トヨタ・カローラランクスXエアロツアラー(4AT)【ブリーフテスト】
トヨタ・カローラランクスXエアロツアラー(4AT) 2001.03.15 試乗記 ……164.9万円 総合評価……★★万人向け
ハッチバック復活の兆しあり。モノスペースやSUVはしょせんジュラ紀白亜紀の恐竜、やがて自然淘汰される運命にある(と筆者は固く信じている)。代わって小型実用セダンの本命「ハッチバック」がようやく息を吹き返してきた。一旦ボリュームの大きなノッチバックとワゴンに全面シフトしたかに見えたカローラとシビックの2強だが、やはりハッチモデルが圧倒的シェアを占めるヨーロッパ市場を無視するわけにはいかず、カローラはランクスを(ついでに)国内投入、シビックは現地生産の3ドアをまずヨーロッパでデビューさせた後、秋には日本への輸入販売(!)を開始する。
自動車好き、なかでも走り屋系にとって、コンパクトなハッチバックはそれだけで魅力的な存在、ついつい頭に「ホット」の3文字を付けて期待しがちだ。本来はオジサンもオバサンも乗る、単なる足グルマだというのに。それかあらぬかランクスの雰囲気はアウディA3に酷似している。バッジを隠せば間違えそうなリアスタイル、日本車としては珍しく腰から下が深い囲まれ感、限られたスペースに要領よくエアバッグがビルトインされた3スポークのステアリングホイール等々、意図的に狙ったのではと思えるほどだ。ところが、いざ走らせてみるとまるで逆、いつもどおり徹底して万人向けのトヨタ車そのものなのである。実用車としては優れているが、面白くもなんともない。このイメージギャップ、乗り手とつくり手とどっちが悪い?
【概要】 どんなクルマ?
(シリーズ概要)
背高ノッチバックに生まれ変わったセダンとワゴンたる「フィールダー」に遅れること約半年、カローラシリーズに5ドアハッチバックの「ランクス」が追加された。ネッツ販売店系列には「アレックス」の名で供給される。デビュー直後に関していえば、とりあえず販売目標の4倍も売れる好調ぶり。3ドアはない。ベースはむろんカローラ「セダン」で、リアドア以前の部分を流用する。ホイールベースは不変、リアオーバーハングの詰まった全長は190mm短い。エンジンは標準的な1.5リッター「1NZ-FE」型(110ps)のほかに、190psを発する可変バルブタイミングリフト機構“VVTL-i”付きの1.8リッター「2ZZ-GE」型が用意され、6段マニュアルまたは4段オートマチックと組み合わせて搭載される。1.5リッターモデルは4ATのみ。駆動方式は、1.8リッターを除いてFWD(前輪駆動)、4WD(4輪駆動)の2種が用意される。
(グレード概要)
1.5、1.8リッターとも基本的にそれぞれ「X」と「Z」だけのモノグレード。ただし、それらの派生モデルとして、スポーティ志向の“エアロツアラー”が1.5、1.8リッターに、豪華仕様の“Gエディション”が1.5リッターに設定される。エアロツアラーは、ボディ共色のフロントスポイラーやサイドマッドガードがシリーズ他車に対する識別点となる。さらに、テスト車(FWD)にはオプションでオリジナルよりひとまわり広い185/70R14 88Sタイアと6JJアルミホイールが付いていた。これでスポーツイメージを膨らませるなと言う方が無理だと思うけど、どうだろうか。
【車内&荷室空間】 乗ってみると?
(インパネまわり+装備)……★★★
ダッシュボードは黒一色で素っ気ない。標準状態では、あらかじめ4個のスピーカーのみが埋め込まれており、本体はラジオさえオプション扱いだ。テスト車には6スピーカーにグレードアップするオーディオが、5.1万円高で付いていたが、可もなく不可もなし。グラブボックスは大型で使いやすく、小物入れも多くて便利。エアコンの立ち上がりは早いものの、ヒーターの効きはイマイチ。
(前席)……★★★★
ヨーロッパ式に天地方向の余裕があるボディは、文字どおり懐が深い。むやみに上半身を露出させないでウェストラインから下の寸法をたっぷり取ったパッケージングは、乗り手に視覚的な安心感と重厚さをもたらす。シートは比較的大型。惜しむらくはコーナリング時のサポートがやや不足していること。
(後席)……★★★
ヘッドルームと幅、クッションの座り心地は文句ない。その割にレッグルームは広くない。むろん、快適に過ごすうえでの必要最低限は確保されているが。
(荷室)……★★
フラットで出っ張りがなく、使いやすそうなラゲッジルーム。ただし、床面最大幅135cm、奥行き85cm、パーセルシェルフまでの高さ45cmは、セダンよりやや狭い。
【ドライブフィール】 運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★
ふだん輸入小型車、それもノーマル系に対して嘆いていることがそっくり当てはまる。つまり、すくなくともマニュアルを選べるようにすべき。MTで走れば、イメージとのギャップがそうとう緩和されるはずだ。1NZ-FE型は、いかにもトヨタのエンジン。乗り始めは、軽いハミングを奏でつつ軽快に吹け上がるのが気持ちいい。ところが、慣れてくると低速ではトルクのツキが悪く、高速ではノイズが高まって頭打ち感が強まり、案外使いでのないエンジンだということがわかる。これに拍車をかけているのが、オートマチック。せっかくキープしようと思っても意志に反してすぐ上のギアに入ってしまうため、性急な流れの中では、そのたびにトルク不足と遅いキックダウンが邪魔になり、結構イライラ感が募るのだ。同じパワーでもマニュアルならば印象が違うはず。ただし、ワインディングロードでは120km/hまで伸びる2速が万能で、このギアに固定しておけばパワー相応のパフォーマンスが楽しめる。
(乗り心地+ハンドリング)……★★
といいつつ、操縦性そのものは期待はずれ。ステアリングはインフォメーションが薄く、運転していて楽しくない。アンダーステアそのものは不当にひどくないが、かといって無視できるレベルでもない。装着タイアがプアでスポーツドライビングには不適。乗り心地は基本的にかなりのソフトさ。それでいて目地段差ではときたまドスンとショックあり。性格付けをもう少しハッキリした方がいい。
(撮影=郡大二郎)
【テストデータ】
報告者:二玄社別冊単行本編集室 道田宣和
テスト日:2001年2月21日から23日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2001年型
テスト車の走行距離:2565km
タイヤ:(前)185/70R14 88V/(後)同じ(いずれもトーヨーNP01)
オプション装備:タイア+アルミホイール(5.0万円)、CD・カセット一体AM/FMマルチ電子チューナー付きラジオ&6スピーカー(5.1万円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(3):高速道路(6):山岳路(1)
テスト距離:320.8km
使用燃料:--
参考燃費:--

道田 宣和
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