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自然吸気V10からV8ハイブリッドへ 「ランボルギーニ・テメラリオ」は何がすごい?

2024.09.26 デイリーコラム 山崎 元裕
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ランボルギーニの新型PHEV

ランボルギーニが、地球環境に対する持続可能性への道程を示した中期計画・方針「コル・タウリ」を発表したのは、2021年のことだった。コル・タウリとは、ラテン語で「雄牛の心臓」を意味する言葉で、将来発表されるランボルギーニの新型車において、段階的に脱炭素化を目指す内容を示した。見方を変えれば、これはランボルギーニブランドの心臓部ともいえるパワーユニットに、歴史的な変革の時代が訪れることを宣言した画期的なものだった。

そのコル・タウリには3つの段階が設定されている。第1段階においては現代のランボルギーニブランドを象徴するモデルに搭載される内燃機関エンジンをさらに高性能に、そして魅力的な存在とするためのもので、これは2021年から2022年にかけてのタスクであった。

続いて2023年に初のハイブリッドモデルを発表し、2024年末までにはラインナップの全車を電動化する計画を打ち出した。スーパーSUVの「ウルスSE」に始まり、V12モデルの「レヴエルト」、そして今回夏のモントレーで発表されたV8モデルの「テメラリオ」と、PHEVのフルラインナップが完成。CO2排出量の目標値はコル・タウリが発表された時点と比較して50%減という数字で、さらに2026年から2030年にかけてはフル電動となる第4のモデルが誕生する計画も明らかにされている。

テメラリオはこのランボルギーニ最大の投資ともなる新方針のなかで、その中期的なビジョンに何ひとつ変更を加えることなく誕生した、まさに現れるべくして現れたニューモデルである。

2024年8月17日(現地時間)、米カリフォルニア州モントレーにおいて初公開されたランボルギーニの新型ミドシップスポーツ「Temerario(テメラリオ)」。「レヴエルト」に次ぐランボルギーニのプラグインハイブリッドスポーツカーで、V10モデル「ウラカン」の後継モデルと位置づけられる。
2024年8月17日(現地時間)、米カリフォルニア州モントレーにおいて初公開されたランボルギーニの新型ミドシップスポーツ「Temerario(テメラリオ)」。「レヴエルト」に次ぐランボルギーニのプラグインハイブリッドスポーツカーで、V10モデル「ウラカン」の後継モデルと位置づけられる。拡大
2024年の「ザ・クエイル・ア・モータースポーツ・ギャザリング」で行われた「ランボルギーニ・テメラリオ」の発表イベントは、全世界から集まった多くの報道関係者でにぎわった。同イベントはカリフォルニア州カーメルのクエイルロッジ&ゴルフクラブを舞台に毎年開催されている。
2024年の「ザ・クエイル・ア・モータースポーツ・ギャザリング」で行われた「ランボルギーニ・テメラリオ」の発表イベントは、全世界から集まった多くの報道関係者でにぎわった。同イベントはカリフォルニア州カーメルのクエイルロッジ&ゴルフクラブを舞台に毎年開催されている。拡大
ランボルギーニが2023年に発表した「ランザドール」は、2026年から2030年にかけて登場が予定される第4のフル電動モデルを示唆するコンセプトカー。同年の「ザ・クエイル・ア・モータースポーツ・ギャザリング」で初公開された後に、「ペブルビーチ・コンクール・デレガンス」の会場にも展示された。
ランボルギーニが2023年に発表した「ランザドール」は、2026年から2030年にかけて登場が予定される第4のフル電動モデルを示唆するコンセプトカー。同年の「ザ・クエイル・ア・モータースポーツ・ギャザリング」で初公開された後に、「ペブルビーチ・コンクール・デレガンス」の会場にも展示された。拡大
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システム全体で最高出力920PSを発生

5.2リッターのV10自然吸気エンジン搭載していた前作の「ウラカン」と、このテメラリオがメカニズム上最も大きな違いとしているのは、やはりパワーユニットの構成だろう。

その核となっているのは、4リッターにまで排気量がダウンサイジングされたV8ツインターボ。参考までにランボルギーニのプロダクションモデルでV8エンジンが搭載されるのは、1981年に登場し1988年まで生産が継続された「ジャルパ」以来のこととなる。

ツインターボシステムはV8としては理想的とされる120度に開かれたバンク内に配置され、フラットプレーン型のクランクシャフトやチタン製コンロッドなど、エンジン内部の構成部品はレーシングカーに近いスペックが採用されている。軽量設計にこだわったというエンジンブロックもまた同様だ。

そしてランボルギーニは、このエンジンに3基のエレクトリックモーターを組み合わせることで、テメラリオをHPEV(ハイ・パフォーマンス・エレクトリファイド・ヴィークル)と呼ぶミドシップスーパースポーツとして成立させている。モーターの1基は従来のウラカン用7段DCTよりも軽量コンパクトであるという8段DCTとV8エンジンの間に配置され、エンジンの出力を補うほかギアチェンジの際にレスポンスを一貫させるトルク・ギャップ・フィラーとしての機能も持ち合わせる。

残りの2基はフロントの左右アクスルにおのおの組み合わされる仕組みだ。V8エンジンの単体出力は800PSとされるが、エレクトリックモーターによるエクストラを得て、テメラリオはシステム全体で最高出力920PSをスペックシート上に掲げる。0-100km/h加速は2.7秒、最高速は343km/hを誇る。総容量3.8kWhというコンパクトなリチウムイオンバッテリーは、ゼロから満充電までをわずか30分で完了する。

ランボルギーニによればテメラリオのCO2排出量はウラカンの50%以下という数字にまで低減されているということだ。これこそが新世代ミドシップモデルの大きな特徴といえる。

パイロット感を際立たせたという「テメラリオ」の内装。ユニークなエンジンスタートボタンやシフトセレクター、レーシングカーをイメージしたというステアリングホイール、助手席用のインフォメーションディスプレイなどが目を引く。
パイロット感を際立たせたという「テメラリオ」の内装。ユニークなエンジンスタートボタンやシフトセレクター、レーシングカーをイメージしたというステアリングホイール、助手席用のインフォメーションディスプレイなどが目を引く。拡大
最高出力800PS、最大トルク730N・mの4リッターV8ツインターボエンジンに、フロント2基、リア1基の計3基のモーターを組み合わせる「テメラリオ」のハイブリッドユニット。システム最高出力は920PSと発表されている。ランボルギーニは、このパワーユニット搭載車をHPEV(ハイ・パフォーマンス・エレクトリファイド・ヴィークル)と呼ぶ。
最高出力800PS、最大トルク730N・mの4リッターV8ツインターボエンジンに、フロント2基、リア1基の計3基のモーターを組み合わせる「テメラリオ」のハイブリッドユニット。システム最高出力は920PSと発表されている。ランボルギーニは、このパワーユニット搭載車をHPEV(ハイ・パフォーマンス・エレクトリファイド・ヴィークル)と呼ぶ。拡大
2013年に発表されたV10エンジン搭載のミドシップスポーツ「ウラカン」。20年にわたり歴史を重ねてきたV10ランボの最終章を飾るモデルが、後輪駆動の「ウラカン テクニカ」だ。
2013年に発表されたV10エンジン搭載のミドシップスポーツ「ウラカン」。20年にわたり歴史を重ねてきたV10ランボの最終章を飾るモデルが、後輪駆動の「ウラカン テクニカ」だ。拡大
自然吸気のV8エンジンが搭載された「ランボルギーニ・ジャルパ」は1988年まで生産が継続された。「テメラリオ」で復活したV8は、このジャルパ以来の採用となる。
自然吸気のV8エンジンが搭載された「ランボルギーニ・ジャルパ」は1988年まで生産が継続された。「テメラリオ」で復活したV8は、このジャルパ以来の採用となる。拡大

アウディ版テメラリオは存在する?

テメラリオの基本構造体は軽量なアルミニウム製のスペースフレームで、これはウラカンから変化はないが、そのデザインはよりシンプルで生産効率も高く、結果的に重量の低減にも成功した。フロントの左右に置かれたエレクトリックモーターの駆動も含め、常に最適なドライビングダイナミクスをうたう。これらのメカニズムは、開発部門のトップであるルーヴェン・モール氏の下で磨き込まれた。

一方1960年代以降ランボルギーニが好んで使用する六角形のモチーフを、メインボディーやサイドエアインテーク、テールランプ、エキゾーストパイプ、さらにはインテリアのフィニッシュにも積極的に用いたのは、こちらも現在のランボルギーニを支えるチーフスタイリストのミティア・ボルケルト氏だ。

実際の走りがいかなるものなのかは、これからステアリングを握る日を待ちたいが、気になるのは果たしてこのテメラリオのアウディ版、すなわちこれまでウラカン、あるいは「ガヤルド」との姉妹車である「R8」のようなモデルが誕生するかどうかといった点だ。それに関しては、現在の段階で確実視される情報はない。

最新世代のヒューマン・マシン・インターフェイスや、よりサーキット走行にフォーカスした車重が最大で25kg以上削減される「アレジェリータパッケージ」など、魅力的なメニューが用意されたテメラリオ。その刺激はわれわれユーザーにとっても、そして同クラスのスーパースポーツを生み出すライバルにとっても、極めて大きなものであることは確かだろう。

(文=山崎元裕/写真=アウトモビリ・ランボルギーニ/編集=櫻井健一)

「テメラリオ」のサイドビュー。シャシーには「ウラカン」と同じく軽量なアルミニウム製のスペースフレームが用いられている。ボディーサイズは全長×全幅×全高=4706×1996×1201mmで、ホイールベースは2658mm。
「テメラリオ」のサイドビュー。シャシーには「ウラカン」と同じく軽量なアルミニウム製のスペースフレームが用いられている。ボディーサイズは全長×全幅×全高=4706×1996×1201mmで、ホイールベースは2658mm。拡大
18Wayの電動調節機構やヒーター、ベンチレーションを備えるコンフォートシートのほか、サーキット走行に適したカーボンファイバー製ダブルシェルスポーツシート(写真)も選べる。
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2016年に発表されたアウディの2代目「R8」は、「ウラカン」の姉妹車。果たして「テメラリオ」のアウディ版も登場するのか。現在まで、確実視される情報はない。
2016年に発表されたアウディの2代目「R8」は、「ウラカン」の姉妹車。果たして「テメラリオ」のアウディ版も登場するのか。現在まで、確実視される情報はない。拡大
シャープなラインや六角形のライトシグネチャーなどが特徴的な「テメラリオ」のエクステリア。デザインはミティア・ボルケルト氏が率いるランボルギーニのデザイン部門、チェントロ・スティーレが担当した。
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