メルセデス・ベンツCLA45 AMG 4MATIC(4WD/7AT)
カゲキで快適 2014.03.27 試乗記 「CLAクラス」のトップ・オブ・ザ・レンジ、「CLA45 AMG 4MATIC」に試乗。実に360psを絞り出す2リッター直4ターボエンジンを備えたスーパーセダンは、同時にクラス随一の洗練も手に入れていた。明確な改善の跡
比較的長距離のドライブもふくめて「A180」をなんべんか運転したことがあったので、今回の試乗、ぶっちゃけていうと「あのAクラスがどこまでマトモになっているか?」という興味をもって臨んだ。結論からいうと、「CLA45 AMG」はかなりちゃんとしていた。Aクラスにおいて残念だったところに手が入っていた。
まず、パワートレイン横置きのFF車のキモともいえるパワートレインマウント。クルマ作りの巧拙がバレてしまうところ。A180では、日常のなにげない加減速のなかでしばしばエンジン+トランスミッションがヒクッと動いていた。考えてみたら、他社製品と横並びのごくフツーのパワートレイン配置のFF乗用車はベンツにとって今回が初(初代と2代目=先代のAクラスのエンジンは水平に近いところまで寝かされた状態で搭載されていた)。なのでマウント関係の不慣れ感がアリアリでもしょうがないかなと思った。けれどもそのヒクッ、このクルマでは出なかった。
せっかくDCT=デュアルクラッチトランスミッションを使っていながら、なぜかちょっとCVTみたいな加速感。いわゆるラバーバンドフィール……もなおっていた。アクセルペダルの踏み込み加減とエンジンのチカラの増えかたの関係におけるダイレクト度がアップ。これならフツーにDCT感アリ。
ステアリングもより自然に
ステアリング関係。A180(ヨリ限定的には特にベースグレード)では直進管理に気をつかわされてキツかったけれど、そこもかなりよくなっている。ハンドルを両手でグリップして真っすぐ状態をキープしていても、タイヤが路面の凹凸等を踏んで勝手に向きを変える、あるいは変えようとする傾向は、ゼロにはなっていない。依然としてある。しかし、大幅減。動力性能相応にグリップの強い、特性のシビアなタイヤを履いてこのレベルの直進性が出ているということは、かなり頑張って対策したと思われる。あるいは、フツーに真っすぐ走る銘柄のタイヤを履いているおかげもあるかもしれない。
これもステアリング関係で、きっていくと途中からレシオが速くなるのがA180では気になった。クルマ側でハンドルが勝手にクイックになるのと同時にドライバー側は操舵(そうだ)速度をそのぶんスローに……なんて芸当、俺にはできません。その点、AMGバージョンの操舵レシオはノンバリアブル。つまり一定。途中からレシオが速くならない。フツーにハンドルを回せばオッケー。
出発後しばらくすると乗員全員がだんだん無口になり、さらにはちょっと不機嫌に……の要因だと考えられる低周波のこもり。これもというか、たぶん問題なし。
都心の一般道ですら楽しい
性能相応にというべきか、乗り心地はカタい。カタいかヤワいかでいうと。でも、いってしまえばそれだけのこと。乗っているのがツラくなる種類の揺れ、揺すられかた、ということでいうと、別に問題なし。それが証拠にというか、長時間の原稿書きを終えた直後のヘロヘロ度の高いときの試乗だったのに体は別に疲れなかった。むしろ、乗っている間に少しリフレッシュしたほどだった。通常なら腰から背中にかけてのあたりにドヨ~ンと疲れがたまってくるはずなのに、たまらなかった。ということは、シートのデキもいい可能性がある。
という次第で45 AMG、AクラスいやCLAベースのとってもカゲキなバージョンでありながらむしろ快適だった。運転しやすかった。都心の一般道をなーんてことのない速度で走っているだけで楽しかった。自分のイメージどおりにクルマを動かすことができている実感があったから。ものすごく速そうな乗りアジのクルマをゆっくり走らせていると、それはそれでステキな気分になる。カッチリ感や精度感を味わいながら。ステキな気分になるかどうかは、もちろんクルマのデキに大いによる。よるけれど、今回はイイほうのケースだったもよう。
内容を考えれば“お値打ち価格”
運転しながら、あるいはクルマを降りたあとで連想したのはスバルのSTI物件。つまり、ツルシのSTIではなく限定車のほうの。ベース車両の苦手なところや残念なところをよーくわかった人たちが抜かりなく手をいれたあれらの仕様のよさは、このAMGのよさと大いに通じるものがある。とびきり辛口の、おいしい領域の狭いクルマかと思ったら実際はむしろ真逆、というようなところもふくめて。
そういうことでいうならこれ、値段的にもむしろフツー。だって、STIが特別に仕立てたスバルが最高600万円ぐらいしたのだから。CLA45 AMG、ベンツでさらにヨンゴーでAMGなのに、それと比べてたったの100万円ほどしか高くない。700万円。オプション盛りまくりでも、それプラスたったの(ってことはないか)140万円。AMGなのに850万円で、しかも運転して気分がいい。だったらオトク。お値打ち価格。
FF小型車ベースのものすごく速いヤツ。FFではもう足りないのでヨンクのやつ。そういうのをベンツから買いたくて買おうとしている人(または買った人)はどうやらラッキー、といっていいでしょう。ただしというか、例えば「ゲレンデワーゲン」(G350ブルーテック)がそうであるようないいベンツとはこれは違います。じゃあナニモノかというと、ただのゴキゲンなホットハッチ+トランク。
(文=森 慶太/写真=高橋信宏)
テスト車のデータ
メルセデス・ベンツCLA45 AMG 4MATIC
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4690×1780×1430mm
ホイールベース:2700mm
車重:1600kg
駆動方式:4WD
エンジン:2リッター直4 DOHC 16バルブ ターボ
トランスミッション:7段AT
最高出力:360ps(265kW)/6000rpm
最大トルク:45.9kgm(450Nm)/2250-5000rpm
タイヤ:(前)235/40ZR18 95Y/(後)235/40ZR18 95Y(コンチネンタル・コンチスポーツコンタクト5P)
燃費:13.7km/リッター(JC08モード)
価格:710万円/テスト車=850万円
オプション装備:AMGアドバンストパッケージ(AMGパフォーマンスステアリング<本革/アルカンターラ>+AMGドライバーズパッケージ+AMGパフォーマンスサスペンション+AMGパフォーマンスシート+AMGエンブレム付きAMG E-SELECTレバー+AMGエンブレム付きエレクトリックキー+ハーマンカードン・ロジック7サラウンドサウンドシステム+チャイルドセーフティシートセンサー<助手席>)(70万円)/AMGカーボンパッケージ(AMGカーボンファイバーフロントスポイラーリップ+AMGカーボンファイバーサイドスカート+AMGカーボンファイバードアミラー+AMGカーボンファイバーリアディフューザー+AMGカーボンインテリアトリム+シルバークロームフロントグリル)(70万円)
※価格はいずれも5%の消費税を含む。
テスト車の年式:2013年型
テスト車の走行距離:5845km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(3)/高速道路(7)/山岳路(0)
テスト距離:231.5km
使用燃料:25.0リッター
参考燃費:9.3km/リッター(満タン法)/8.9km/リッター(車載燃費計計測値)
拡大 |

森 慶太
-
トヨタ・ランドクルーザー“FJ”VX(4WD/6AT)【試乗記】 2026.10.7 新たにシリーズに加わった「ランドクルーザー“FJ”」は、ポップな見た目から簡易版のように思われるかもしれないが、その中身は紛れもなく本物であり、道なき道をグイグイと突き進む。これもまた「どこへでも行き、生きて帰ってこられる」を体現する一台である。
-
スバル・レヴォーグ レイバック プレミアムS:HEV EX(4WD/CVT)【試乗記】 2026.10.6 「スバル・レヴォーグ レイバック」にストロングハイブリッド搭載モデルが登場。高効率なパワーユニットが積まれたのはもちろんのこと、既存の純エンジン車とはデザインやボディーサイズも違っているというから興味深い。上位グレードの「プレミアムS:HEV EX」を試す。
-
アウディA6アバントTFSIクワトロ200kW(4WD/7AT)【試乗記】 2026.10.5 今も昔もアウディの中核を担うアッパーモデル「A6」。その最新世代の「アバント」に試乗した。堂々とした優雅なボディーに最新のハイブリッドシステムを搭載したステーションワゴンは、いかなる走りを見せてくれるのか。その実力をリポートする。
-
ホンダN-BOXカスタム ターボ コーディネートスタイル2トーン(FF/CVT)【試乗記】 2026.10.3 フロントグリルとメッキパーツの面積が大きくなって迫力が増した最新の「ホンダN-BOXカスタム ターボ」に試乗。マイナーチェンジで進化した内外装の仕上がりと、軽四輪車の販売で11年連続の首位を誇る“絶対王者”の走りを報告する。
-
日産エルグランドG e-4ORCE(4WD)【試乗記】 2026.9.30 日産のプレミアムミニバン「エルグランド」がフルモデルチェンジ。その動力を担う第3世代の「e-POWER」は優れたドライバビリティーとともに、懸案だった高速燃費の改善もうたう。ロングドライブで進化のほどを確かめた。
-
NEW
パナソニックが市販カーナビを終売! 巨人の撤退からカーエレクトロニクスの変化を読み解く
2026.10.9デイリーコラムパナソニックが、市販市場向けカーナビゲーション、ドライブレコーダー、リアビューカメラの終売を発表! カーエレクトロニクス界の巨人は、なぜ市場からの撤退を選んだのか? 変化し続けるマーケットの在りようを振り返り、車載機器の未来を考察した。 -
フェラーリ・プロサングエ ハンドリング スペチアーレ仕様(4WD/8AT)【海外試乗記】
2026.10.8試乗記フェラーリの4ドア4シーターモデル「プロサングエ」に、「ハンドリング スペチアーレ」を名乗るスペシャルバージョンが登場。その走りは従来モデルからどのように変わったのか? 跳ね馬の原産国、イタリアで確かめた。 -
「アプライドD」で何が変わった? スバルの「インプレッサ」と「クロストレック」の進化を探る
2026.10.8デイリーコラムスバルが「インプレッサ」と「クロストレック」の改良モデル「アプライドD」を発表した。モデルライフの折り返し地点となる今回の改良では、ラインナップの刷新がトピック。その内容とスバルの狙いを、スバリスト玉川ニコ氏が解説する。 -
“クルマづくりのプロ”の話をライブで配信! 「あの多田哲哉のクルマQ&A」公開収録のお知らせ
2026.10.7From Our Staff元トヨタの多田哲哉さんが、自動車に関するさまざまな疑問・質問に答える「あの多田哲哉のクルマQ&A」。その話がライブで聞けて質問もできる公開収録を、10月15日(木)の夜、19時半から実施します。 -
咆哮なき電気自動車「ジャガーTYPE 01(タイプ01)」に“ジャガーの魂”は宿るのか?
2026.10.7デイリーコラムいよいよ正式デビューを飾った、新生ジャガーのラグジュアリー4ドアGT「TYPE 01(タイプ01)」。いったいどんなクルマなのか、従来のファンも納得できる“ジャガーらしさ”はあるのか? 先行チェックした西川 淳がリポートする。 -
トヨタ・ランドクルーザー“FJ”VX(4WD/6AT)【試乗記】
2026.10.7試乗記新たにシリーズに加わった「ランドクルーザー“FJ”」は、ポップな見た目から簡易版のように思われるかもしれないが、その中身は紛れもなく本物であり、道なき道をグイグイと突き進む。これもまた「どこへでも行き、生きて帰ってこられる」を体現する一台である。





























