い。ブルールシア(水色系)、ベールレンツ(黄緑色系)とポップなカラーリングを用意するC3と違い、C2には、ルージュルシフェール(ワイン系)、ブルーグランパヴォア(青系)など、濃いめのシャープな色が目立つ。
日本に導入されるのは、1.4リッターと1.6リッターのスポーティグレード「VTR」のみ。本国にはよりマイルドなグレードもあるというから、シトロエンジャポンは、積極的に「C2=スポーティ」を定着させる目論見だろう。
トランスミッションは、いずれも2ペダル式の5段MT「センソドライブ」。右ハンドルのみの設定だ。価格は、1.4が175.0万円、1.6は194.0万円となる。
成功したスタイリング
C2は、2003年のジュネーブショーにおいて、「C2スポール」というコンセプトカーで発表。その後のフランクフルトショーで正式デビューとなった。同年の東京モーターショーで見たときには、個性的なウィンドウグラフィックを持つサイドビューだけが印象に残ったが、あらためて外観を見ると、全体のまとまりのよさに感心させられた。
フロントグリル、ヘッドランプ、ウィンドシールドはそれぞれ大きく、迫力がある。サイドビューでも、ベルトラインや、ルーフラインもいままでのシトロエンには見られない、非常にスポーティなものとなっていた。ボディ下半身のボリューム感や、大きくスラントしたノーズなど、高めの車高にもかかわらず、全体に低重心感のある、どっしりとした印象だ。ホイールアーチとタイヤ外周は、同心円で描かれたようにマッチング。それに加えて、ホイールクリアランスも少なく、7本スポークのホイールデザインも含めて、足もとにも抜かりがない。マフラーは、ビジュアル的にもうすこし太くてもいいのでは、と思ったが。
従来にないデザインアイデンティティを取り入れたという「スポーティでダイナミックなスタイリング」は、成功したんじゃないか、と思った。
ガラクタ箱のように
エクステリアのインパクトに比べ、インテリアは少々残念に感じた。
インパネはC3とほぼ共通。しかし、スポーティにダークな色を使うが、質感はいまひとつ。チープな印象は否めない。“水中花シフトノブ”を思い出させる半透明なパーツは、シフトノブとドアハンドルに装着されるが、“スポーティ”とはちょっと違うかもしれない。
内装で目をひくのは、シートのサイドサポートとドアトリムが、ボディカラーによって、違う色になること。しかし試乗車の赤のボディカラーでは、これらがグレーになるので、あまり目立たない。これがブルーのボディペイントだと、車内の各所(ドアトリム、シートのサイドサポート、ドアハンドル、シフトノブ)に青いパーツが使われ、素敵なアクセントとなる。青のテストカーがうらやましい。
後席は着座位置が一段高まっており、前方視界を確保できる反面、頭上がきつくなる。座面の高さゆえ、足を前方に投げ出さずにすむが、ボディサイズの制約から、ヒザ前空間が絶対的に狭い。2人がけと割り切ったシートは、セパレートタイプでサイドサポートも付く珍しいデザイン。“個人”が尊重されるのはありがたいが、シートアレンジに凝ったせいで、シートクッションが薄く、硬い。前席から容易に手が届くから、荷物を置いたときに取りやすいのがメリットか?
2列目を倒さない限り、そもそも荷室は広くないので、大きなモノを入れようとはしないだろう。上下2分割で開くハッチゲイトは便利。普段は下のゲートを開けず、ガラクタ箱感覚でラゲッジルームにポンポン荷物を放り込むとよさそうだ。
快適な「センソドライブ」
走り出すと、インテリアへの個人的な不満はすぐに消えていった。走りがとても気持ちいい。
トランスミッション、エンジン、電動パワステ、サスペンションに至るまで基本的にはC3と共通。しかしホイールベースが145mm短縮されているうえ、味付けが大きく変えられている。
C3と同じパフォーマンスのエンジン(110ps、15.3kgm)ながら、加速がスムーズなのは、ファイナルギア比が低めに設定されたせい。スムーズに回転が上がり、スポーティな排気音を奏でる。そのわりにスピードが出ていない気もするが……。
2ペダル5段MTである電子制御クラッチの「センソドライブ」は、C3より大幅に改良されたようだ。まずはマニュアルでのシフト操作だが、変速時のタイムラグが短縮している。試しにアクセルを踏みっぱなしでシフトアップすると、クラッチミートが遅く、その間に回転が上がって、頭が「カックン」してしまうC3に比べ、カックン度合いがすくない。
オートモードでも、積極的にシフトをするプログラムを採用し、的確なギアを選択する。キックダウン時も5→3にシフトダウンした後、クルージングに戻るとすぐに5速までシフトアップする。学習機能も持った、なかなかの頭のよさである。
電動パワステは、軽い操作ができるC3に比べると、明らかに重い。前輪が地面をとらえる手応えを感じつつコーナーを抜けることができる。山道では、C2はコンパクトカーらしいクイックな動きを見せた。
1.6VTRは、195/45R16サイズの扁平タイヤを履くが、ゴツゴツした乗り心地はない。筆者がドイツ車好きなせいもあるだろう。硬めといえば硬めだが、個人的にはC3の柔らかさは少々苦手だったので、C2の方が好ましく感じた。
従来感度がよすぎた感があるパニックブレーキのアシストも改善され、フィールは良好。オートマチックモードでもマニュアルモードでも、運転は非常に快適だ。
魅力は走りとスタイリングだけではない。194.0万円という価格だ。ライバルと想定される「VWルポGTI」(216.0万円)はもとより、国産コンパクトハッチにも十分太刀打ちできる価格設定となっている。
C2という名前ながら、「走り」と「価格」「スタイリング」と3つの魅力(charm)を持つクルマだ。いや、フランス車だから「trois charmes」と言うべきか。
(文=webCG 本諏訪/写真=峰昌宏/2004年3月)

本諏訪 裕幸
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