メルセデス・ベンツEQC400 4MATIC(前編)

2020.08.06 谷口信輝の新車試乗 谷口 信輝 2020年春に国内でのデリバリーが開始された「メルセデス・ベンツEQC」。メルセデスのクルマづくりに関心の高い谷口信輝は、同ブランドからリリースされた電気自動車(EV)をどのように評価する?
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独自性のあるEV

「いいクルマですねえ」

メルセデス・ベンツ初の量産EVであるEQCの試乗を終えた谷口信輝は、しみじみとした調子でそう語った。

元D1レーサーにしてSUPER GTでもチャンピオンに輝いた経験を持ち、自ら「クルマ好き」を公言してはばからない谷口だが、この連載をご愛読いただいている皆さんであればご存じのとおり、EVにも並々ならぬ関心を抱いていて、はた目には「いまにもEVを買いそう」に思えてならない。当然、このEQCにもそれなりの期待を抱いて試乗したようだ。
「モーターの走りって、やっぱり独特ですよね。いくらクルマのエンジンが静かになったといっても、モーターの静かさとはやっぱり違います」

騒音の低いEVが低速で走行していると歩行者が気づきにくい恐れがあるため、車両が近づいていることを知らせる「車両接近通報装置」の装着が義務づけられていることは広く知られている。それ以外にもモーターやインバーターの作動音など、EVも決して無音なわけではないが、それでもエンジン車に比べればはるかに静かだし、走行音がエンジン車と大きく異なることも事実だ。
「たしかに、一応モーター音はしますよね。ヒュイーンって。あとは、加速感も滑らかで、どこかエンジン車とは違います」

そのいっぽうで、EQC独自のキャラクターにも谷口は注目しているようだった。
「同じEVでも、例えばテスラとかはルディクラスモード(Ludicrousは“バカげた”の意味)があって、恐ろしい勢いで加速するじゃないですか。あれって、本来はスムーズなEVにわざとトゲを作っているようなものだと思います。まあ、僕はそういう刺激も好きなんですが、EQCにはそういうトゲが一切ない。でも、だからといって物足りないかといえばそんなことなくて、上り坂でもすーっと加速していくし、十分にパンチがあると思います。ドライバーが『これくらいは欲しいよね』と思っているレベルの、ちょっと上をいくくらいの加速感はある。だから十分に速いですよね」

 
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