ランボルギーニ・ガヤルドLP570-4 スーパーレジェーラ(4WD/6AT)【試乗記】
そのガヤルド凶暴につき 2011.11.07 試乗記 ランボルギーニ・ガヤルドLP570-4 スーパーレジェーラ(4WD/6AT)……3377万4825円
超軽量を意味する「スーパーレジェーラ」。ベース車の「LP570-4」と比較して70kg軽量化された「ガヤルド」は、一体どれだけ凶暴化したのか。猛牛で箱根を目指す!
つまりはランボの「タイプR」
朝焼けが残る大手町の道端で、片手を上げると派手なオレンジ色にペイントされたランボルギーニが止まった。同社のメインモデル「ガヤルド」の軽量化バージョン「ガヤルドLP570-4 スーパーレジェーラ」である。さっそく運転席を譲ってもらい、走り出す。
「つまり、ランボルギーニのタイプRですな」と『webCG』編集部のTさん。なるほど、と思ったのが約1時間後。箱根のターンパイクの急坂を駆け上がったときだ。「こりゃスゴい!」と思わせるのが、自然吸気ならではのリニアな加速で、ペダルを踏む量にキレイに比例して速度が変わる。背中にしょった5.2リッターV10は、ソフトウェアを見直したのだろう、ベーシックガヤルドより10ps高い570psを、同じく8000rpmで絞り出す。大排気量を感じさせないスムーズなエンジンで、ストレスなく8500rpmのレブリミットに向かって吹け上がる。いかにもスポーツカーらしい、ドライサンプのフォーカムユニットである。これならG・ビザリーニ技師も納得するに違いない!
ガヤルド・スーパーレジェーラ、たしかにエンジンを回して走るのが楽しいところは、かつてのホンダ・スポーツモデル群を思い出させる(もちろんスケール感は異なるが)。ただ、当初の興奮が収まってすこし冷静に10気筒のフィールを観察すると、「タイプRほど刹那(せつな)的に突出していない」と思う。では、「3000万円級のカッコいいクルマに乗っている」という要素とはまったく別の、ハンドルを握っていての楽しさはどこからくるのか……? ちょっと考えて、あまりに当たり前のことに笑ってしまった。
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カーボン三昧のボディー
ガヤルド・スーパーレジェーラのファン・トゥ・ドライブはどこから来るのか? それは「軽さから」である。車名の通りに。ちなみに、スーパーレジェーラとは、かつて「カロッツェリア・ツーリング」が得意としていたボディー構造のこと。細い鋼管で組んだフレームに、(絶縁体を介して)薄いアルミパネルを貼って車体を形づくる。言うまでもなく、ガヤルド・スーパーレジェーラのボディー構造はノーマルモデルと同じだが、各部にカーボンファイバーをおごって軽量化を図っている。
同車に近づくと、まず黒いリアウイングに「オッ!」と思う。カーボンファイバー製。後端底面のディフューザーもカーボン。10気筒のショーウィンドウは、カーボンファイバーに縁取りされた透明樹脂に変更された。ご丁寧に、リアのクオーターウィンドウも樹脂製に。指先で叩くと、軟質な音がする。
フロントに回ると、専用フロントバンパーの下端部がアグレッシブに前方へ突き出す。サイドスカート、サイドミラーにもカーボンファイバーが使われる。
低いバケットシートにお尻を落としてドアを閉めようと手を伸ばすと、カーボンファイバーの内張りからは質素な革のストラップが出ているだけ。レーシーな演出だ。一方、車内のインテリアは、ふんだんにアルカンターラを使った贅沢(ぜいたく)なもの。オーディオ、空調、パワーウィンドウ、そしてナビゲーションシステムなど、快適装備を完備する。テスト車には、バックモニターまで装備されていた。
ヤル気をそそる硬い足
ガヤルド・スーパーレジェーラ、カタログ上の車重は1340kg。本国版では「ベース車両より70kgの軽量化」とのことだが、日本仕様の「LP560-4」は1500kgとなっているから、160kgも軽いことになる! ただし記載値は乾燥重量なので、念のため車検証を確認してみる。前車軸重660kg、後車軸重880kg、車両重量1540kgとなっていた。あくまで参考値ですが。
計測したわけではないが、「掛け値なし!」と思わせるのが「0-100km/h=3.4秒」の加速力。サンタアガタの猛牛は登り坂などものともせず、わき出るパワーをむさぼり喰うようにして突進してゆく。タコメーターの針が振り切れんばかりに10気筒を引っ張ると、1速で80km/h、2速で早くも100km/hを突破しそう。3速では……!
ピークパワーの発生回転数が8000rpmと聞くと、ずいぶん高回転型に思えるが、そこは5リッターからの排気量をもつクルマである。低回転域のトルクも豊富だ。箱根のターンパイクなら、サードに入れっぱなしでも、ちょっとしたスポーツモデルを蹴散らすことなど造作ないはずだ。とはいえ、ガヤルド・スーパーレジェーラに限っては、他者との比較で優越感を得る必要などまったくない。大きめのカーブをそこそこいい速度で回っていき、ここぞ! というところでアクセルを踏み込む。と、勇敢な牛は4本の足に力を込めて、胸がすくような加速を見せてくれる! あとは心の中で、赤い布を振りすぎないようにするだけだ。いかな6ピストンのブレーキといえども、物理的な限界を超えることはできないのだから!!
「軽さ」にプラスして、スーパーレジェーラを運転していて楽しい理由は、足まわりのよさ、だろう。ダンパー、アンチロールバー、そしてサスペンションマウントが強化されたSL専用チューンが施された。スポーティーな、締まった乗り心地がヤル気をそそる。ただし、自分ひとりが楽しむ分には乗り心地の硬さはあまり気にならないが(最後までカテゴリー違いのクルマと較べるようで心苦しいのだが)、タイプR同様、ドライブデートにはいささか不向き。
ランボルギーニ・ガヤルド LP570-4 スーパーレジェーラ。車両価格は「ホンダ・シビック タイプR」が9台は買える、2913万2250円である。
(文=青木禎之/写真=小林俊樹)
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青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
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