加熱する国産旧車ブームの最前線! 「ノスタルジック2デイズ2025」の会場から
2025.02.28 画像・写真2025年2月22日、23日の2日間、神奈川県横浜市のパシフィコ横浜で、『ノスタルジックヒーロー』など旧車専門誌のプロデュースによる恒例のイベント「ノスタルジック2デイズ2025」が開かれた。「日本最大級のクラシックモーターショー」とうたったこのイベントは、実車をはじめパーツやオートモビリア(クルマ趣味の小物)などのショップによる展示即売を中心とするもので、今回で16回目を迎えた。
このイベントは昔から日本車が中心だが、通称“ハコスカ”こと3代目「日産スカイライン」を筆頭とする国産旧車の人気車種の価格高騰は相変わらずで、おいそれと手を出せるものではなくなっている。それでも、いやそれだけ人気があるからということなのか、来場者数も年々増加。今回の2日間の入場者数は昨年の4万0514人から4万2561人に増え、過去最多を更新した。割合にするとおよそ5%増だが、肌感覚での会場内の人口密度の上昇はそれ以上で、東京オートサロンなみに撮影がしづらくなってきた気がする。出展社数を見ると昨年の165社から185社に増えているので、もしかしたら会場内の通路スペースが狭くなったために、より混雑度が高く感じられたのだろうか。ちなみに一般来場者の入場は午前10時からだが、22日は9時半の時点で会場の地下にあるみなとみらい公共駐車場は満車とのことだった。
車両展示のほか、レーシングドライバーやクルマ好きタレントのトークショー、音楽ライブなどステージプログラムも盛りだくさんで、終日盛況だった会場から、リポーターの印象に残った出展車両を中心に紹介しよう。
(文と写真=沼田 亨)
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1/40特別展示車両より、今回の告知ポスターやプログラムの表紙にもあしらわれた、いわばイメージカーである1969年「日産スカイライン2000GT-R(PGC10)」。通称ハコスカGT-Rの最初期型、つまりGT-Rを名乗った最初のモデルである。
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2/40これらも特別展示車両。右から映画『蘇る金狼』で松田優作が乗った(実際に運転はしていない)ことで知られる「ランボルギーニ・カウンタックLP500Sウォルター・ウルフ」、ワークス仕様の「日産チェリー クーペX1-R」のレプリカ、そしてプライベートでもクルマ好きで知られるSUPER GTドライバー、松田次生選手の所有する「日産スカイラインGT-R(BNR32)」。
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3/40これまた特別展示車両。1980年代の人気TVドラマ『西部警察』に劇中車として登場する「日産スカイライン ハードトップ2000RSターボ(DR30)」のレプリカ群。
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4/40もう1台の特別展示車両。『ノスタルジックヒーロー』誌に連載されている、林 克巳さんが所有する希少な日本車のコレクションから1952年「オオタPA4型」。戦前から戦後にかけてダットサンとレースで競ったこともあり、1957年まで存在した小メーカーであるオオタ。現存するオオタ車は極めて希少で、なかでも乗用車はこれ1台きりかもしれない。
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5/40「オオタPA4型」のリアビュー。筆者は20年以上前に『CAR GRAPHIC』のイベントでこの個体を見たことがあり(当時からこうした状態だった)、その後の行方が気になっていたのだが、収まるべきところに収まっていて安心した。
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6/40恒例の読者応募による「選ばれし10台」の入場シーン。オーナーがステアリングを握り会場内を自走して登場する、初日の幕開けとなるプログラム。これは最初に現れたホンダ初の市販四輪乗用車である1964年「ホンダS500」。レストアされて新車のような輝きを放っていた。
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7/40「選ばれし10台」のオーナーは、ステージ上でインタビューを受ける。
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8/40「選ばれし10台」の2台目だった、1967年「マツダK360」。“ケサブロー”の愛称で呼ばれる、空冷4ストロークVツインユニットをミドシップした軽三輪トラック。
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9/40「選ばれし10台」の1台だった1972年「三菱ミニカF4」。この年に登場した3代目ミニカで、駆動方式はオーソドックスなFRのままだが、エンジンは従来の2ストロークから新開発された4ストロークの水冷直2 SOHCとなった。広告のイメージキャラクターが岸部シローだったことを覚えている。
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10/40ノーチラススポーツカーがつくった「ケロヨン号」レプリカ。1960年代に存在したレーシングカーコンストラクターのデル・レーシングが製作した2座オープンのレーシングスポーツである「デルRSB」。それを当時、子供たちの間で絶大な人気を誇ったカエルのキャラクター「ケロヨン」が主役の着ぐるみ劇を主宰していた木馬座がスポンサードしてレースを走らせたのがケロヨン号。オリジナルは「トヨタ・クラウン エイト」用の2.6リッターV8エンジンをミドシップしていたが、これは初代「セルシオ」などに積まれた4リッターV8の1UZ-FEを搭載する。
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11/40ART RACINGが出展していた「フォードGT40」のレプリカ。以前も展示していた「ホンダ・ビート」ベースのものかと思いきや、「トヨタMR-S」ベースの新作だった。「今度はインテリアにも力を入れました」というだけあって、見事な出来だった。
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12/40四駆の老舗であるオートジャンクションが出展していた「トヨタ・ジープBJ型」。1951年にその名でデビューしたトヨタ初の四駆だが、その名がアメリカのジープの商標であることから1954年に「ランドクルーザー」に改名された。
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13/40今回、衝撃を受けた車両の1台である、トヨタモビリティ神奈川が出展した1962年「トヨペット・マイクロバスII型」。小型キャブオーバートラックである「ダイナ(RK160)」のシャシーに架装された小型バスで、ほとんど朽ちていたものをレストアしたという。隣にチラッと見える救急車は、「ハイエース」をベースとする車体に初代「セルシオ」などに使われていた4リッターV8の1UZ-FEを積んだ「トヨタ・ハイメディック」。
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14/40「トヨペット・マイクロバスII型」の室内。全長×全幅×全高=5670×1870×2180mm、車重2055kgというこの車体を動かすエンジンはというと、初代や2代目「クラウン」にも使われていた、最高出力80PSと最大トルク14.5kgf・m(グロス)を発生する1.9リッター直4 OHVの3R-B型! いくら低速トルク型とはいえ、定員20人を乗せたときには、いったいどんな走りをしたのだろうか。
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15/40東京オートサロンにも展示されていたヴェイルサイドの初代「日産フェアレディZ」。JMCとPAMSのコラボによるL6ユニットはL28改3.2リッターで、パワーは360PS以上とか。
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16/40ヴェイルサイドのブースに展示されていたJMC×PAMSの「LZ6」ユニット。L28ブロックにオリジナルのカムギアトレインのDOHC 24バルブヘッドを載せている。2.8リッターと3.2リッター版があり、最高出力は400PS以上。
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17/40ハコスカ一筋30年以上のVICTORY 50。オリジナルの姿を保った「1500バン デラックス」とセダンの「2000GT-R(PGC10)」、同じくセダンの「GT-R」仕様の「2000GT」の、いずれも素晴らしいコンディションの3台を展示。
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18/40毎回、広島から遠路はるばるやってくる「日産チェリー」のスペシャリストである竹口自動車は、4ドアセダン「1200 X-1」を展示。初代チェリーにクーペが追加されて以降、高性能版のX-1の需要の大半はクーペに移行したため、後期型のセダンX-1は非常に珍しい。
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19/40タキーズが出展した通称“ケンメリ”の「日産スカイライン ワゴン1800GL」。4ナンバーのバンもボディーは共通だが、これはバン改ワゴンではなく、希少なメーカー謹製の5ナンバーの乗用ワゴン。しかも「NISSAN FULL AUTO MATIC」のエンブレムが貼られているので、一段と珍しい3段AT仕様である。770万円という販売価格は新車価格(86万2000円)の約9倍。
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20/40通称“サニトラ”こと「日産サニー トラック」に積まれた、製作中という“HOSSAN”のASC16XX(仮称)ユニット。日産のA15型ブロックにホンダの「CBR1100」(二輪)用ヘッドを載せたという話題性抜群の一品で、「会見では『どちらが上、どちらが下ではなく……』とか言ってましたが、ここではNが下、Hが上です」という出展者のシャレの効いたコメントに座布団3枚!
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21/40型式名510こと3代目「ダットサン・ブルーバード」のエンジンを現行「GRヤリス」用1.6リッター直3 DOHC 12バルブターボのG16E-GTSにスワップ。ボンネットが低い旧車に現代のロングストローク型ユニットを収めるため、ボンネットの一部をバルジ化している。隣の「AE86」も同じくG16E-GTSを積んでいる。
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22/40毎回、コンディションのいい希少車を展示するオートサークル。これは1972年「トヨタ・パブリカ1200ST」。2代目パブリカの後期型の高性能グレードで、ホイール/タイヤを除き内外装とも新車時の姿に仕上げてある。
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23/401971年「トヨペット・コロナ マークIIハードトップ1700SL」。イーグルマスクと呼ばれた初代コロナ マークIIの最終型だが、ハードトップの人気の中心は上級の「1900」シリーズだったため、1700のツインキャブ仕様のSLはレアなグレードである。しかも走行は3万km未満で、ホイールキャップを含めて内外装とも本来の姿を保っている。
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24/401978年「トヨタ・カローラ レビン1600GT」。型式名TE51こと排ガス対策済みの2T-GEU型ユニットを積んで復活した2代目レビンの最終型だが、この個体は“ブラック レビン”という限定車とのこと。初めて存在を知った。
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25/40旧車レストア事業を始め、2024年に続き2度目の出展となる茨城トヨペット。今回は1980年代のハイソカーブームのなかで大ヒットしたマークII 3兄弟の中心車種である「トヨタ・マークII(GX71)」のトップグレード「ハードトップ2000GTツインターボ」を新車のように仕上げて展示した。
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26/40舘ひろしをイメージキャラクターに迎え「オレ・タチ、カルタス。」の強烈なダジャレコピーで話題となった初代「スズキ・カルタス」。1986年に加えられた、クラス初となるDOHC 16バルブユニットを積んだ「1300GT-i」は、内外装とも素晴らしい状態に仕上げられていた。ちなみに1300GT-i追加時のキャッチコピーは「ハード・タチ、カルタス。」だったと思う。
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27/40いすゞスポーツが展示した2台の初代「ジェミニ セダン」。左は1974年に登場した通称“逆スラント”の「1600LD」、右は1979年に追加された1.8リッター直4 DOHCエンジンを積んだ「ZZ(ダブルズィー)」のバーンファウンドものとのこと。ZZもオリジナルはフェンダーミラーだが、この個体は「オペル・カデットGT/E」用のドアミラーを付けている。現役だったころ、カデット用パーツを装着するのがはやったのだ。
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28/40オートサークルが出展していた1974年「三菱ランサー1600GSR(A73)」の、サファリラリー優勝記念の100台限定車「ラリー ランサー」。ただしアルミホイールとラリータイヤはノンオリジナル。また実際のサファリ優勝車は、カタログモデルの1600GSRには存在しない4ドア仕様だった。
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29/40「ホンダSシリーズ」とブリティッシュライトウェイトスポーツのスペシャリストであるガレージイワサが展示した1968年「ホンダS800M」。前輪ディスクブレーキなどを備えたSシリーズの最終発展型で、この個体はレストア済みで価格は900万円! ちなみに新車価格は75万円だった。
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30/40東京オートサロンでもおなじみの、郷田鈑金のロータリーエンジン搭載車。右は「オートザム・キャロル」、左は伝説の「雨宮シャンテ」をオマージュした「マツダ・シャンテ」がベースで、シャンテは1500万円のプライスボードを掲げていた。
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31/401992年にマイナーチェンジされた2代目「トヨタ・タウンエース バン」。ローダウンして顔つきをちょっといじっただけで、妙に未来っぽさを感じさせるようになるのは不思議。
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32/40日産系商用車と旧車用部品のエキスパートであるバラクーダが出展していた2台。左の1983年「日産サファリ」は某官庁で電源車として使われていたという、本来は輸出仕様のみの希少なトラック版。右の「茨 5」のシングルナンバーの付いた1968年「ダットサン・トラック(520)」は、リアをちょっと上げてエンケイディッシュのアルミホイールを履かせた、1970年代のアメリカ西海岸風の仕立て。
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33/40スウィンギンモータースが出展していた1972年「いすゞ・エルフ150」。俗に“エルフブルー”と呼ばれるブルーがイメージカラーだった2代目エルフでは少数派の通称“白エルフ”、しかもガソリンの1.6リッター直4 OHVエンジンを積んだ1.5t積みの150というレア仕様。
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34/40「ダットサン・ブルーバード1600SSS(P510)」のサファリラリー仕様と「マツダ・サバンナRX-7(SA22C)」のモンテカルロラリー仕様だが、いずれもレンタカーとのこと。
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35/40富士モータースポーツミュージアムは、1969年のワールドチャレンジカップ 富士200マイル(通称“日本カンナム”)で優勝した、5リッターV8 DOHC 32バルブユニット搭載の「トヨタ7」と、1984年のサファリラリー優勝車である「トヨタ・セリカ ツインカムターボ(TA64)」の2台を展示していた。
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36/40レジェンドレーシングドライバーズクラブのトークショー風景。左から進行役の竹岡 圭、安東弘樹、22日に登壇したドライバーの北野 元、星野一義、長坂尚樹、高橋晴邦の各氏。
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37/40レジェンドレーシングドライバーズクラブはサイン会も行った。1960年代から1970年代にかけて日産の通称“追浜ワークス”のエース格だった北野 元氏(左)と、当時はいわば2軍の“大森ワークス”所属だった星野一義氏(右)。
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38/40クラシックカーの共同所有という新たな楽しみ方を提唱するRENDEZ-VOUS(ランデブー)は「DMCデロリアン」を出展、共同オーナーを募った。
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39/40タキーズが出展していた1962年「キャデラック・フリートウッド60スペシャル」。「品川 3」ナンバーは継続されており、車検も付いているというから驚いた。
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40/40クラシックなロールス・ロイス/ベントレー専門のワクイミュージアムが展示した1973年「ロールス・ロイス コーニッシュ クーペ」。本国仕様の右ハンドル、アイアンバンパーのエレガントないでたちが魅力。価格は1200万円だが、新車価格(1950万円)より安い販売車両があったのは会場内でここだけかも。