フランスメーカー、今年は元気!【ジュネーブショー2012】
2012.03.08 自動車ニュース【ジュネーブショー2012】例年以上に元気なフランスメーカー
2012年3月6日のプレスデイで開幕したジュネーブモーターショー。フランス勢は、どんなニューモデルをブースに並べたのか?
■「プジョー208」にヒットの予感!?
フランスメーカーでもっとも注目を集めていたモデルは「プジョー208」だろう。ドイツメーカーもコンパクトセグメントへの攻勢を強めているが「ここの主役は我々なのですよ」と迎え撃つ気まんまんなのだ。
プレゼンテーションでは、3ドアと5ドアに加えて、スポーティーな「GTi」、プレミアムな「XY」といったコンセプトモデルまで含めた10種類ものバージョンを用意。「世界中で販売し、年間販売台数のターゲットは55万台」とクサビエ・プジョー氏(Product Director)が強気にでれば、ジル・ビダル氏(Design Director)は「文化の違いなどを乗り越えて、あらゆる人にエネルギーを感じてもらえるスタイル」と語る。
208は小型化・軽量化が図られているのが特徴で、これは多くの賢明な自動車ファンから支持されることだろう。デザインは、写真で見るよりもさらにいい。以前のように超特大グリルなどのディテールで主張するのではなく、塊感のあるフォルムで内側からエネルギーがほとばしってくるような情熱を感じる。インテリアもセンスがよくハイクオリティー。新エンジン投入で燃費も期待できるし、これは日本でもヒットしそうだ。
■EV普及の流れも
シトロエンは「C4エアクロス」を発表。「プジョー4008」と同じく三菱自動車との共同開発で、「RVR」がベースとなっている。いまはやりのクロスオーバーで、「C4」の背を高くして利便性を高め、「DSシリーズ」的なプレミアム感まで注入。もとのモデルよりもずっと高級でスタイリッシュなのが、日本人としては羨ましく、そして悔しい(!?)。以前試乗したことがあるRVRの欧州仕様は日本のそれより乗り心地がよく、低圧縮比の新しいディーゼルエンジンも好印象で「ぜひこれを日本にも導入してほしい」と願っていたのだが、C4エアクロスで乗れるのだったら、言うことなしだ。
ルノーの目玉はピュアEV「ZOE」の市販モデル。22kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載して航続距離は210km(NEDC値)、市販EV最高レベルとうたう。日産リーフよりもひと回り小さいのが有利に働いているようだ。ブースでは3種類の方法によって30分から9時間で充電完了できるなど、使い勝手のアピールも目立っていた。カルロス・ゴーン氏が「2020年に乗用車販売の10%がEVになる」と公言しているとおり、ルノー日産アライアンスは世界一EVに積極的(他のメーカーはたいてい5%程度と予測)。1万7500ユーロ(200万円弱)のベース価格で、一気に弾みをつけるのが狙いのようだ。
ショー直前にGMがPSAプジョー・シトロエンの株式を7%取得したというニュースが飛び込んでくるなど、現在の経済危機は欧州内需要の比率が高いフランスメーカーにとってはつらい。輸出の多いドイツメーカーがユーロ安の恩恵を存分にうけて絶好調なのとは対照的だ。だが、だからといって、フランス車のブースが急に自粛ムードになるわけでもなく、いつも通りかそれ以上に元気だったことに、筆者はホッと胸をなでおろしたのだった。
(文と写真=石井昌道)
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