ホンダZR-V e:HEV Zプロトタイプ(4WD)/ZR-V e:HEV Zプロトタイプ(FF)/ZR-V Zプロトタイプ(4WD/CVT)
SUVの皮をかぶったスポーツカー 2022.09.14 試乗記 2023年春の発売が予定されている、ホンダの新型SUV「ZR-V」。これからのホンダの世界戦略を背負って立つニューモデルは、スポーツカーに比肩する“走り”の持ち主だった。国内屈指の難コース「群馬サイクルスポーツセンター」で触れた、その実力の一端を報告する。ようやく世界で戦う準備ができた
“コンパクトSUV”という言葉はもはや世界共通言語だが、そこからイメージされるサイズ感やイメージは、じつは国や市場ごとに微妙に異なる。たとえば、日本では「トヨタ・ヤリス クロス」に「日産キックス」、そして「マツダCX-3」といったBセグメントベース車が、コンパクトSUVと呼ばれる。欧州も日本に似た感覚である。
いっぽう、北米市場では日本でいうコンパクトSUVは小さすぎる。ただ、コンパクトSUVという言葉そのものは浸透しており、トヨタの「C-HR」や「カローラ クロス」「三菱エクリプス クロス」といったCセグベースのSUVを指すことが多い。
従来の「ホンダ・ヴェゼル」(海外名HR-V)は、Bセグ級のサイズでありながら室内空間や積載性能はCセグなみ……という独特のパッケージレイアウトで、日欧や北米・中国など、世界中でコンパクトSUVとして売られてきた。そのポジショニングはよくいえば“絶妙”といえたが、悪くいえば“中途半端”でもあった。というわけで、ホンダZR-Vは、ヴェゼルと「CR-V」の中間モデルとして、Cセグのど真ん中に投入される新型SUVである。
ちなみに、CR-Vも期を同じくしてフルモデルチェンジの予定だが、ヴェゼルの上にZR-Vが新たにハメ込まれる日本では、新型CR-Vの発売予定はない。CR-Vは世界……とりわけ北米では大人気なのに、なぜか日本では不人気商品になってしまった。北米市場では逆に、ZR-Vが真正面からのコンパクトSUVとして、先代ヴェゼル=先代HR-Vの後継機種として投入される。車名もHR-Vをそのまま受け継ぐ(参照)。ちなみに、欧州でのHR-Vはこれまでどおり、日本でいうヴェゼルである。
……と、言葉で説明するとややこしいが、新たにグローバルモデルのSUVが3台体制となることで、ホンダも各市場でドンピシャのラインナップをそろえられるようになった。新しいZR-Vも市場によって、エントリーSUVになったり、アッパーSUVになったり……と役割を変えるわけだ。
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特徴は低い車高と“おちょぼ口”
つい先日、発売延期が発表されて、新たに2023年春の国内発売予定とされたZR-V。それゆえサイズや性能、価格などの具体的数値は、今もほぼ未発表である。ただ、基本的に同じクルマである北米向け新型HR-Vのサイズは、全長×全幅×全高が179.8×72.4×63.4~63.8インチ、ホイールベースが104.5インチと公表されている。
これを日本でなじみのあるmmに換算すると、スリーサイズが4567×1839×1610~1620mmで、ホイールベースが2654mmになる。これは、現行ヴェゼルと現行CR-Vの“中間”よりはCR-V寄りの数値だが、新型CR-Vはサイズも拡大されるので、最終的には両車の中間におさまるのだろう。もっとも、日本仕様では全長や全幅がもう少し小さくなっている可能性もある。
いずれにしても、ZR-Vのプロポーションは、SUVとしては背丈が低いのが特徴だ。それに加えて、実際のZR-Vはボンネットからベルトラインにかけて水平基調にまとめられており、しかもロングルーフデザインなので、数値以上に低く見える。
ネット上では独特の“おちょぼ口”フェイスが賛否両論のようだ。しかし、実車を眼前にすると、全高低めのステーションワゴンルックとのマッチングは悪くない。またZR-Vは、燃費に加えて操縦安定性にも効果のある空力性能にはかなりこだわっているそうで、くだんのおちょぼ口はそのためでもある。実際、ZR-Vの空力性能はCd値、前面投影面積ともにクラストップレベルを自負する。
室内空間やトランクは十分に広いが特別広いわけではなく、トランクのあつらえもオーソドックスだ。目をひくのは複雑な形状のセンターコンソールにまで丁寧にレザーが張られていることで、一見すると、きょうだい車といえる「シビック」より質感が高い。
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その走りはスポーツカーのごとし
プラットフォームを含めたZR-Vの基本ハードウエアはシビックとの共通点が多い。厳密にいうと、フロントセクションがシビックベースで、フロアの後半やリアサスペンションは、より堅牢なCR-Vをベースとしているそうだ。日本仕様のパワートレインもシビックと共通で、1.5リッターターボ+CVTと2リッターハイブリッド(e:HEV)の2種類。そして、両パワートレインにFFと4WDを用意する。
ダイナミクス性能のコンセプトはずばり“スポーツカーのような走り”だそうである。今回の試乗コースとして、荒れた路面とトリッキーなレイアウトが特徴の「群馬サイクルスポーツセンター」=群サイが選ばれたのも、「ヤワなクルマをつくったつもりはない」との絶大な自信をもつ開発チームの意向だという。
今回は1.5リッターターボの4WD、そしてe:HEVのFFと4WDという3機種をそれぞれ2周ずつ……という短時間の試乗だったが、とにかく動きがタイトで無駄がなく、上屋の動きが上下左右ともども最小限に抑え込まれていることが印象的だった。乗り心地はあくまでフラットで快適なのだが、その正確で無駄のない操縦安定性が、開発陣のいうスポーツカーのような走りらしい。
群サイの荒れた路面で、車高の低いスポーツカーを実際に走らせると激しい上下動に見舞われるだろう。しかし、SUVならではのたっぷりとした地上高とサスペンションストロークをもつZR-Vは、キャビン内をフラットに安定させたまま、ちょっとしたスポーツカーはだしのペースでコーナーをクリアしていく。
また路面が滑りやすく、思った以上に回り込んだコーナーが多い群サイでは“4本のタイヤを均等に使う”をコンセプトとした濃厚な接地感もありがたい。
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「最近のホンダは高い」といわれるが……
試乗時に同乗いただいた性能開発担当のエンジニア氏によると、「個人的なおすすめはe:HEVの4WD」だという。なるほど、低速から高速までアクセル操作に吸いつくように反応するリニアなe:HEVのパワーフィールは、荒れた路面でこそ扱いやすさが光る。また同じコースでFFと4WDを比較すると、かなり積極的にリアへトルク配分するうえに、前後重量配分でも有利な4WDのほうが、安心感も安定感も、そしてコントロール性も明らかに上手だった。
なんだかちょっとホメすぎの気もするが、開発チームがわざわざ選定したコースで、しかも今回のような短時間試乗では、いかにアマノジャク精神で挑んでもネガティブな要素を見つけることはできなかった。少なくとも群サイでここまで走るクルマなら、経験的に一般道でもかなりのレベルであることはまあ間違いない。
最近のホンダは価格が高い(というか、正確には安い仕様が選べない)とのツッコミを入れられることが多い。今回のZR-Vもシビックより明らかに高い価格設定だと手が出しにくい……と思ったら、どうやら予想はいい方向に裏切られそうだ。ネットで出回りはじめた価格情報によると、1.5リッターターボが300万~370万円台、e:HEVが330万~410万円ちょっとといったところらしい。これが本当なら、FF同士で比較するとシビックよりチョイ安ということになる。
となれば、ZR-Vはがぜん魅力的に見えてくる。その走りはある意味シビックよりスポーツカー的であり、インテリアも個人的にはシビックより大人っぽく質感も高いと思う。個人的にはシビックよりちょい高の価格までなら許容範囲……と思っていたくらいだから、これは素直に楽しみである。
(文=佐野弘宗/写真=本田技研工業/編集=堀田剛資)
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テスト車のデータ
ホンダZR-V e:HEV Zプロトタイプ
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=--×--×--mm
ホイールベース:--mm
車重:--kg
駆動方式:4WD
エンジン:2リッター直4 DOHC 16バルブ
モーター:交流同期電動機
エンジン最高出力:141PS(104kW)/6000rpm
エンジン最大トルク:182N・m(18.6kgf・m)/4500pm
モーター最高出力:184PS(135kW)/5000-6000rpm
モーター最大トルク:315N・m(32.1kgf・m)/0-2000rpm
タイヤ:(前)225/55R18 98H/(後)225/55R18 98H(ヨコハマ・アドバンdB V552)
燃費:--km/リッター
価格:--円/テスト車=--円
オプション装備:--
テスト車の年式:--年型
テスト開始時の走行距離:850km
テスト形態:トラックインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(レギュラーガソリン)
参考燃費:--km/リッター
ホンダZR-V e:HEV Zプロトタイプ
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=--×--×--mm
ホイールベース:--mm
車重:--kg
駆動方式:FF
エンジン:2リッター直4 DOHC 16バルブ
モーター:交流同期電動機
エンジン最高出力:141PS(104kW)/6000rpm
エンジン最大トルク:182N・m(18.6kgf・m)/4500pm
モーター最高出力:184PS(135kW)/5000-6000rpm
モーター最大トルク:315N・m(32.1kgf・m)/0-2000rpm
タイヤ:(前)225/55R18 98H/(後)225/55R18 98H(ヨコハマ・アドバンdB V552)
燃費:--km/リッター
価格:--円/テスト車=--円
オプション装備:--
テスト車の年式:--年型
テスト開始時の走行距離:850km
テスト形態:トラックインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(レギュラーガソリン)
参考燃費:--km/リッター
ホンダZR-V Zプロトタイプ
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=--×--×--mm
ホイールベース:--mm
車重:--kg
駆動方式:4WD
エンジン:1.5リッター直4 DOHC 16バルブ ターボ
最高出力:178PS(131kW)/6000rpm
最大トルク:240N・m(24.5kgf・m)/1700-4500pm
トランスミッション:CVT
タイヤ:(前)225/55R18 98H/(後)225/55R18 98H(ヨコハマ・アドバンdB V552)
燃費:--km/リッター
価格:--円/テスト車=--円
オプション装備:--
テスト車の年式:--年型
テスト開始時の走行距離:984km
テスト形態:トラックインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(レギュラーガソリン)
参考燃費:--km/リッター
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佐野 弘宗
自動車ライター。自動車専門誌の編集を経て独立。新型車の試乗はもちろん、自動車エンジニアや商品企画担当者への取材経験の豊富さにも定評がある。国内外を問わず多様なジャンルのクルマに精通するが、個人的な嗜好は完全にフランス車偏重。
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