トヨタ・カローラランクス Zエアロツアラー(6MT)【ブリーフテスト】
トヨタ・カローラランクス Zエアロツアラー(6MT) 2001.11.21 試乗記 ……199.0万円 総合評価……★★★クールに過ぎる
セリカに使われる1.8リッター“190バリキ”エンジンに6段マニュアルギアボックスを組み合わせてコンパクトなハッチバックボディに押しこんだ……という成り立ちから湧き上がる期待。素人目にはどうもアウディA3を思い出させるリアのデザインはともかく、走らせれば、まあ、速い。
開口部の大きなリアゲイトまわりを補強したがため、車重はセダンより巨漢ひとり分重いものの、バルブタイミングのみならずリフト量をも変化させる「2ZZ-GE」ユニットをビンビン回してシフトしていくと、ロウで65km/h、セカンドで100km/h付近に到達し、サードでは……。胸のすく加速。
0-100km/h=7.6秒の加速はサスガ。山から街に戻れば、完全なる実用車として使えるところもサスガ。カムを切り替えるに至らない回転域で運転しているうちに、190psカーであることを忘れさせるところも、これまたサスガ。レースカーはスペックがすべて。しかし、“スポーティ”はスペックに宿るにあらず。カローラランクス Zエアロツアラー、ホットハッチと呼ぶにはクールに過ぎる。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
2001年1月24日に発売されたカローラのハッチバックモデル。トヨタカローラ店で売られるのが「カローラランクス」、ネッツトヨタ店で販売されるが「アレックス」である。両者の違いは、ボンネット先端のマークが違うことと、ドアハンドルが、ランクスはボディ同色、アレックスはメッキ処理される程度だ。エンジンは、可変バルブタイミング機構「VVT-i」搭載の1.5リッターと、さらにバルブのリフト量も変化させる「VVTL-i」を採用した1.8リッターの2種類。前者には、FFのほか、4WDモデルも用意される。
(グレード概要)
カローラランクスの1.8リッターモデルが「Z」。アレックスでは「RS」。4ATのほか、6MTを備えたスポーティバージョンが用意される。「エアロツアラー」は、「Z」に、フロントスポイラー、サイドマッドガードを装着、内装にもメタル調パネルやメッキのインサイドドアハンドルを使った“ちょっと豪華”版である。アレックスの「RS180」にあたる。
【車内&荷室空間】 乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
セダンと同じ造形(当たり前だ)ながら、ランクスのトップモデルたる「Zエアロツアラー」は、メタル調パネルでスポーティを演出。全体にシンプルなデザインが好ましい。しかし文字と針が赤くひかる「オプティトロンメーター」はいかがなものか。意地悪いリポーターでなくとも、そのスタイリングを見た後ではアウディを連想しちゃう、かも。李下に冠を直した感がある。
(前席)……★★★
滑らかで織りの荒い、触感に清涼感のあるシート地は、個人的に好き。サイドサポートも、スポーティな雰囲気を盛り上げる。惜しむらくはこれまたセダンと選ぶところのない高めの着座位置で、「190ps+6MT」を組み合わせるハッチバック……にしては、あまりに実用的(?)。と言っておいてなんだが、フロアコンソールの「間仕切り付きカップホルダー&小物入れ」や深い「コンソールボックス」などはしごく便利だ。
(後席)……★★★
やや背もたれを寝かしてヘッドクリアランスを稼ぐ。足もと、頭上とも、小型ハッチとしては十分以上。センターアームレストはふたり分のカップホルダーにもなる。バックレストの根本にシートベルトキャッチャーをしまうポケットが用意されるのは、さすがトヨタ車(カタログでは引き出されてるけど)。
(荷室)……★★★
床面最大幅134cm、奥行き68cm、パーセルシェルフまでの高さ43cm。分割可倒式のリアシートをダブルフォールディングすると、みごとにフラットな荷室が広がる。奥行きは約140cmに。さらに、前席助手席のバックレストを前に倒してテーブルにすることもできるから、荷室から後席を超えて長尺物を搭載することも可能だ。フロア下には、ジャッキアップセットと「デッキアンダートレイ」が用意される。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★
6000rpm付近でカムを切り替える「VVTL-i」を搭載した、トヨタの誇る1.8リッター「2ZZ-GE」ユニット。190psの最高出力を7600rpm、18.4kgmの最大トルクを6800rpmで発生する高回転型エンジン。ビーンという独特の共鳴音を発する。細かくギアが切られた6段MTを駆使してレブリミットまで回してシフトしていけば、高速カムだけを使って加速することも可能だ。溜飲が下がる。一方、中低回転域で走る街なかでは、エンジニアの狙い通り実用ユニットに徹する。それはそれで正義だが、いささか退屈。「平成12年基準排出ガス25%低減レベル」達成。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★
フロント、リアともにスタビライザーを備え、専用チューンが施された足まわり。とはいえそこはトヨタ車、ことさら「スポーティ」を意識させられることはない。乗り心地は平凡。サスペンション形式は、フロントがL型アームを用いたマクファーソンストラット、リアはトーションビームといった昨今の定番通りのもの。ただし、リアアーム取り付け部に「トーコレクトブッシュ」と呼ばれるゴムを封入、ごく軽微なパッシブステア機能をもたせ、トヨタはこれを「イータビーム」と呼ぶ。スロットル操作への反応は鈍く、安定方向にのみ作用する印象を受けた。もちろん、悪いことではない。
(写真=河野敦樹)
【テストデータ】
報告者:webCG青木禎之
テスト日:2001年9月4日から6日まで
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2001年型
テスト車の走行距離:7096km
タイヤ:(前)195/60R15 88V/(後)同じ(いずれもMichelin Energy XV1 )
オプション装備:アルミホイール(6.0万円)/CDカセット一体型ラジオ+6スピーカー(4.5万円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(1):高速道路(7):山岳路(1)
テスト距離:302.5km
使用燃料:28.1リッター
参考燃費:10.8km/リッター

青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
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