トヨタ プレミオ 1.8X“Lパッケージ”(4AT)【ブリーフテスト】
トヨタ プレミオ 1.8X“Lパッケージ”(4AT) 2005.02.22 試乗記 ……241万7100円 総合評価……★★★ トヨタのミディアムセダン「プレミオ」とその兄弟車「アリオン」がマイナーチェンジされた。落ち着いたイメージの「プレミオ」1.8リッターモデルに、自動車ジャーナリストの生方聡が乗った。
|
ファミリーカーにはふさわしいけど……
ふだん普通に使うなら、サイズのわりに室内や荷室が広くて、運転がしやすく、ほどよく快適なプレミオ。周りから見ても嫌みがないし、威圧感もない。ファミリーカーにはふさわしいクルマである。
そんな優等生でも、日本のセダン市場ではなかなか人気者にはなれない。ワゴンやハッチバック、ミニバン、SUVなど、サルーン以外のタイプがこれほどたくさんあると、あえてセダンを選ぶ理由が明確に示されなくてはならないのだ。
ではどんな性格が必要とされているのか? いまなら“偉ソー”か“速ソー”だろう。これこそ、他のジャンルのクルマがセダンに及ばない部分なのだ。「マークX」や「クラウン」がモデル別ベスト10の常連であるのもうなづけるし、外国勢のセダンが日本車ほど勢いを失っていないのもそんな理由からである。
反対に、“楽ソー”とか“広ソー”はもはやセダンを選ぶ理由にならない。たとえセダンの中では優れていても、他のタイプに比べたらアドバンテージにならない場合は多い。だから、“偉ソー”でも“速ソー”でもないプレミオはこれからも辛い立場に置かれそうな予感がする。かといって、日本のセダンが“偉ソー”や“速ソー”ばかりでは困る。「どうしてもセダン」という人が確実に減っているだけに、他のジャンルのクルマを超える魅力探しが必要というわけだ。
|
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
「コロナ」の跡を継ぐミディアムセダンとして、2001年12月にデビュー。販売系列が異なる「アリオン」とは兄弟車で、プレミオは落ち着いたイメージを持つ。
ビスタと共用するプラットフォームに、5ナンバー枠に収まる4ドアセダンボディを架装。ミニバンを意識してか、オーソドクスな3BOXスタイルながら、リアシートは20度のリクライニング機構に加え、6:4分割可倒&フォールディング機構を備える。前席ヘッドレストをはずせば、フロントシートを後席座面とフラットにできるなど、ミニバン顔負けのシートアレンジが可能だ。
エンジンは、1.5リッター1NZ-FE型、1.8リッター1ZZ-FE型と、筒内直噴「D-4」2リッター1AZ-FSE型の3種類。トランスミッションは、2リッターがCVT、他のエンジンは4段ATと組み合わされる。FFのほか、1.8リッターモデルには4WDも用意される。
(グレード概要)
排気量によって小さい順に「F」「X」「G」と分けられ、1.8X“Lパッケージ”は、1.8リッターの中間モデル。“Lパッケージ”は、オプティトロンメーター、マルチインフォメーションディスプレイ、CD一体AM/FMマルチ電子チューナー付ラジオなどが標準装備。ステアリングホイールとシフトノブは本革巻きとなる。
【車内と荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★
運転席のドアを開けてまず目にはいるのが、T字を描くように配された木目パネル。“ウッド調”とはいえ、美しい仕上がりで室内を上品に演出している。ちなみに、この「X“Lパッケージ”」は、アイボリーの内装色とライトブラウンのパネルという組み合わせが標準だが、この試乗車は注文時に指定すれば選ぶことができるダークグレーの内装色とミディアムブラウンのパネルの組み合わせであった。
装備については、「X」でもほぼ不満のないレベルだが、本革巻ステアリングホイールやシフトレバーが比較的リーズナブルな価格で装着されることを考えると、このX“Lパッケージ”のほうがお買い得かもしれない。なお、試乗車に装着されるディスチャージヘッドランプや雨滴感知式フロント間欠ワイパー、そして、G-BOOK対応DVDナビはメーカーオプションである。オートライトやオートエアコンは全車に標準となる。
ところで、セダンにはリアワイパーが装着されないクルマが多いのだが、雨の日の後方視界の確保にはぜひほしい。その点、このプレミオにはリア間欠ワイパーが標準で備わっており、個人的には、他の快適装備よりもうれしく思った。
(前席)……★★★★
クッション、バックレストともに十分な厚みが確保されたフロントシートに座ると、背中やお尻が面で支えられ、これがなかなか快適である。とくに腰のあたりの“張り”具合が適度で、試乗中に痛みや疲れを覚えることはなかった。
プレミオには、ゲート式のシフトレバーが採用されている。スポーティな性格のクルマに5段や6段といったオートマチックが採用される場合は別だが、4段オートマチックくらいなら、流行のシーケンシャル式マニュアルシフトよりもゲート式のほうが使いやすい。操作に必要な力も軽く、確実にポジションを選択できるのもいい。
ドライバーまわりの収納も十分。アームレストの下には2階建ての収納スペースが用意されている。その収納力は文句ないが、アームレストとして使うにはもう少し高い位置のほうが好ましいと思う。
(後席)……★★★★
このクルマの見どころといっていいのが後席の広さだ。全長4600mmのボディはいまや決して大きくはないが、身長167cmの私が運転席でポジションを決めてリアシートにまわると、膝の前には20cm以上の空間が確保されるのだから凄い。足元のスペースも十分で、窮屈さとは無縁だ。
前席同様、厚手で適度に張りのあるクッションとシートバックは快適な座り心地。標準状態で、やや寝ているかなぁと感じたシートバックはさらに一段階大きく後ろに倒すことができる。その際、背後にあるトレイ(トヨタでは“パッケージトレイ”と呼ぶ)がシートバックにあわせて動く仕組みになっている。ただ、私の好みを言わせてもらうと、むしろ多少前に倒せたほうがいいと思った。
(荷室)……★★★
80cm以上の奥行きが確保されるトランクは、幅や高さも十分で、普段使うにはほとんど困ることはないし、荷物が多いときには6:4分割式のリアシートを畳むことで、奥行きを170cmほどまで拡大することができるのがうれしい。
難をいえば、リアシートを畳む操作が意外に面倒くさい。シートクッションを起こし、ヘッドレストを外すのは、ダブルフォールド式のクルマでは一般的だが、プレミオでは、シートバックを倒す際、パッケージトレイを取り外したり、後席中央のシートベルトを分割したりする必要があるのだ。しかも、その作業は、取扱説明書を読まないとわからない。これではせっかくの工夫も使われずに終わってしまいそうだ。無理に後席のリクライニング機構を設けなければ、こんなに難しくはなかったのに……。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★
プレミオに用意されるエンジンは、1.5リッターと1.8リッター、そして2リッターの3タイプ。このうち、Xには1.8リッターエンジンが搭載される。組み合わされるギアボックスは4段オートマチックだ。
エンジンのスペックは、前輪駆動と4WDとでは多少異なり、試乗した前輪駆動モデルでは、最高出力132ps/6000rpm、最大トルク17.3kgm/4200rpmと、まあ常識的な性能である。実際に運転した印象は期待以上で、常用する3000rpm以下の回転域で、実にトルク豊かでレスポンスもよく、スムーズであるのだ。
高速道路を走る場合でも、100km/h以下で巡航するかぎりはエンジンが発するノイズは気にならない。3000rpmを超えてから急にノイズが目立ちはじめるあたりは、いかにも日本向けのクルマ、という感じがした。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★
乗り心地は、硬すぎず、ソフトすぎない適度なもので、路面が良好な場所ではフラットな印象である。しかし、荒れた路面に遭遇するとフロントタイヤが多少ばたつく傾向があり、ショックも伝えがちだ。また、フロントタイヤのロードノイズも気になった。
今回の試乗は一般道と都市高速が中心で、その範囲でのクルマの挙動はとりたてて軽快なものではなく、どちらかといえば緩慢な印象を受けた。多少不満に思えたのが高速道路での直進性で、ステアリングの中立付近に拳ふたつ分ほど反応が鈍い部分があり、そのためか直進時に舵の座りが悪く、心許なかった。
操舵力は終始軽めで、街中では扱いやすいのだが、もう少し重くてもいいかと思う。
(写真=高橋信宏)
【テストデータ】
報告者:生方聡
テスト日:2005年2月8日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2005年型
テスト車の走行距離:836
タイヤ:(前)195/65R15 91S(後)同じ(いずれもブリヂストンB390)
オプション装備:音声案内クリアランスソナー(4万2000円)/G-BOOK対応DVDボイスナビゲーション付きワイドマルチAVステーション+音声ガイダンス機能付きカラーバックガイドモニター+TVアンテナ(28万8750円)/195/65R15 91Sタイヤ&6JJアルミホイール(7万5600円)/ディスチャージヘッドランプ+ウォッシャー連動間欠フロントワイパー(5万7750円)
形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(6):高速道路(4)
テスト距離:177.8km
使用燃料:14.8リッター
参考燃費:12km/リッター

生方 聡
モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。
-
BYDシールAWD(4WD)【試乗記】 2026.1.17 BYDのBEVサルーン「シール」の機能アップデートモデルが登場。強化のポイント自体はそれほど多くないが、4WDモデルの「シールAWD」は新たに電子制御式の可変ダンパーを装備したというから見逃せない。さまざまなシーンでの乗り心地をチェックした。
-
マツダCX-60 XDドライブエディション ナッパレザーパッケージ(4WD/8AT)【試乗記】 2026.1.14 「マツダCX-60」に新グレードの「XDドライブエディション ナッパレザーパッケージ」が登場。スポーティーさと力強さ、上質さを追求したというその中身を精査するとともに、国内デビューから3年を経た“ラージ商品群第1弾”の成熟度をチェックした。
-
カワサキKLX230シェルパS(6MT)【レビュー】 2026.1.13 その出来には“セロー乗り”も太鼓判!? カワサキのトレイルバイク「KLX230シェルパ」に、ローダウン仕様の「シェルパS」が登場。安心の足つき性で間口を広げた一台だが、実際に走らせてみると、ストリートでも楽しめるオールラウンダーに仕上がっていた。
-
メルセデス・ベンツC220dラグジュアリー(FR/9AT)【試乗記】 2026.1.12 輸入車における定番の人気モデル「メルセデス・ベンツCクラス」。モデルライフ中にも年次改良で進化し続けるこのクルマの、現在の実力はいかほどか? ディーゼルエンジンと充実装備が魅力のグレード「C220dラグジュアリー」で確かめた。
-
日産ルークス ハイウェイスターGターボ プロパイロットエディション(FF/CVT)【試乗記】 2026.1.10 日産の軽スーパーハイトワゴン「ルークス」がフルモデルチェンジ。「見えない危険が……」のテレビCMでお茶の間をにぎわせているが、走る、曲がる、止まるをはじめとしたクルマ全体としての仕上がりはどうか。最上級グレードをテストした。
-
NEW
クルマの乗り味の“味”って何だ?
2026.1.20あの多田哲哉のクルマQ&A「乗り味」という言葉があるように、クルマの運転感覚は“味”で表現されることがある。では、車両開発者はその味をどう解釈して、どんなプロセスで理想を実現しているのか? 元トヨタのエンジニア、多田哲哉さんに聞いた。 -
NEW
プジョー208 GTハイブリッド(FF/6AT)【試乗記】
2026.1.20試乗記「プジョー208」にマイルドハイブリッド車の「GTハイブリッド」が登場。仕組みとしては先に上陸を果たしたステランティス グループの各車と同じだが、小さなボディーに合わせてパワーが絞られているのが興味深いところだ。果たしてその乗り味は? -
ベントレー・コンチネンタルGTアズール(4WD/8AT)【試乗記】
2026.1.19試乗記ベントレーのラグジュアリークーペ「コンチネンタルGT」のなかでも、ウェルビーイングにこだわったという「アズール」に試乗。控えめ(?)な680PSのハイブリッドがかなえる走りは、快適で満ち足りていて、ラグジュアリーカーの本分を感じさせるものだった。 -
第327回:髪もクルマもナイスファイト!
2026.1.19カーマニア人間国宝への道清水草一の話題の連載。日産の新型「ルークス」で夜の首都高に出撃した。しっかりしたシャシーとターボエンジンのパワフルな走りに感心していると、前方にスーパーカーの姿を発見。今夜の獲物は「フェラーリ・ローマ」だ! -
日本で売れるクルマはあるのか!? 最新の“アメリカ産ニホンシャ”を清水草一が検証する!
2026.1.19デイリーコラムアメリカからの外圧による制度変更で、北米生産モデルの国内導入を決めたトヨタ。同様に、今後日本での販売が期待できる「海外生産の日本車」には、どんなものがあるだろうか? 清水草一が検証してみた。 -
フェラーリ12チリンドリ(後編)
2026.1.18思考するドライバー 山野哲也の“目”レーシングドライバー山野哲也が「フェラーリ12チリンドリ」に試乗。前編では伝家の宝刀であるV12エンジンを絶賛した山野。後編ではコンビを組むシャシーの印象を余すところなく聞いてみた。






























