スズキ・ワゴンR スティングレーTS(FF/CVT)【ブリーフテスト】
スズキ・ワゴンR スティングレーTS(FF/CVT) 2009.06.11 試乗記 ……161万7000円総合評価……★★★
売れっ子軽自動車「ワゴンR」のスポーティモデル、「スティングレー」。ワルめの見た目の“今どき軽”は、どんな走りを見せるのか?
若者向けもいいけれど
1993年、初代「ワゴンR」がデビューした当時、自動車専門誌『CAR GRAPHIC』ではこの新しいカタチの軽自動車を“長期テスト”の一員に加えた。担当したのはこの私。
ハイトワゴンの先駆けとなったワゴンRは、乗り降りのしやすい低いフロアや少し高めで運転しやすいアイポイント、余裕のある後席、その気になれば簡単に広がるラゲッジスペースなど、日常の足として使うには実に便利な乗りものだった。「このカタチが軽の主流になるんだろうなぁ」と思っていたら、まんまとそのとおりになり、いまやハイトワゴンが軽自動車の定番モデルとしてマーケットをリードしているのはいうまでもない。
そのトップランナーであるワゴンRのなかから、今回試乗したのが「ワゴンR スティングレー」。ちょっとワルめのルックスとスタイリッシュなインテリアで若者の気を惹こうという作戦のモデルである。
もちろん、これはこれでアリなのだが、初代ワゴンRの潔さを知る私としては、シンプルさを追求しながらも上質さを忘れない大人向けの提案があってもいいと思うのだが、スズキさん、いかがでしょう?
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
「ワゴンR」のデビューは1993年。「軽ワゴン」というジャンルを確立した、スズキの看板モデル。
「ワゴンR スティングレー」は、ワゴンRの姉妹車として2007年2月にデビュー。ディスチャージヘッドランプとグリルが横一列に並んだレイアウトが特徴。2008年9月25日にフルモデルチェンジした4代目で、ワゴンRの「RR」モデルが廃され、シリーズにおけるスポーティグレードとして設定された。
(グレード概要)
ベースモデルでNAの「X」と、ターボの「T」「TS」の3グレード構成。FFと4WDが用意され、トランスミッションはCVTのほか、NAモデルにのみ4ATも設定される。
テスト車は、装備満載の上級グレード。15インチタイヤを履くスポーティなモデル。本革巻ステアリングホイールにパドルシフト、ハイグレードサウンドシステム+7スピーカーなどが備わる。また、安全装備として前席SRSエアバッグに加え、フロントシートSRSサイドエアバッグ&SRSカーテンエアバッグも標準で装備される。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
フロントマスクだけでなく、インパネのデザインもノーマルの「ワゴンR」とは異なるスティングレー。艶やかなブラック塗装のセンタークラスターは存在感があり、シルバーのデコラティブパネルとともにスタイリッシュな空間づくりに貢献。クリアなデザインのメーターもひとクラス上の雰囲気を演出する。メーター内に瞬間燃費/平均燃費などが表示できるのも便利だ。
借り出したTSグレードには、青色LEDによるイルミネーション機能が搭載されている。インパネやドアトリムに加えて、フロントスピーカーにも青い光が灯るが、どうせやるなら赤や白など、好みにあわせて色が選べるといいのに……。なお、ボタン操作でイルミネーションは消すことも可能だ。
(前席)……★★★★
一般的なセダンより少し高めのアイポイントが、遠くを見るにも、また気分的にもラクなのがワゴンRのいいところ。それは最新モデルにも受け継がれている。
ベンチシートは、運転席側にシートリフターが付く。シートバックの高さがやや足りないものの、座り心地はソフトで、十分快適なレベルだ。インパネシフトを採用するため、左右のウォークスルーも容易。前席付近に収納が多いのも便利だ。伝統の(!?)“助手席シートアンダーボックス”は健在だが、初代に比べて深さが半減したのが少し寂しい。
(後席)……★★★★
わずか3.4mの全長にもかかわらず、よくぞこれだけのスペースを確保したと感心するのが後席だ。リクライニング、スライドともに可能な後席を一番後ろの位置にすれば足が組めるほどの広さ。一番前でもまだ余裕があり、窮屈な思いをせずに済みそうだ。前席に比べると路面から受けるショックが少し大きいものの、乗り心地は悪くなく、シートの座り心地もまずまずだ。
(荷室)……★★★
荷物よりも乗員を重視したパッケージングのため、後席を一番後ろに位置にすると、荷室の奥行きは30cm弱しかなく、全長の短さが身に染みる。後席を前にスライドさせれば、そのぶん奥行きが増えるものの、4人乗りで出かけることが多いという人は、荷室の大きさを確認しておこう。ワンタッチで後席が畳めて、フロアがフラットになるのは、初代ワゴンRから受け継がれる美点だ。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★
ワゴンR スティングレーに搭載されるパワートレインは、660cc直列3気筒ターボとCVTの組み合わせ。ギア比を自在に変えるCVTのおかげで、出足からもたつくことなく十分な加速を見せるとともに、右足の動きに素早く反応するのが心強い。CVTとはいえ、回転ばかりが先行する癖がほとんどないのが自然なフィーリングに結びついている。いざという場面での加速も頼もしく、3000rpmを超えたあたりからの力強さは、高速の合流などで威力を発揮する。加速時にパワートレインが発するノイズや、高速巡航時のロードノイズが大きいのは、このクルマの弱点。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★
シリーズの中では最も太い165/55R15サイズのタイヤを履くこのグレードだけに、低速では路面からのショックを伝えがちで、目地段差を越えた際のハーシュネスの遮断もいまひとつだが、それでも、乗り心地は十分に許容範囲内。高速道路では、不快なピッチングがあまり目立たず、また、背が高いわりにロールも抑えられているので、長時間運転しても辛くはない。だた、横風の影響を受けやすいので、強風時にはスピードを控えることをお忘れなく!
(写真=高橋信宏)
【テストデータ】
報告者:生方聡
テスト日:2009年4月13日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2009年型
テスト車の走行距離:7174km
タイヤ:(前)165/55R15(後)同じ
オプション装備:ESP(6万3000円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(2):高速道路(5):山岳路(3)
テスト距離:331.4km
使用燃料:23.3リッター
参考燃費:14.22km/リッター

生方 聡
モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。
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