マツダCX-7(FF/6AT)【海外試乗記】
スポーツクロスオーバーの意味するところ 2006.11.11 試乗記 マツダCX-7(FF/6AT) 日本でも予約受付が開始された、マツダのニューモデル「CX-7」。既に2006年5月には北米でリリースされている北米戦略車第1弾だ。スポーツカーとSUVをクロスオーバーさせた新型の印象をロサンゼルスからリポート。北米戦略車第1弾
「スポーティ」と「エレガント」、それに「ダイナミック」。ニューモデルが発売されるたびに、そのクルマのキャッチフレーズとして多用される形容詞御三家だ。なかでも「スポーティ」は、軽自動車から大型高級サルーンまで、それこそジャンルを問わず猫も杓子も使いまわす。おかげで、新鮮味が消えてしまったうえに、本当はどんなものを指すのか曖昧になってしまった代表的な言葉だろう。
それでも各メーカーは苦心しながら“スポーティ”な新型車を作らなければいけない。普段とは違った行為や表現によって心を遊ばせるという、要するに「ハレの場」に身を置くという言葉本来の意味を考えれば、スポーティであることはクルマの大事な本質として欠かせないものだからだ。
「ZOOM、ZOOM」という耳に残る軽快なリズムに乗って近頃好調のマツダは、すっかりミニバンメーカーとなった観のあるホンダを凌いで、今一番スポーティな日本ブランドと見られているらしい。その彼らの最新作が“スポーツクロスオーバー”というちょっとややこしいキャッチフレーズを掲げる都会派SUVの「CX-7」だ。
この夏にまず北米で発売したところ、折からの燃料高騰・大型車離れの追い風も受けて人気集中という。燃費に無頓着だったアメリカ人でも、さすがにかつての値段の3倍にも及んだ今年のガソリン急騰はこたえたらしく、試乗会が行われたロサンゼルス近郊での「トヨタ・プリウス」の増殖ぶりは誰の目にも明らかだった。
最近はガソリン価格も落ち着いてきたが、昔どおりのV8一辺倒に戻ることはなさそう。手ごろなサイズのSUVは今後も注目されるジャンルと言っていい。日本でもこの年末には発売されるというCX-7は、当然それを見据えたニューモデルである。
マツダらしいスポーティさ
巨大で重い4WDモデルにSUV(スポーツ・ユーティリティ・ビークル)という名をアメリカ人がつけたことがそもそも混乱の元だったのかもしれないが、このCX-7(4WDもあるが試乗したのはFFモデル)はいかにもマツダらしいスポーティさを確かに感じさせた。
といってもここでのスポーティとは、ゼロヨン加速が14秒台であるとか、地面に貼りつくようにコーナーを駆け抜けることを指すのではない。
パワートレーンは、「MPV」同様の2.3リッター直噴ガソリンターボ(米国仕様で244hpと約35.7kgm)に6ATを組み合わせたものを流用しているから十分にパワフル。しかし、それよりも普通の流れに乗って走っている時に、ちょっと踏み増したアクセルにすかさずクッと反応するエンジン、手応えが確かで切り始めがキビキビしたステアリングなど、操作に対するタイトでダイレクトな反応の気持ち良さがスポーティなのだ。
硬めの乗り心地を含めて全体的に引き締まった、ちょっとやんちゃな感じがマツダらしい。
無論、その形も見逃せない。実際には4.7メートル級でボディサイズは「トヨタ・ハリアー」と同じぐらいだが、「RX-8」や「アテンザ」を思い出させるぐっと踏ん張った感じのフェンダーが逞しく、それに比べてグリーンハウスがコンパクトなデザインのおかげで引き締まって見えるのだ。ダブついて見えないこともスポーティさの演出ではきわめて重要である。
|
個性が活かされている
惜しいのは、ちょっとザラついたエンジンのフィーリングや、シフトショックがやや大きめな6ATの変速マナーなど。またこれもマツダっぽいところ。加えて言うと山道を飛ばすと最後のほうでズルズルッとわずかにフロントから軌跡が膨らむといった、SUVにありがちな立ち居振舞いも指摘できるが、18インチのオールシーズンタイヤを履いたSUVとしては黙認すべき些細な点だろう。
目を吊り上げて飛ばした場合のことよりも、日常走行におけるスポーティさを重視するのは、できそうでなかなかできないこと。その点、マツダは自分たちの個性をしっかり理解しCX-7に表現していると感じさせられた。
(文=NAVI編集長 高平高輝/写真=CG小河原認/2006年11月)

高平 高輝
-
スズキeビターラZ(4WD)【試乗記】 2026.3.28 スズキが満を持して世に問うた、初の量販電気自動車(BEV)「eビターラ」。エントリーグレードは400万円以下! 500万円以下で4WDも用意されるというお値打ち価格のBEVは、走らせてみるとどうなのか? 東京-愛知を往復して、その実力を確かめた。
-
スズキGSX-8T(6MT)【レビュー】 2026.3.25 昨今のネオクラシックブームに乗り、いよいよスズキからも新型車「GSX-8T」が登場。しかし実車に触れてみると、既存のライバルとはちょっと趣の異なるマシンとなっていた。スタイリッシュないでたちとスズキらしい実直さが融合した、独創の一台を報告する。
-
日産セレナe-POWERハイウェイスターV(FF)【試乗記】 2026.3.24 販売台数ではトヨタ勢に差をつけられながらも、日産の屋台骨として奮闘する「セレナ」。現行型の登場から3年、マイナーチェンジで磨きがかかった最新の「e-POWERハイウェイスターV」に試乗すると、人の感性に寄り添う開発陣のこだわりと良心が見えてきた。
-
BMW iX M70 xDrive(4WD)【試乗記】 2026.3.23 BMWが擁するSUVタイプの電気自動車「iX」。そのハイパフォーマンスモデルが「iX M70 xDrive」へと進化を遂げた。かつて、BMWの志向する次世代モビリティーの体現者として登場した一台は、今どのようなクルマとなっているのか? その実力に触れた。
-
BMW i5 eDrive35LエクスクルーシブMスポーツ(RWD)【試乗記】 2026.3.21 BMWの「5シリーズ ロング」は知る人ぞ知る(地味な)モデルだが、実はエンジン車のほかに電気自動車(BEV)版の「i5 eDrive35L」も用意されている。まさに隙間産業的にラインナップを補完する、なんともニッチな大型セダンの仕上がりをリポートする。
-
NEW
開発中にボツになった「素晴らしいアイデア」は、その後どうなる?
2026.3.31あの多田哲哉のクルマQ&A車両を開発するなかで生まれた良いアイデアや素晴らしい技術には、実際に製品化に生かされないものも多数あるという。では、時を経て、それらが再び日の目を見ることはあるのか? 元トヨタの車両開発者、多田哲哉さんに聞いた。 -
NEW
メルセデスAMG GTクーペ/メルセデスAMG GT 4ドアクーペ【試乗記】
2026.3.31試乗記メルセデスAMGの「GT63 S Eパフォーマンス クーペ」と「GT53 4MATIC+(ISG)ファイナルエディション」は、同じAMG GTを名乗りながらも片や2ドア、こなた4ドアのクーペモデルだ。この両者には、どんな特徴や違いがあるのか。クローズドコースで確かめた。 -
あなたの行動範囲を無限大に 「クムホ・ソルウス4S HA32」を試す
2026.3.30毎日をアクティブにするクムホのオールシーズンタイヤ<AD>クムホのオールシーズンタイヤ「ソルウス4S HA32」は春夏秋冬の全季節に対応。その心は高いドライ&ウエット性能で夏タイヤとしての高い性能を満たしたうえで、高い雪上性能を付与しているということだ。「三菱デリカD:5」に装着した印象をリポートする。 -
第332回:クルマ地味自慢
2026.3.30カーマニア人間国宝への道清水草一の話題の連載。最近、年齢とともに地味なモデルが大好きになった。そんななか、人気の「フォレスター」や「クロストレック」の陰にひっそりと隠れたスバルを代表する地味モデル「インプレッサ」に試乗。果たしてその印象は? -
レクサスGX550“オーバートレイル+”(4WD/10AT)【試乗記】
2026.3.30試乗記スタッドレスタイヤ装着の「レクサスGX」でウインタードライブへ。クルマ好きにとってはいかにも胸がふくらむシチュエーションだが、刻一刻と変化する自然環境が相手ゆえに、なかなか一筋縄ではいかないものだ。山に分け入る際には引き返す覚悟もお忘れなく。 -
欧州メーカーもホンダも大損 EV政策はなぜ急加速から“大コケ”に至ったか?
2026.3.30デイリーコラム主要な自動車メーカーが、EV政策の見直しにより、2025年12月期または2026年3月期の決算で莫大(ばくだい)な損失を計上した。なぜEV開発はかくも急速に進められ、急減速に至ったのか。清水草一は、その理由についてこう考える。



