アトキンソンと新井、来季必勝を宣言〜スバルWRC活動報告会から〜
2006.12.18 自動車ニュースアトキンソンと新井、来季必勝を宣言〜スバルWRC活動報告会から〜
スバルテクニカインターナショナル(STI)は、2006年12月12日、世界ラリー選手権(WRC)2006年シーズンの活動報告会を東京都内で開いた。
■惨たんたる結果、「申し訳ない」
「チームが不調で、応援してくれたみなさんに申し訳ない」
報告会は、冒頭から桂田勝STI社長のお詫びの言葉で始まった。
ペター・ソルベルグ、クリス・アトキンソン、ステファン・サラザンの3人で臨んだスバルの2006年度WRC。ドライバーズランキングはソルベルグの6位がベスト、マニュファクチャラーズでは、シトロエン、フォードに次ぐ3位という、あまり芳しくない結果だった。
しかも、全16戦で優勝は一度もなし。タイトルを逃してきた一昨年(優勝5回)、昨年(同3回)と比べても、STIのトップが口をそろえるように「惨たんたる結果」という印象は拭えない。
■マシンを作る人と組織に重大な欠陥があった
「こんなことになったのは、すべてマシンの開発に失敗したからで、(マシンを)作る人と組織に重大な欠陥があったと言わざるを得ない」と桂田社長。必勝を目指し、さっそく人事面での組織改革を行ったという。
F1出身だったチーフデザイナーにかわり、かつてスバルに優勝をもたらしたクリストフ・シャプラン氏がカムバック。チーフエンジニアとシャシーダイナミクスコンサルタントのポジションにも新しい人材を迎え入れたとのことだ。
技術面の問題点については、菅谷重雄SWRTマニュファクチャラー代表が報告。
今年は、冷却と空力の性能を向上できた反面、悪路や悪天候といった自然環境の適応能力に欠けたと敗因を挙げた。
さらに、ここ3年間、車幅とデファレンシャルに関するFIA規則が変わったため、シャシーダイナミクスを充分に煮詰めることができなかったと漏らした。
菅谷代表は続けて、「来季の16戦はすべて現場に付き添い、なにもかも自分の責任だと思って戦う」と険しい表情で決意を述べた。
■2007年モデル「手ごたえは上々」
肝心の2007年モデルは、サスペンションのジオメトリーを変更してターン時のトラクションを向上させただけでなく、車内に引きまわすロールケージの形状を見直し、ボディ全体の剛性を上げつつフロントのグリップを稼ぐことができているという。
また、もっとも信頼がおけるエンジンについても、一段と中低速のトルクを豊かにする方向で熟成をすすめているとのことだった。
同席したドライバーのクリス・アトキンソンは、実際のテスト状況に触れて、「手ごたえは上々。開発の方向性は正しいし、来季はチャンスがあると思う」と述べた。
なお、気になるニューマシンのデビュー時期は、第1戦モンテカルロではなく、大事をとって第4戦のメキシコを想定しているという。
■PCWRCは、4年連続の優勝
WRCとは対照的に、より市販車に近い仕様で争われるPCWRC(プロダクションカー世界ラリー選手権)では、「インプレッサ WRX STi spec C」を駆った中東カタール出身のナッサー・サレ・アルアティヤー選手がドライバーズタイトルを獲得した。
実は、クレイ射撃の世界でアテネオリンピック4位の実力者として知られるナッサー。スバルに同クラスの4連覇をもたらし、WRCの不調にくすぶるファンの溜飲を下げた。
ただ、来期は「三菱ランサーエボリューション」勢の強烈な巻き返しが予想されるなど、油断できないシーズンになるだろうという声もSTI首脳陣から聞かれた。
会場には、2005年チャンピオンの新井敏弘選手も姿を見せた。
こちらは2年連続のタイトルが期待されたが、今シーズンはランキング6位で終了。今年からマシンの仕様が変更されたこともあり、トラブルへの対応が後手後手になってしまったとのことだが、「同じマシンで戦うことになる2007年シーズンは、全戦優勝を狙えるだろう」という強気のコメントを残した。
チーム首脳陣とドライバーの双方から落胆と反省の言葉が聞かれたものの、総じて来季にかける強い意気込みが印象的だったスバルのWRC報告会。
その2007年シーズンは、早くも来月19日のモンテカルロラリーで開幕を迎える。大いに期待したいところだ。
(webCG 関)
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