日産エルグランドX-リミテッド(4AT)【ブリーフテスト】
日産エルグランドX-リミテッド(4AT) 2000.09.08 試乗記 ……451.3万円 総合評価……★★★イケイケドンドン
日本独自の(ということはスカGに負けず劣らず世界標準からは逸脱した)大勢乗りグルマ、いわゆる「ワンボックス」の上限にして最新世代の鼻つきタイプ。エンジンは前席ケツ下でなくボンネットのなかにある。FR。 登場1997年5月。
お客の好みを絶妙についたアブラギッシュな二段構えの顔つきで「つかみはOK」。商用バンとの兼用を潔く諦めたぶん乗って明らかにマシだったせいもあってか、鼻つき化で先行した宿敵グランビアに対して、販売上でも明確なリードを築いて今にいたる。文句なく、同クラス中の王者として君臨中だ。トヨタにひとアワもふたアワも吹かせているという、実に希少な日産車。ただし、正確には日産車体の製品だが。
追い風状況ということで、2度目となる今回のマイチェンも気合いがアリアリ。メダマは、V6ガソリンエンジンを最新鋭のVQにアップグレードしたこと。しかも3.5リッター(従来はVGの3.3リッター) 。まさにイケイケドンドン。
【概要】 どんなクルマ?
(シリーズ概要)
1997年に登場した3列シートの大型ミニバン。99年8月に、「キャラバンエルグランド」「ホーミーエルグランド」が統合されてエルグランドに。2000年8月に、3.3リッターガソリンエンジンが、3.5リッターに拡大された。3リッターディーゼルも用意される。
(グレード概要)
X-リミテッドは、2000年8月に3.5リッター「VQ」ユニットが搭載されたのを機に設定された最上級モデル。本革・サプラーレ(合皮調素材)を組み合わせたコンビシート、リモコンオートスライドドア、電動式スライドステップなどが標準で装備される。
【車内&荷室空間】 乗ってみると?
(インパネまわり+装備)……★★
積載スペースをギリギリまで大きく確保したいバンとの兼用を諦めた「見返りその1」として、ダッシュボードは奥行きをたっぷりとれた。ボリューム感濃厚。さすがに、これだけデカいと空調や音響やナビゲ画面の配置もムリなくできる。難しい仕事ではない。今回、中央部足元にモノ置き場が追加された。樹脂の見た目や触っての質感は準セドグロ級。装飾センスも含め、ベタな顧客層の好みは外していない。ま、そんなところか。
(前席)……★★★
バン兼用を諦めた「見返りその2」は、運転姿勢および周囲の空間のカタチにおける乗用車度が高いこと。グランビアやアストロと違って、壁際ギリギリに追いやられている感じがしない。そのへんはまあ自然か。一方では、地面からものすごく高いところに脚を投げ出して座らされるクルマ(たとえばデリカスペースギアやAクラス)特有のいいようのない不安を感じさせることもまたない。その意味で、まあ普通か。
(後席)……★★
機能でなくギミックといったほうが正しい各種のハデな可変機構や移動機構が商品として欠かせないこの種クルマにあっては、シート本来の性能に多くを望めないのはしかたない。……と、最初から諦めて期待せず臨めば印象はまあそれなり。理想に近い移動居住空間とはいえないが、わかりやすくデカい。今回からこのグレードの2列目席にのみ導入された背もたれ中折れ機構は、ネて座ること前提なら意味のある親切。まだしも前向き。3列目もまあ実用的。
(荷室)……★
後ろ2列のシートの前後位置をそれらしい嬉しさの味わえる状態に設定すると、荷室は実質アタッシェケース置き場程度しか残らない。ツメツメで座るか、3列目を畳むか。定員乗車の状態で定員ぶんの荷物を積み込めるようには考えられていない。同車にかぎった話ではないけれど、このテのクルマの空間設計における一大矛盾だ。トランク不足を理由に「もっとボディを長くしてほしい」というお客の声も多いらしい。それもなあ。
【ドライブフィール】 運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★
さすがにVQ型は新しい。そして、排気量3.5リッターもあるとたしかに踏めばカッタルさなし。というのが、いいほうの印象のほぼすべて。ショーバイ上は効果的な変更なのでしょう。が、たとえば同じ車重(2040kg)で300cc 少ないメルセデスベンツML320 のパワートレインと較べると稚拙さが目立つ。剛力ぶりを過剰にアピールする唐突な発進特性。ほかが静かなぶんそこだけ目立つエンジン音。並の日本車レベル。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★
高い重心位置がもたらすコワさはグランビアと似たようなものだが、乗るほどに当初のコワさが薄れていくところが対照的。こういうモノとしては意外なほどちゃんと走る。床の低さをある程度犠牲にしてもちゃんとストロークするリアサスを使ったのが勝因か。で、それがバン兼用を諦めたことの「見返りその3」。決定的な違い。グランビアは、ガチガチに固めたバンのアシ(=欧州仕様)だと実はいいのかも。でも日本のはヘロヘロ。
(写真=五條伴好)
【テストデータ】
報告者: 森 慶太
テスト日 :2000年9月5日
テスト車の形態 :広報車
テスト車の年式 :2000年型
テスト車の走行距離 :--
タイヤ :(前)215/65R15 96S/(後)同じ(いずれもBridgestone B361)
オプション装備 :ナビゲーションシステム(42.8万円)/ケンウッドサウンドシステム(8.5万円)/キセノンヘッドランプ(6.0万円)/ISOFIX対応チャイルドシート用アンカー(0.5万円)/特別塗装色(5.0万円)
テスト形態 :ロードインプレッション(プレス向け試乗会)
走行状態 :市街地(9):山岳路(1)
走行距離 :--
使用燃料: --
参考燃費:--
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森 慶太
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