ホンダ・エリシオンG FF/VX 4WD(5AT/5AT)【短評(前編)】
エリシオンの第一印象(前編) 2004.05.26 試乗記 ホンダ・エリシオンG FF/VX 4WD(5AT/5AT) ……338万6250円/419万4750万円 ホンダ・ミニバンラインナップのフラッグシップとしてリリースされた「エリシオン」。8人乗りのニューモデルはどうなのか? 自動車ジャーナリストの河村康彦が、第一印象を語る。背を向けるユーザー
常識破りの“ペッタンコ”ミニバンことホンダの新型「オデッセイ」が登場してから、早くも7ヶ月が経過した。ニューオデッセイの、「ライバルとは一線を画す!」という目論みはマンマと成功し、セールスの立ち上がりはすこぶる好調とのこと。
が、一方であれだけ個性的なパッケージングゆえ、オデッセイに対してはネガティブな意見もすくなくないと聞く。
「せっかくのミニバンなのに“らしく”見えない……」「ミニバンならではの特長だった高い視点からの見下ろし感覚が得られない……」と、そうした声が多いようだ。
もちろんホンダとしては、ああした超低全高パッケージングの採用を決定した時点で、そうした意見があがることは折り込みずみだったに違いない。1994年以来、2代のオデッセイで多くの“ミニバンファン”を育ててきたホンダにとって、だから3代目モデルに背を向ける“正統派”ミニバンユーザーがいることは、容易に想像できたはずだ。
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小さく見えるわけ
というわけで、ここに紹介するニューモデルは、まさに“新型オデッセイには納得できない人のための”ミニバン。そういえば「エリシオン」なるこのクルマのネーミングは、「古代ギリシアの長編叙事詩である『オデッセイア』に登場する楽園」に由来する。新型オデッセイとエリシオンを併せて、初めてホンダが描く上級ミニバン戦略が完成する。そのことは、両者のネーミングからも推測できるのだ。
全長4840mm、全幅1830mmという体格の持ち主であるエリシオン。ライバルたる「日産エルグランド」や「トヨタ・アルファード」と比較したとき、実際には同等かより大きな寸法を備えるにもかかわらず、むしろ小ぶりに見える。こうした印象を受けるのは、実は全高がはるかに低いから。高さが1.9mを越えるエルグランドやアルファードに対し、エリシオンの全高は“わずか”1.8mに過ぎない。
全高を抑えたエリシオンのパッケージング上の特徴は、「低床」ぶりにある。もちろん、なりふり構わぬ(?)低さに挑戦したオデッセイほど極端なものではない。が、「フルフラットを可能とするなかで、できる限り低い位置にフロアをもってくる」開発思想が、前述ライバルたちとは大きく異なるデザインを実現させたのはたしかだ。
ハズシの戦略
主婦層を中心とした女性ユーザーに、「私でも運転できそう」という印象を抱いてもらうには、ボディをコンパクトに感じさせるデザインが重要、とホンダの開発陣は述べる。
一方で、単純に“見た目の立派さ”からいうと、エリシオンのそんなルックスは、エルグランドやアルファードに一歩ゆずる印象がある。「大きさ控えめ」が特徴のエリシオンと、「押し出し命」のアルファードやエルグランド――このあたりの戦略が販売成績にどのような影響を及ぼすことになるのか、大注目だ。
もっとも、いまやミニバンのトレンドセッターともいえるホンダが、わざわざ日産やトヨタが築いた同じ土俵に上がる必要もないハズ。個人的には、ホンダの“ハズシの戦略”には、モロ手をあげて賛成したくなるのだが……。
(後編につづく)
(文=河村康彦/写真=佐藤俊幸/2004年5月)

河村 康彦
フリーランサー。大学で機械工学を学び、自動車関連出版社に新卒で入社。老舗の自動車専門誌編集部に在籍するも約3年でフリーランスへと転身し、気がつけばそろそろ40年というキャリアを迎える。日々アップデートされる自動車技術に関して深い造詣と興味を持つ。現在の愛車は2013年式「ポルシェ・ケイマンS」と2008年式「スマート・フォーツー」。2001年から16年以上もの間、ドイツでフォルクスワーゲン・ルポGTIを所有し、欧州での取材の足として10万km以上のマイレージを刻んだ。
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