ランボルギーニ・ガヤルド(2ペダル6MT)【試乗記】
イタリアの血 2004.08.06 試乗記 ランボルギーニ・ガヤルド(2ペダル6MT) ……2011万2750円 ルックスも性能も“スーパー”なランボルギーニが、親会社アウディの手を借りてつくりあげた「ガヤルド」。自動車ジャーナリストの河村康彦は、5リッターV10を積む猛牛の“妙なトコロ”に、イタリアの血を感じた。“スーパー”なルックス
30cm短い全長、約15cm狭いボディ幅と、一見しての“はったり度”では兄貴分“ムルシー”こと「ムルシエラゴ」に差をつけられる「ガヤルド」。だが、やっぱりこのクルマも絵に描いたようなスーパーカーだ。なにしろ、ルックスが“コレ”なのだから。
ムルシーのようにドアは跳ね上がらないものの、極端に低いノーズ、彫刻刀で彫り込まれたかのようなサイドエアスクープ、小さなグラスエリアなどが“普通の”スポーツカーとの違いを主張。ドアミラーひとつをとっても、そのまま美術館のガラスケースのなかに置けそうなほど凝った造形だ。テストカーが派手なイエローカラーを纏っていたことを差し引いても、この“塊”がにわかに近寄り難いオーラを発していることは間違いない。まるでボディのどこかに「接近危険!!」という文字が貼り付けてあるのかと疑いたくなるほどに。混雑した市街地でも、まわりのクルマが気を遣っているのが手にとるようにわかる……。
望外の実用性
ドアを開いて脚を投げ出し、ドライビングポジションを決める。そもそも全高が1165mmしかない(それでもムルシーより30mmほど高いのだが)ので、当然アイポイントもグッと低い。しかし、想像よりヒール段差(フロアとヒップポイント間の高低差)は大きく、そのおかげでアクセルとブレーキペダルの踏み込み操作には、ある程度上方から踏み下ろす感覚が残っていた。フォーミュラマシンのような寝そべるようなスタンスとはちょっと違う。要するに、思ったよりフツーなのである。
ミドシップレイアウトならではの超ハイデッキプロポーションのため、振り向き後方視界が絶望的であることを除けば、意外なまでに視界がいいのは助かった。そういえば、フロントのトランク容量も予想外に“大”。スーパーカーカテゴリーにおいては、望外の実用性を持つのが、このクルマだ。
インテリアの雰囲気は、スパルタンというよりも「シックでモダーン」。ただし、トランスミッションのポジションインジケーターやメーターナセルのデザインなど、そこココに“親会社”たるアウディの香りが漂うのはちょっと残念だが。
ローギア8000rpmで……
総排気量4961ccのV10が発するサウンドは、「ポルシェ・カレラGT」のドライブで耳にしたV10とはずいぶん異質なもの。カレラGTはそこはかとなく“F1風味”だったのに、こちらはどうにも普通、“5気筒×2倍”という印象だ。
もっとも、そんなサウンドとともに生み出される加速感は文句ナシに豪快。ちょうど500psの怒涛のパワーに対して、アウディ得意のアルミスペースフレーム技術から成るボディ重量が1.4トンプラスしかないのだから、当然といえば当然だ。
試乗日はあいにく雨だったが、ウェット路面でもちょっと飛ばす程度では、トラクション性能やハンドリングに微塵も不安は感じない。ガヤルドの駆動系には、これもまたアウディが得意とする4WDシステムが奢られているからだ。
ギア比は高めに設定されており、1速でレッドラインの8000rpmまで引っ張ると100km/hを軽く突破してしまう(!)。トランスミッションは6段MTが標準、今回のテスト車はそれをベースに2ペダル化した「E-gear」がオプション装着されていた。
なかなか巧みなシフトを行うE-gearのできばえに「これもアウディとのコラボレーションによる賜物か」と気をよくしていると、好事魔多し。突然トランスミッションの警告灯が点灯した。濃霧のなか、このまま箱根にクルマを置いて行かなければならないのか!?
……と心配したのだが、結局その後もポンポンとリズミカルなシフトワークを繰り返してくれた。不調なのは、E-gearなのか、それとも警告灯(電気系)なのか……。
妙なところで“イタリアの血”が、いまでも脈々と流れていることを知らされたガヤルドなのであった。
(文=河村康彦/写真=郡大二郎/2004年8月)

河村 康彦
フリーランサー。大学で機械工学を学び、自動車関連出版社に新卒で入社。老舗の自動車専門誌編集部に在籍するも約3年でフリーランスへと転身し、気がつけばそろそろ40年というキャリアを迎える。日々アップデートされる自動車技術に関して深い造詣と興味を持つ。現在の愛車は2013年式「ポルシェ・ケイマンS」と2008年式「スマート・フォーツー」。2001年から16年以上もの間、ドイツでフォルクスワーゲン・ルポGTIを所有し、欧州での取材の足として10万km以上のマイレージを刻んだ。
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