オペル・ザフィーラ 2.2スポーツ(FF/4AT)【試乗記】
欠点を見せない 2005.12.17 試乗記 オペル・ザフィーラ 2.2スポーツ(FF/4AT) ……326万3000円 2005年の東京モーターショーで発表された、オペルのミニバン「ザフィーラ」。来年1月の発売を前にさっそく試乗した。2代目ザフィーラの印象は?パッと見のインパクトは強くないが……
「オペル・ザフィーラ」は7名乗車も可能な、多目的多機能多用途のミニバンである。オペルファミリーのドイツ車ながら大GM傘下にあり、全世界を視野にいれたグローバルな性格をもたされたクルマだ。それゆえに新奇さを欠いたやや地味な存在ではあるが、内容的には生真面目に造られた質実剛健車で、華美な派手さを避けたロングライフカーでもある。
そのザフィーラが新型に生まれ変わった。2.2リッターガソリン直噴エンジン(150ps)を搭載して高性能化し、現代風の化粧を施しながら「ホンダ・ステップワゴン」のようなガラスルーフ車も加え、このクラスで世界一競争激甚な日本市場へ投入された。
よってパッと見のインパクトはそれほど強くはないものの、じっくり見ていくとひとつひとつの造りに大企業の仕事らしい、時間を費やして開発された真摯で模範解答的な仕上げがみられる。
たとえば、折り畳み機構を備えた7人乗りシートの2列目はスライド量も大きいし、3列目は取り外したりぶら下げたりすることなしに、フラットなフロアから比較的簡単な操作で起き上がる。当然クッションは薄いものの、カッチリした剛性と形状を持ち、足元や腕回りなど周辺のスペースも確保された適当な空間と共に、一時しのぎ以上にちゃんと乗れる工夫がなされている。シートのクッション部分は比較的硬めで形状は平板ながら、座面の後傾斜角もちゃんと与えられており、前席背面のランバー部の張り出しも考慮されたものだし、要はツボを心得た造りがなされている。
やや高めのシート取り付け位置は、ドアを開けてそのまま横移動で腰掛けられる位置にあり乗降性も良好。ただし低いフロアに対しサイドシルは高めなので、足元のアクセスはやや難儀。ただこれも強固なボディ剛性に免じて、許せる範囲だ。
4リッターマシンを追いかける
2.2リッターエンジンは特別目を見張るようなスペックこそ持たないけれども、トルクとレスポンスを重視した実用エンジンの典型。高回転域はやや煩わしいけれども、ECOTECユニットの前例に倣えば、慣らしをキチンとやることによりスムーズさと静粛さは次第に進行していく。ただし慣らしの期間はやや長めとなるが。
4段のオートマチックトランスミッションは実績のあるもので、段数だけに注目すると流行には遅れている。しかしこの日の試乗では、箱根ターンパイクの上りでも、1.8トンの「BMW540i」に離れることなく追尾できた。1560kgの重量は軽いほうだ。2速で120km/hまで引っ張れる設定のギアレシオは、多段型に比べてクロースしてはいないものの、トップエンドまでパワーが衰えないエンジンとあって、ワイドゆえの守備範囲の広さを有効に使うことができる。手動でギアポジションを積極的に選べる機構は持たないものの、AT本来の足で踏みこみ加減を調整する伝統的な方法をもってすれば、キックダウンは有効に作動し微妙に踏み分けることが可能。答えを一つに集約しつつある自動化されたものより面白い。
中央部にたくさん小物の収容部を挟み、二分されたガラスルーフは、真ん中から前後に電動でスライドするサンシェードを持つ。開けると室内は明るく、開放的な雰囲気が得られる。ただし重量が高い位置に加算された結果、重心高の増加は否めず、ロール感は悪化している。
欠点らしき欠点を見せないザフィーラ。
が、強いて気になる点を探せば、最近の車は各部の操作系を軽くする傾向にあるも、ステアリングの操舵、シフトレバーの操作、サイドブレーキの操作、ドアの開閉などはやや重い部類に入るところか。ただ、これもドイツ車は一般に重めだから、本国では問題にしていないのかもしれない。
(文=笹目二朗/写真=峰昌宏/2005年12月)

笹目 二朗
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