「縦置きFFのメリットはどこに?」
2001.04.15 クルマ生活Q&A ボディ「縦置きFFのメリットはどこに?」
エンジンのレイアウトについて質問します。現在、パサート1.8に乗っているのですが、FFにもかかわらず、エンジンが縦置きです。FF車の場合、エンジンは横置きの方が具合がいいと思うのですが、あえて縦置きにレイアウトするメリットってあるんですか?(STさん)
お答えします。FFでも縦置きのメリットはあります。たしかにエンジンを横置きにすると、ボンネット部分を短くすることができるので、全長をコンパクトに抑えると同時に室内空間を広く使うことが可能になったり、車体を軽量化できます。しかし縦置きのレイアウトにはそれなりのメリットが生まれます。
エンジン縦置きのメリットとして、まずサスペンションアームを長くできることがあげられます。アームが長くなるとサスペンションが縮まったときの(アライメント)変化が少なくなり、結果、路面の状況に影響を受けにくくなります。加えて、両側にスペースが生まれるので、吸入管と排気管の形状の自由度が高まります。これによって、騒音低減や低回転域でのトルク向上がはかれます。さらに、エンジンおよびトランスミッションのマウントの設計自由度が増すので、静粛性および低振動性を向上させることが可能となります。

松本 英雄
自動車テクノロジーライター。1992年~97年に当時のチームいすゞ(いすゞ自動車のワークスラリーチーム)テクニカル部門のアドバイザーとして、パリ・ダカール参加用車両の開発、製作にたずさわる。著書に『カー機能障害は治る』『通のツール箱』『クルマが長持ちする7つの習慣』(二玄社)がある。