マツダCX-7のライバル車はこれ【ライバル車はこれ】
グローバルSUV対決 2007.04.18 試乗記 マツダCX-7のライバル車はコレSUV市場が熱い盛り上がりをみせている。その中でも注目なのが、2006年12月の発売以来1ヶ月で1800台の受注を集めた「マツダCX-7」。主戦場を北米とするグローバルSUVのライバル車とは。
マツダCX-7(306.0万円〜366.0万円)
■スタイリッシュさで勝負
スポーツカーの先にあるもの――そんなキャッチコピーと共に生まれた「CX-7」は、要はスポーツカーとSUVのクロスオーバーが狙いどころ。
なるほど、視覚上フロントフェンダーをボンネットフードから分離させ、ある種“サイクルフェンダー”のようにも見せるそのスタイリングには、「マツダRX-8」と一脈通じる雰囲気が溢れている。
1645mmの全高や205mmの最低地上高は、たしかにSUVらしいスペック。しかし、急傾斜のウインドシールドや流麗なルーフライン、躍動感に満ちたベルトラインなどの造形はスポーツカーのノリ。
イチにもニにも、まずはそのスタイリッシュさで消費者のハートを掴もうというのがCX-7の戦略なのだ。
全幅が1.9mに迫ろうというワイドサイズなのは、このモデルが北米マーケットをメインに考えられているため。というより、「そもそも当初は、北米専用車のつもりで開発した」。このモデルが結局、日本やヨーロッパ、オーストラリアでも売られる“グローバル・モデル”へと変身したのは、ここ数年の世界的なSUV人気の高まりを勘案してのことという。
そんなフルサイズぶりもいざ走り出すと、当初懸念した急傾斜のAピラーが生み出す死角も、予想ほど気にならなかった。直噴システムの助けもあって、低回転域からエンジンがトルキー。リニアな加速感が好印象。
FF、4WDと2タイプのシャシーが設定される。後者のほうが走りのフラット感が高かったことも付け加えたい。
【ライバル車 その1】日産ムラーノ(2.5、3.5リッター/289万3800円〜379万6800円)
■パワーでは負けないのだけれど
カッコ良さこそまず命! ……なSUVという点ではCX-7の先輩格に当たる「日産ムラーノ」。全長4770mmで全幅1880mm、全高は1685mmという3サイズは、CX-7よりも長さと高さがちょっとずつ大きい。
リアエンドで大胆にキックアップしたベルトラインや「2輪車のそれをモチーフとした」というデザインのメーターの採用など、“スポーティ”というスタンスを重要視している点でもCX-7との共通項は少なくなさそうだ。
モダーンでありながら押し出し感の強いフロントマスクや、リアフェンダー上部へと回り込んだテールランプなどが個性的なムラーノ。CX-7と最も大きな考え方の違いを示すのが搭載パワーユニット。
2.3リッターの4気筒ユニットをベースとして燃費を稼ぎつつ、直噴メカ+ターボチャージャーで出力向上を図るという“ダウンサイズ・コンセプト”に基づいたCX-7のそれに対し、こちらは2.5リッターもしくは3.5リッターのV6ユニットを搭載と正攻法。もっとも、フィーリング上ではやはりプラス2気筒の効果はダテではなく、時に4気筒エンジンゆえのちょっとしたガサツさを感じさせられるCX-7と較べると、相対的により緻密なパワーフィールを味わわせてくれるのは事実だ。
CX-7が車間自動制御するACC(アダプティブ・クルーズコントロール)を用意し、乱れた挙動を安定化させるESC(マツダ名“DSC”)も全仕様に標準とする。一方、ムラーノは、ESC(日産名“VDC”)が4WDモデルのみにしか与えられずACCの設定もないのはすこぶる残念。
【ライバル車 その2】ホンダCR-V(2.4リッター/246万7500円〜323万4000円)
■SUV×ミニバン
クーペ風味のサイドウィンドウグラフィックで頑張りはするものの、CX-7やムラーノと並べると、そのルックスはやっぱり無骨。が、そんなテイストが、こうしたライバルたちよりもひと回り小さいボディサイズを意識させない、むしろ強い存在感をアピールするのも、またデザイン上の特徴だ。
テールゲートを立て気味とし、フロント席もサイドスルー可能とするなど、全体的なデザイン&パッケージングの考え方は、CX-7やムラーノとは明らかに異なるもの。そう、彼らが「SUVとスポーツカーのクロスオーバー」であるならば、こちらは明らかに「SUVとミニバン、もしくはワゴンとのクロスオーバー」に近いのだ。
2.4リッターの自然吸気エンジンを搭載するCR-Vだが、CX-7よりも楽に100kg以上、ムラーノの3.5リッターモデルとの比較では、200kgほども軽い。その重量を活かし、加速の力感に不足はない。と同時に、4気筒ユニットでありながらその回転の静かさ、滑らかさも特筆レベル。組み合わせるATは5速だが、まるでショックなど意識させられないシフト動作にも感心する。
ライバル同様にFF仕様と4WD仕様を用意するものの、両者の乗り味の差が他車の場合よりも大きめなのは気になるポイント。FF仕様は「こういうカタチのアコード」と言えるほどに上質な走りを味わわせてくれるのに、4WD仕様になるとばね下の動きにドタバタ感が増してしまう。「2駆の方が走りがよいSUV」とはちょっと情けない……。
(文=河村康彦/写真=広報写真)

河村 康彦
フリーランサー。大学で機械工学を学び、自動車関連出版社に新卒で入社。老舗の自動車専門誌編集部に在籍するも約3年でフリーランスへと転身し、気がつけばそろそろ40年というキャリアを迎える。日々アップデートされる自動車技術に関して深い造詣と興味を持つ。現在の愛車は2013年式「ポルシェ・ケイマンS」と2008年式「スマート・フォーツー」。2001年から16年以上もの間、ドイツでフォルクスワーゲン・ルポGTIを所有し、欧州での取材の足として10万km以上のマイレージを刻んだ。