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新型の「トヨタRAV4」と「スバル・フォレスター」、選ぶならどっちだ?

2025.05.26 デイリーコラム 玉川 ニコ
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大枠だけでもいい勝負

通算6代目となる新型「トヨタRAV4」が2025年5月21日、世界初公開された。日本での発売は「2025年度内を予定」とのことであり、車両価格もまだわからない。だが現時点で発表されている内容、すなわちデザインとパワートレインの概要などを見る限りでは、新型RAV4は極めて魅力的なミッドサイズSUVであるように感じられる。

しかしそうなってくると気になるのが、同年4月17日に発表された新型「スバル フォレスター」の存在だ。ストロングハイブリッドも用意されたことでより魅力的となった新型フォレスターは、いわば中型SUV界における注目の新大関。一方の新型RAV4も、本年度中の大関昇進がほぼ確実といえる期待の力士である。

われわれはどちらの“新大関”に肩入れするべきなのか? 現時点でわかっているそれぞれの特徴を比較しながら、考えてみることにしよう。

まず力士としての体格すなわちボディーサイズは、当然かもしれないが、ほぼ互角だ。新型フォレスターが全長×全幅×全高=4655×1830×1730mmであるのに対し、新型RAV4は「CORE(コア)」というスタイルの場合で同4600×1855×1680(プラグインハイブリッド車<PHEV>は1685)mm。どちらも、近年の中型SUV力士における典型的な体形といえよう。

2025年5月21日にデビューした新型「トヨタRAV4」。先代と同じボディーサイズを保ちつつ、中身については正常進化を遂げたとされる。
2025年5月21日にデビューした新型「トヨタRAV4」。先代と同じボディーサイズを保ちつつ、中身については正常進化を遂げたとされる。拡大
「RAV4」に1カ月先んじて世代交代が発表された「フォレスター」。スバルの中核SUVには、ついにストロングハイブリッドが搭載された。
「RAV4」に1カ月先んじて世代交代が発表された「フォレスター」。スバルの中核SUVには、ついにストロングハイブリッドが搭載された。拡大
「RAV4コア」のリアビュー。今回比較する「フォレスター」ともども、アーチモールは今風に角張っている。
「RAV4コア」のリアビュー。今回比較する「フォレスター」ともども、アーチモールは今風に角張っている。拡大
「RAV4」も「フォレスター」(写真)も最新世代は6代目で、ともに約30年の歴史を持つ。銘柄としては、日本が誇る伝統と信頼のSUVといえる。
「RAV4」も「フォレスター」(写真)も最新世代は6代目で、ともに約30年の歴史を持つ。銘柄としては、日本が誇る伝統と信頼のSUVといえる。拡大
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RAV4のPHEVは“ほぼEV”

そして人気商売でもあるSUV力士は、ルックスすなわち内外装デザインの良しあしも重要となる。

比較的オーソドックスでSUVらしいフォルムが「落ち着きという名の心地よさ」を感じさせる新型フォレスターに対し、前述のコアに「ADVENTURE(アドベンチャー)」「GR SPORT(GRスポーツ)」を加えた3種類のスタイルを用意する新型RAV4のフォルムおよびディテールは、いずれもどこかモダンアート的。シンプルに「カッコいい!」と感じさせる。ただ同時に、前後フェンダー部分やフロントマスク周辺の積極的な凹凸は「やや過剰にデコラティブである」とも感じる。ここはもう古典対モダンの戦いであるため、「優劣」ではなく「好み」で勝敗が決まることになるだろう。

SUV力士としての根幹をなすパワーユニットは、新型フォレスターが注目の2.5リッター ストロングハイブリッドと従来型1.8リッター直噴ガソリンターボの2本立てであるのに対し、新型RAV4は純ガソリンエンジンを廃し、改良されたハイブリッドと、トヨタ初搭載となる第6世代ハイブリッドシステムをベースとする新開発のプラグインハイブリッドシステムを採用。

新型RAV4が採用するパワーユニットの詳細なスペックは未発表だが、PHEVのEV航続距離は従来の95kmから150kmまで延伸されるとのこと。そうなると日常的な近距離~中距離の移動ではほとんどエンジンをかけずに済むことが予想されるため、総合的には新型RAV4がやや優勢となるだろうか。

ただ、いわゆる走る喜びに満ちている新型フォレスターのストロングハイブリッドも、経済合理性を超えた部分での魅力は大。そのため「新型RAV4の一方的な勝利」ということにはならないはずだが、ここは新型RAV4のハイブリッドおよびプラグインハイブリッドシステムに関する詳細な続報を待ちたいところだ。

新型「フォレスター」のフロントまわり。水平ラインが複数重なるデザインで個性を主張する。
新型「フォレスター」のフロントまわり。水平ラインが複数重なるデザインで個性を主張する。拡大
新型「RAV4」のデザインはグレードを問わずシャープで、SUVとしては洗練された印象のスタイルをまとう(写真はスポーティーグレード「GRスポーツ」のもの)。
新型「RAV4」のデザインはグレードを問わずシャープで、SUVとしては洗練された印象のスタイルをまとう(写真はスポーティーグレード「GRスポーツ」のもの)。拡大
2.5リッター水平対向4気筒エンジンをベースとする新型「フォレスター」のハイブリッドシステムは、最高18.8km/リッターの燃費を実現。ほかに、1.8リッター水平対向4気筒ターボエンジン搭載車も選べる。
2.5リッター水平対向4気筒エンジンをベースとする新型「フォレスター」のハイブリッドシステムは、最高18.8km/リッターの燃費を実現。ほかに、1.8リッター水平対向4気筒ターボエンジン搭載車も選べる。拡大
新型「トヨタRAV4」の国内ラインナップはハイブリッド車とプラグインハイブリッド車のみとなる。後者は新世代のハイブリッドシステムを搭載し、満タン・フル充電で1350km以上という航続距離を誇る(写真は、発表会においてその点をアピールするトヨタ自動車のサイモン・ハンフリーズ氏)。
新型「トヨタRAV4」の国内ラインナップはハイブリッド車とプラグインハイブリッド車のみとなる。後者は新世代のハイブリッドシステムを搭載し、満タン・フル充電で1350km以上という航続距離を誇る(写真は、発表会においてその点をアピールするトヨタ自動車のサイモン・ハンフリーズ氏)。拡大

「次世代の知能化技術」か「磨かれた伝統技術」か

いわゆる知能化技術に関しては、新型RAV4はウーブン・バイ・トヨタが開発を進めている「Arene(アリーン)」をトヨタ車として初採用する。

Areneプラットフォームとは、トヨタが培ってきたモノづくりの知見と技術に最新のソフトウエア機能を組み合わせたもの。組み込みツールと先進インフラ、そしてソフトウエアサービスの集合体であるAreneによって、これまでの品質と効率性を保ちつつ、統合されたソフトウエアによる革新的な開発を実現させようとするものだ。

トヨタはAreneの採用を皮切りにSDV(ソフトウエア・デファインド・ビークル)の開発を本格化していくとのことだが、差し当たって新型RAV4において目立つのは、新世代マルチメディアを初搭載するということか。大型のセンターディスプレイはグラフィックの表現力が大幅に向上し、表示コンテンツは好みに合わせたカスタマイズが可能になるとのこと。そして音声認識機能は応答速度と認識性能が進化し、音声で操作できる機能も大幅に増えるらしい。

そのほか、最新のToyota Safety Senseも改良と機能の追加が行われるという新型RAV4に対し、新型フォレスターは伝統の「0次安全」と広角カメラ付きの最新「アイサイト」、そして全車標準装備となる11.6インチセンターインフォメーションディスプレイとナビゲーション機能、ETC2.0車載器などで対抗する。フォレスターおよびアイサイトの伝統と実績を、新興勢力であるAreneがどこまで凌駕(りょうが)できるかが、この勝負の見どころとなるだろう。

以上のとおり、今後は両者がっぷり四つの展開になる可能性が極めて高いわけだが、気になるのは新型RAV4の「価格」だ。現時点では未発表である同車の価格が、もしも新型フォレスターとおおむね同様の450万円前後で発売されるなら――両SUV力士の実力はいよいよ伯仲し、選択はさらに難しく悩ましいものとなるだろう。

(文=玉川ニコ/写真=webCG/編集=関 顕也)

新型「RAV4」の大きなトピックは、来るSDV時代に向けてトヨタが開発を進めてきた“ソフトウエアづくりのプラットフォーム”「Arene(アリーン)」の採用。同技術は、交通事故ゼロ社会の実現にも大いに寄与するという。
新型「RAV4」の大きなトピックは、来るSDV時代に向けてトヨタが開発を進めてきた“ソフトウエアづくりのプラットフォーム”「Arene(アリーン)」の採用。同技術は、交通事故ゼロ社会の実現にも大いに寄与するという。拡大
インストゥルメントパネルの高さを従来モデルよりも40mm下げるなどして視界のよさを追求した、新型「RAV4」の車内。スイッチ類をまとめて配置し、運転中の視線移動も抑えたとされる。
インストゥルメントパネルの高さを従来モデルよりも40mm下げるなどして視界のよさを追求した、新型「RAV4」の車内。スイッチ類をまとめて配置し、運転中の視線移動も抑えたとされる。拡大
こちらは新型「フォレスター」のインテリア。11.3インチという大きな縦型センターディスプレイが目を引く。
こちらは新型「フォレスター」のインテリア。11.3インチという大きな縦型センターディスプレイが目を引く。拡大
新型「RAV4」はキャラクターの異なる3グレードで構成される。2025年度内に発売予定とのことだが、その値づけは、先行販売されている「フォレスター」の価格帯(404万8000円~459万8000円)に迫るかどうか。関心の高まるところだ。
新型「RAV4」はキャラクターの異なる3グレードで構成される。2025年度内に発売予定とのことだが、その値づけは、先行販売されている「フォレスター」の価格帯(404万8000円~459万8000円)に迫るかどうか。関心の高まるところだ。拡大
玉川 ニコ

玉川 ニコ

自動車ライター。外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、自動車出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。愛車は「スバル・レヴォーグSTI Sport R EX Black Interior Selection」。

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