Gear up! Selection | Spoon/リジカラ
小さくても、キレモノ量産車のボディーの弱点解消を狙った機能部品 2018.12.03 Gear Up! 2019 Winter ホンダ車のチューニングパーツやアクセサリーを手がける株式会社スプーンの開発した小さなパーツが、“クルマが分かる”人たちのあいだでブームだ。量産車では避けられない車体のウイークポイントを解消するパーツ、その名は「リジカラ」である。
ホンダ車のチューニングパーツやアクセサリーを手がける株式会社スプーンの開発した小さなパーツが、“クルマが分かる”人たちのあいだでブームだ。量産車では避けられない車体のウイークポイントを解消するパーツ、その名は『リジカラ』である。
エンジンのパワーを上げてもダンパーやスプリングを強化しても、あるいはグリップの高いタイヤを装着しても、肝心なボディーが緩ければ意味がないことはご存じのとおり。スポーティーなドライビングを満喫するには、やはりホディーがかっちりしていることに尽きる。
ボディーをかっちりさせるには、さまざまな方法がある。レース用車両であればボディーのスポット溶接の増し打ちまで視野に入れた大がかりな補強もできるだろうが、街乗りのクルマではそうもいかない。となればボルトオンで装着できるような補強材が考えられる。ストラットタワーバーやブレースバーなどは好例だろう。スプーンが注目したのは、ボディーとサブフレームの接合部分だ。
ボディーとサブフレームはだいたい4カ所をボルトで接合されるものだが、むろん、接合部分にはボルトを通すための穴が開いている。その穴はボルトの径より大きいのが一般的だ。それは生産性を高めるためにそうなっている。各工程の作業時間が厳密に決められた自動車生産工場の生産ラインで容易かつ素早く確実に組み付けることを考えれば、ボルト径より穴が大きめに開いているのは至極当然の話である。ボディーとボルト、サブフレームとボルトの間には想像以上に隙間があるのだ。
しかし、ボディー剛性の観点から考えれば接合部分はよりかっちりしていることが望ましい。その対策にスプーンが考案した商品が「リジカラ」である。あえて英語で表記するとRigid Collar、接合部にはめる金属製のカラーだ。素材は熱加工したアルミ、形状はブレーキローターのミニチュア版といった感じである。
サブフレームを外し、このリジカラをはめて再びボルトを締める。作業はたったこれだけだが、ボルトを締めることによりリジカラの変形したテーパー部が接合部に圧着し接合面が広くなる。これによりボルト径と穴のあいだの隙間とリジカラとボルトの間の隙間もなくなり、ボディー、サブフレーム、ボルトが一体化され、強固に結ばれるというわけだ。
開発に携わったリジカラ事業部の尾花英樹氏はこう述べる。「いろいろな車の下に潜ってボディーとサブフレームの結合部分を調べました。一見同じようでも、調べてみると違っていて、開発を始めた頃はデータ採集に苦労させられました。どのように形状、サイズを決めるのか、テーパー部分をどうするのか、試行錯誤の繰り返しでした。素材にしても、鉄も含め何種類かの金属を試しましたが、防さび面での優位性や塗装との相性などを考慮しアルミを選んだのです」
リジカラ装着により、エンジン始動時の揺動軽減、アイドリング時の静粛性向上のほか、直進安定性の向上、路面からの突き上げの緩和などにつながるとうたわれている。6~7年前から本格的に販売するようになってから、今やリジカラは国内メーカーとほとんどの海外メーカーのモデル、1000車種に対応しているというから驚きである。国内はもちろんアジア、ヨーロッパ、北米にも輸出されている。
このリジカラ、おおざっぱに言うなら「緩い部分があれば締めればいい」という単純な発想から生まれた製品だが、それにしてもボディーとサブフレームの隙間に着目した点がすごい。モータースポーツでも活躍し続けているスプーンならではの商品だと断言できる。
市嶋 樹代表取締役社長は語る。「量産ツーリングカーのレース仕様車を作っている時から“隙間”には気づいていましたし、乗りやすく耐久性の高いクルマにするためには対策すべき箇所だと思っていました。リジカラはそうした経験をもとに企画したものです。比較的容易にかつローコストで補強するのが狙いでした」
カーボンファイバーの黒色のボンネットや軽量の鍛造ホイール等々、これまでスプーンはオリジナル商品を送り出してきた。リジカラもまた他社とは一線を画す独自性の高い製品づくりにこだわるスプーンらしい機能性パーツだ。派手でもなく目立つものではないが、なかなかのキレモノである。
(文=阪 和明/写真=岡村昌宏<CROSSOVER>、加藤純也<CG>)
株式会社スプーンはホンダ車のチューニングパーツの開発・販売で広く知られている。近年は海外へも積極的に展開し、スポーツドライビング志向のドライバーやモータースポーツファンのあいだにSpoonブランドは浸透しつつある。リジカラの商品説明サイトは次の通り。
問い合わせ:株式会社スプーンリジカラ事業部
https://www.rigidcollar.jp/
03-3393-2205

阪 和明
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