トヨタ・ウィッシュ2.0G(FF/CVT)【試乗速報】
サイコーにちょうどいいトヨタ!? 2009.04.24 試乗記 トヨタ・ウィッシュ2.0G(FF/CVT)……276万9250円
55万台を売り上げたという人気のミニバン「ウィッシュ」がフルモデルチェンジを果たした。その使い勝手は? 走りは? 新型の実力をリポートする。
「ストリーム」を標的に
新型「トヨタ・ウィッシュ」のキーワードは「適切」。いい加減なテキトーではなく「適切」。すべての点でちょうど良いクルマだ。先代(初代)もそうだったが、普段の暮らしの中に、極端に言えば存在すら意識させないほど溶けこんでしまいそうだったりする。
とりあえず3列シートの6〜7人乗りだからミニバンと名乗ってはいるものの、実際にはセダンでありステーションワゴンでもあり、何でもある万能車。趣味とか走りとかではなく、豊かな機能をどこまで使い倒すか、問われるのはクルマのできではなく、ユーザーの想像力かもしれない。本当に身の丈のクルマ生活なら軽のワゴン、少し余裕を求めるならリッターカー、あらゆる場面に対応したければウィッシュとしておこう。
このウィッシュ、6年前に発売した時は、そのころ人気だった「ホンダ・ストリーム」が標的で、結局どちらもよく売れてオメデトウだったってことで、今度もライバル関係なのは同じ。しいて雰囲気を分ければ、トヨタらしく誰でもひょいと乗れるのがウィッシュ、一方ホンダのイメージにふさわしくグイッと強い走りが得意なのがストリーム、と言えないこともないが、実際そんなに違いはない。
ともに全長4.6m級と、大きめだが大きすぎないサイズの5ドアで、1.8リッターと2リッターのエンジンがあり、FFのほか4WDも選べるという基本線は共通だ。
ウィッシュの正しい使い方
そのうえで新型ウィッシュのステアリングを握ってみて、最初からまったく違和感がないどころか、とっくに乗り慣れていたかのように感じる。それも当然で、簡単に言うと「大きいカローラ」なのだ。サイズが違うぶんフロアの部品なども違うのだが、こういう実用車はこういう手応えにするというメーカーの基本方針がブレてないから、結果としてこうなる。
それはともかく多用途車だから、まず室内スペースから検証しよう。2列目シートは(ノーマルモデルの1.8Xと2.0Gは3人掛けのベンチで7人乗り、ちょいスポーティー風味の1.8Sと2.0Zはセパレートの2人掛けで6人乗り)前後に20cmスライドする。こういうクルマではここが特等席で、それを存分に味わうには、シートを最後部にセットするのが一番。その状態だと膝の前に拳骨2個半もの空間が残って快適だ。ただし、それだと3列目では膝がつっかえて、短時間だけ座るのがやっと。頭上も拳骨1個分ない。
3列目への乗り降りは楽だが、実質的には5人(または4人)プラス2。普段3列目は折り畳んでワゴンとして使い、遊びに来た友人を最寄りの駅まで迎えに行くとか、応急的に使うのが基本だろう。
3列目を起こした状態で、荷室フロアの奥行きは最低でも36cm、バックレストの上端で11〜26cm(リクライニングの角度による)、幅は最低でも1m以上あるから、とりあえず小さいカバン類なら問題ない。3列目を畳むと奥行き最大114cm 、2列目まで畳むと(ダブルフォールディングなので荷物が飛び出しにくい)最大で約2mにまで延び、スキーも縦に積めそうだ。
キーワードは「適切」
さて、運転してみると、とにかく自然。カローラより大きく重いのに、すべての動きがスムーズなので、そんなに違う感じがしない。エンジン出力は、2リッターが158ps、1.8リッターが144ps(4WDは133ps)と、テストコースなどでデータを取らなければわからない程度の差しかない。CVTとのマッチングが適切なのも理由の一つだ。全モデルとも7段(7変速パターン)のマニュアルモードがあるが、もちろん普段はDレンジだけで足りる。
それにしても最近のCVTは進化がめざましく、発進直後にエンジン回転と車速の不自然なズレを感じることが少なくなった。これに乗り慣れると、無段の滑らかさが本当に快い。
ハンドリングも全面的に適切。攻めてみてもあまりシャープさはないが、うっかり激しい操作を加えても破綻する気配はない。日常的な使用パターンに対しては、とても余裕がありそうだ。
しいて比較すれば1.8Sと2.0Zの方が少しだけシャキッと力強い手応えではある。タイヤがノーマルモデルの195/65R15に対し、1.8Sは195/60R16(2.0Zは215/50R17)と一段だけ高性能寄りなのと、フロントトレッドが20mm広いのが効いた。
ただし、それに伴ってフェンダーも張り出した結果、全幅が1720〜1745mmになり、ノーマルモデルと違って5ナンバー登録できないのが惜しい。
ただ日常の道具としてだけでなく、時には元気な運転も楽しみたい場合には、最上級バージョン2.0Zにだけ備わる“ダイナミックスポーツモード”がおススメだ。これは、ダッシュボードのスイッチを押すだけでCVTのレシオが低めに移行し、電動パワーステアリングのアシスト量が減ると同時に、VSCの機能を応用して、コーナリングの限界に近づいた時、そっと内輪だけブレーキをかけたりして、クイッと曲がりやすくしてくれる。撒水した実験場で試したら、本当に効果てきめんだった。
そういうわけで新型トヨタ・ウィッシュは、どのようにでも使える便利満載車なのである。
(文=熊倉重春/写真=郡大二郎)

熊倉 重春
-
BYDシールAWD(4WD)【試乗記】 2026.1.17 BYDのBEVサルーン「シール」の機能アップデートモデルが登場。強化のポイント自体はそれほど多くないが、4WDモデルの「シールAWD」は新たに電子制御式の可変ダンパーを装備したというから見逃せない。さまざまなシーンでの乗り心地をチェックした。
-
マツダCX-60 XDドライブエディション ナッパレザーパッケージ(4WD/8AT)【試乗記】 2026.1.14 「マツダCX-60」に新グレードの「XDドライブエディション ナッパレザーパッケージ」が登場。スポーティーさと力強さ、上質さを追求したというその中身を精査するとともに、国内デビューから3年を経た“ラージ商品群第1弾”の成熟度をチェックした。
-
カワサキKLX230シェルパS(6MT)【レビュー】 2026.1.13 その出来には“セロー乗り”も太鼓判!? カワサキのトレイルバイク「KLX230シェルパ」に、ローダウン仕様の「シェルパS」が登場。安心の足つき性で間口を広げた一台だが、実際に走らせてみると、ストリートでも楽しめるオールラウンダーに仕上がっていた。
-
メルセデス・ベンツC220dラグジュアリー(FR/9AT)【試乗記】 2026.1.12 輸入車における定番の人気モデル「メルセデス・ベンツCクラス」。モデルライフ中にも年次改良で進化し続けるこのクルマの、現在の実力はいかほどか? ディーゼルエンジンと充実装備が魅力のグレード「C220dラグジュアリー」で確かめた。
-
日産ルークス ハイウェイスターGターボ プロパイロットエディション(FF/CVT)【試乗記】 2026.1.10 日産の軽スーパーハイトワゴン「ルークス」がフルモデルチェンジ。「見えない危険が……」のテレビCMでお茶の間をにぎわせているが、走る、曲がる、止まるをはじめとしたクルマ全体としての仕上がりはどうか。最上級グレードをテストした。
-
NEW
ベントレー・コンチネンタルGTアズール(4WD/8AT)【試乗記】
2026.1.19試乗記ベントレーのラグジュアリークーペ「コンチネンタルGT」のなかでも、ウェルビーイングにこだわったという「アズール」に試乗。控えめ(?)な680PSのハイブリッドがかなえる走りは、快適で満ち足りていて、ラグジュアリーカーの本分を感じさせるものだった。 -
NEW
第327回:髪もクルマもナイスファイト!
2026.1.19カーマニア人間国宝への道清水草一の話題の連載。日産の新型「ルークス」で夜の首都高に出撃した。しっかりしたシャシーとターボエンジンのパワフルな走りに感心していると、前方にスーパーカーの姿を発見。今夜の獲物は「フェラーリ・ローマ」だ! -
NEW
日本で売れるクルマはあるのか!? 最新の“アメリカ産ニホンシャ”を清水草一が検証する!
2026.1.19デイリーコラムアメリカからの外圧による制度変更で、北米生産モデルの国内導入を決めたトヨタ。同様に、今後日本での販売が期待できる「海外生産の日本車」には、どんなものがあるだろうか? 清水草一が検証してみた。 -
フェラーリ12チリンドリ(後編)
2026.1.18思考するドライバー 山野哲也の“目”レーシングドライバー山野哲也が「フェラーリ12チリンドリ」に試乗。前編では伝家の宝刀であるV12エンジンを絶賛した山野。後編ではコンビを組むシャシーの印象を余すところなく聞いてみた。 -
BYDシールAWD(4WD)【試乗記】
2026.1.17試乗記BYDのBEVサルーン「シール」の機能アップデートモデルが登場。強化のポイント自体はそれほど多くないが、4WDモデルの「シールAWD」は新たに電子制御式の可変ダンパーを装備したというから見逃せない。さまざまなシーンでの乗り心地をチェックした。 -
新生ノートンがいよいよ始動! 名門の復活を担う次世代モーターサイクルの姿に迫る
2026.1.16デイリーコラム英国のモーターサイクル史にあまたの逸話を残してきた名門、ノートンが、いよいよ再始動! その数奇な歴史を振り返るとともに、ミラノで発表された4台の次世代モデルを通して、彼らが思い描く未来像に迫った。


































