新型「スカイライン」はこうなる! 各発表情報から日産の伝統的セダンの未来を探る
2026.05.08 デイリーコラムファンをヤキモキさせてきたウワサや報道
日産は、去る2026年4月14日におこなわれた長期ビジョン発表の場で、「スカイライン」の次期型を開発・発売予定であることを公式にアナウンスした。それ以来、国内のクルマメディアやカーマニアは、ちょっとしたお祭り状態となっている。
スカイラインという名前のクルマは、1957年に富士精密工業(当時)が発売した初代から今現在まで、途切れることなく続いている。スカイラインは国産市販車の商品名としては、1954年の「ジープBJ」の改名からはじまったトヨタの「ランドクルーザー」、そして同じくトヨタが1955年に初代を発売した「クラウン」に次ぐ長い歴史を誇るわけだ。
ただ、そんなスカイラインも、通算14代目となる現行型が登場したのは、今から約12年前の2014年のこと。その後、2019年にフェイスデザインを(日本専用に)刷新するビッグマイナーチェンジを受けたが、以降も新型のウワサは一向に聞こえてこなかったところに、2021年6月12日付の日本経済新聞(日経)に「日産がスカイラインなどのセダンの新型車の開発を中止……日産はスポーツ多目的車(SUV)や電気自動車(EV)などに経営資源を集中する方針で、国内ではセダンから撤退の可能性」という記事が載った。
当時はすでに伝統的セダンの販売終了・生産中止の報が相次いでおり、日経の記事をきっかけに、ファンの間で「スカイライン、お前もか!?」という落胆が広がった。しかし、その3日後の2021年6月15日に開かれた「ノート オーラ」の発表会場で、日産の星野朝子副社長(当時)は「日産自動車は決してスカイラインを諦めません」と報道を明確に否定した。というわけで、スカイラインという商品名が存続することはひとまず言明されたものの、それがどういう形で……なのかまでは明らかにされず、日経の記事内容から「SUVになる?」といった説もささやかれた。
そうこうしているうちに、日産そのものが歴史的な経営難におちいり、ホンダとの経営統合を検討したり、それが破談になったり、それを受けたドタバタの末に社長が交代したり……と、上を下への大騒ぎとなったのはご承知のとおりだ。
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長期ビジョンの発表会でその姿を“チラ見せ”
そんな日産はイヴァン・エスピノーサ新社長のもと、2025年5月に大規模なリストラと新しい市場・商品戦略を盛り込んだ経営再建計画「Re:Nissan」を発表。続いて、エスピノーサ社長自身が「未来に向けた明るい話題だけを語らせていただきたい」とした今回の長期ビジョン発表で、新型スカイラインの計画を自身の声でアピールするとともに、その姿を“チラ見せ”する画像と動画を公開した。
その画像や動画からは、開発中の次期スカイラインも多くのファンの期待どおりのセダンであることが、あらためて明らかになった。もっとも、ここ数年で業界内に漏れ伝わっていたスカイライン情報のなかには、SUV化という話もなかったわけではない。実際、日産も次期スカイライン像として、SUV……というか、セダンではないクロスオーバーモデルの可能性を真剣に探っていたようだ。
先にも触れたRe:Nissanにおいて、日産は今後の商品ラインナップを“コアモデル”“成長モデル”“パートナーシップモデル”“ハートビートモデル”という4本の大きな柱で再定義していくとした。具体的には、日本でいうと「セレナ」や「ノート」といった手堅く売れる定番商品がコアモデル、近未来の普及が期待されるEVや新興市場戦略の要となるコンパクトSUVが成長モデル、そして中国で現地開発される中国専用EVやルノーから供給される欧州向けモデルなどが、パートナーシップモデルということだ。
最後のハートビートモデルとは「日産の情熱とDNAを体現するアイコニックな車種」だそうで、売上高や販売台数を追うのではなく、ブランドイメージやカーマニアの評価を高めつつ、得意顧客を囲い込むための商品という位置づけだ。で、スカイラインもこのハートビートモデルに分類される。
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デザインは“ハコスカ”風になる?
そんなカーマニア期待の新型スカイラインについては、セダンであり、現在は鋭意開発中であること以外、なんの情報も明らかではない。ただ、公開された画像や動画には、いくつかのヒントがある。
まずリアフェンダー付近と目される部分が切り取られた公式画像からは、1968年から1972年に販売された通算3代目スカイライン(通称ハコスカ)を思わせるサイドの鋭いプレスラインと、同じく当時を模した筆記体の「Skyline」ロゴが目につく。また、ハコスカと並走する新型スカイラインが映し出される公式動画からは、伝統の丸目4灯テールランプや、釣り目でシャープな造形が特徴的なフロントエンド(S14「シルビア」の後期型みたい……との声あり)が確認できる。
いずれにしても、そのシルエットやモチーフは、2001年デビューの11代目以降よりも、それ以前のハコスカから10代目までのイメージを踏襲しているようだ。10代目まで基本的に日本専用車だったスカイラインは、11代目からは海外向け高級車専門ブランドであるインフィニティの1車種として、北米などでも販売されるようになった。新型スカイラインのデザインは、日本車専用時代への“先祖返り”が最大のテーマのようにも見える。テーマとしてはよくも悪くもヒネリがないが、だからこそ熱烈なファンのハートをビートさせるのかもしれない。
発表は2027年か
クルマの中身についても詳細はまるで不明だが、わざわざハコスカまで連れ出して往年のイメージを強調するのだから、FRレイアウトであることは間違いないだろう。しかし、これまでに日産が新しいFRプラットフォームを新開発しているというウワサはこれっぽっちも存在せず、あのトヨタですら、近年はFRプラットフォームを刷新できずにいる。そう考えると、新型スカイラインも、従来モデルのプラットフォームや骨格設計を活用して仕立てられる可能性がきわめて高い。
パワートレインについては、かねて「EVになる」とか「高出力e-POWER搭載」など、多くのウワサや臆測が飛びかってきたが、今回の長期ビジョンで公表された北米向けインフィニティについての言及に注目したい。そこでは「インフィニティは今後も日産の商品戦略において引き続き重要な役割を担います」とあり、今後に予定される新しい4モデルのなかに「走りを重視したV6セダン」があげられている。先にも触れたとおり、11代目以降のスカイラインはインフィニティでも販売されてきた。インフィニティの新しいV6セダンもこの先例にならうなら、少なくとも基本ハードウエアは新型スカイラインと共有となるはずで、必然的に新型スカイラインも、現行型同様のV6を積むことを意味する。
……と現実的に考えると、新型スカイラインは、プラットフォームや車体骨格、エンジンなどは従来改良型としつつ、デザインをクラシカルなイメージに刷新する可能性が高い。前出のインフィニティV6セダンには「走りを重視した」という形容表現もあるので、心臓部も現在と同じ3リッターV6ツインターボ「VR30DDTT」エンジン(の改良型)が基準となりそうだ。……って、どこから聞いた話だと思ったら、まさに現行のRZ34型「フェアレディZ」のモデルチェンジ内容そのもので、新型スカイラインでもそれに似た手法が使われるのではないだろうか。であれば、RZ34同様に6段MTも設定してほしいと個人的には思う。
もし、新型スカイラインが筆者の推測どおりにつくられるとすれば、クルマとしての仕上がりは期待できるし、また開発にもそう長い時間はかからないだろう。新型スカイラインは発売時期も未公表だが、来る2027年は、初代スカイラインの発売から数えて70周年という記念イヤーとなる。日産の復活を象徴する新型スカイラインのデビューには、これ以上ないタイミングではあるなぁ。
(文=佐野弘宗/写真=日産自動車/編集=堀田剛資)

佐野 弘宗
自動車ライター。自動車専門誌の編集を経て独立。新型車の試乗はもちろん、自動車エンジニアや商品企画担当者への取材経験の豊富さにも定評がある。国内外を問わず多様なジャンルのクルマに精通するが、個人的な嗜好は完全にフランス車偏重。
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