「スズキ・ハスラー」の新グレード「タフワイルド」登場 第2の「スペーシア ギア」を狙う?
2024.07.01 デイリーコラム「惜しい部分」を見事に補完
2024年5月24日、スズキが軽クロスオーバー「ハスラー」に一部仕様変更を行い、同時に新グレード「タフワイルド」を設定した。
一部仕様変更の内容とタフワイルドの詳細については既報の記事(参照)をご覧いただくとして、本稿では「柳の下にドジョウはまだいるのか?」という点について考察したい。つまり、「タフで存在感のあるデザインに仕上げました」(スズキのプレスリリースより)というモデルがスズキだけでなく多くのメーカーからリリースされ続けているなか、この手の仕様はまだ売れるのか? それともそろそろユーザーから飽きられ、結果としてイマイチなセールスに終わってしまうのだろうか? ということだ。
まず個人的な推察というか、ぶっちゃけ肌感覚に基づくわが勘ピューターは、今回のスズキ・ハスラー タフワイルドはけっこう売れるのではないかとみている。なぜならば、タフワイルドは2代目ハスラーの「惜しい部分」を見事に補っているというか、修正した仕様のように思えるからだ。
筆者が思うに2代目ハスラーの惜しい部分とは、内外装のビジュアルにおけるもの足りなさだ。それは「土っぽさ」や「道具っぽさ」といったアクティブ方面の要素である。もちろん軽クロスオーバーであるハスラーが、超本格オフローダーのようなビジュアルである必要はない。というかそうしてしまったら、ハスラーは逆に敬遠されてしまうだろう。都会派のハスラーは「極端に土っぽくはない」ぐらいでちょうどいいのだ。
だが筆者が思うにこれまでのハスラーは、“土成分”がほんの少しだけ足りていなかった。というか「もうひと声の土感があれば完璧なのに!」というクロスオーバーであったように思う。
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ちょうどいいアウトドア感
標準グレードである「ハイブリッドG」と「ハイブリッドGターボ」は、2トーン外板色の場合、ガンメタまたはオフホワイトのルーフ色とスチールホイール、ボディー同色のドアハンドルなどによって、土っぽさではないが「ちょうどいい道具っぽさ」のようなものが生まれている。
しかし上位グレードである「ハイブリッドX」または「ハイブリッドXターボ」は、キラキラ輝く切削加工&ブラック塗装の15インチアルミホイールやメッキドアハンドルなどにより、「中途半端なアーバン感」が生まれてしまっているのが惜しいポイントだ(失礼!)。もしも筆者がハスラーのハイブリッドXまたはハイブリッドXターボを買ったなら、ソッコーでちょいタフ系の社外ホイールに交換するだろう。ついでにドアハンドルもD.I.Y.で黒く塗装するかもしれない。
「ならば、道具感のある標準グレードを買えばいいじゃないか」と思うかもしれないが、そうすると今度はシートとインパネガーニッシュにオフブルーまたはカーキベージュの差し色が入ることになる。どちらの差し色も、「ちょうどいい土感」を求める筆者からすると少々ポップすぎるように感じる。だからといって黒一色となる上級グレードの内装も微妙につまらないと思えてしまうため、「自分はどれを買えばいいのだ!」という迷いがさく裂し、その後「買うべきグレードがないから、今回はやめとくか」という冷静な結論に至ってしまうのだ。
しかし今回の「タフワイルド」は、ハスラーの各グレードに漂っていたそうした惜しいポイントが見事に修正というか、調整されている。微妙で絶妙な“土感”を、全身にまとっている。そのため「『ジムニー』ほどの本格的なアレはいらないが、なんとなく土の香りがするキャンプやアウトドアアクティビティーに似合うデザインで、ちょっとした悪路ぐらいなら走れるクルマが欲しいんだよね」という(筆者のような)ライトユーザー層には、確実に刺さるはずなのだ。
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タフ系モデルの人気はまだ続く?
とはいえこの手の土っぽい仕様、あるいはオフロードテイストをまぶしたモデルは、すでに各社から星の数ほど(?)リリースされている。それゆえ、そろそろユーザーから「こういうのはもう飽きた」と言われたとしても、決しておかしくないタイミングではある。かつてステーションワゴンがブームだったころ、「ワゴン」を名乗るクルマがあふれかえっていたころを思い出す。
それを踏まえてハスラー タフワイルドのことを考えてみても、筆者個人は「それでもけっこう売れるんじゃないですか?」とは思う。前述のとおりタフワイルドの仕立ては絶妙であり、なおかつアウトドアっぽいものや雰囲気を求めるモメンタムは、まだまだ続いているようにみえるからだ。
このあたりは各メーカーによるチキンレースというか、「ババ抜き」のようなものになるのだろう。最終的にはあるタイミングで1つまたは複数のメーカーが盛大に“ババ”を引き、「アウトドアっぽい仕様を大量につくりましたが、ほとんど売れずに在庫になっちゃいました」となることは目に見えている。歴史は繰り返すのだ。
だがそれはまだまだ先の話だろう。“先”というのが数年後なのか、それとも半年後とか1年後なのかは、筆者にはわからない。そんなことが完璧にわかるなら、その才を生かして何らかの予想ビジネスを始めて大もうけしたいものだが、残念ながらそんな能力は筆者にはない。
だが、少なくとも「土っぽい雰囲気が大人気の世界線はまだしばらく続く」ということと、「ハスラー タフワイルドはまあまあ売れるはず」という予想についてだけは、ある程度自信を持ってベットできる。10万円ぐらいなら、賭けてもいい。
(文=玉川ニコ/写真=スズキ/編集=櫻井健一)
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玉川 ニコ
自動車ライター。外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、自動車出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。愛車は「スバル・レヴォーグSTI Sport R EX Black Interior Selection」。
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