レクサスRX350 バージョンL(4WD/6AT)【ブリーフテスト】
レクサスRX350 バージョンL(4WD/6AT) 2009.02.25 試乗記 ……592万3950円総合評価……★★★
レクサス国内初のSUV「RX」がラインナップに加わった。北米で、高級SUVのベンチマークとされる同車の新型はどうなのか? 上級グレードをテストした。
2.4リッターモデルも欲しい
セダンとクーペだけだった日本のレクサスに、都会派SUVの「RX」が仲間入りした。いうまでもなくこの新型RXは、トヨタブランドで販売されてきた2代目「ハリアー」の後継モデルだ。レクサスに移籍するにあたっては3.5リッターを新型「レクサスRX」専売とする一方、2.4リッターの2代目ハリアーを当面継続販売するというやり方で、棲み分けを図っている(ハイブリッド車については新旧モデルがそれぞれのディーラーチャンネルで併売される)。
新技術が盛り込まれ、デザインにも新鮮さが感じられるこのレクサスRXは、確かに正常進化を遂げているが、いかに新しいモノ好きな日本人とはいえ、価格や燃費の面で魅力的な2.4リッターが用意されず、ラインナップされるモデルも昔に比べて一気に値段が跳ね上がるのでは、その多くから支持を得るのは難しいのではないか。売る側の都合よりも、買う側の気持ちを大事にするのが“おもてなし”だと私は思うのだが、いかがだろう?
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
2009年1月19日に日本で発売となった「レクサスRX」。知ってのとおり、これまでは日本で「トヨタ・ハリアー」として販売し、北米名を「レクサスRX」としていた。
今回日本発売となった「RX」は、2008年11月のロサンゼルスショーで発表された3代目。現行「ハリアー」の後継モデルとなる。
ボディサイズは、全長×全幅×全高=4770×1885×1690mmで、現行ハリアーと比べて、ひとまわり大きくなった。
エンジンは、3.5リッターV6エンジン(280ps/35.5kgm)を搭載。トランスミッションは6段ATを組み合わせ、FFと4WDをラインナップ。ハイブリッドモデル「RX450h」は4WDのみで、2009年春に追加予定。
なお、従来ハリアー(2.4リッター)とハリアーハイブリッドは併売される。
(グレード概要)
ベースモデル「350」とスポーティな「バージョンS」、装備充実の「バージョンL」、エアサスペンションを採用する「バージョンL エアサスペンション」の4グレード。
テスト車の「バージョンL」は、本木目+本革ステアリング&本木目+本革シフトノブや、セミアニリン本革シート&トリムを採用し、メモリ付きチルト&テレスコピックステアリングや、プレミアムサウンドシステム(12スピーカー)が備わったモデル。安全装備として、全席サイド&カーテンシールドエアバックはもちろん、後席サイドエアバッグも標準で用意される。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★
緩やかな曲線と優しい曲面でシンプルに仕上げられたダッシュボードは、広々としていて、質感も高く、上品にまとめられた印象だ。大型のアナログメーターは白のスケールやメーター針が美しく、また各種情報を表示する新開発の白色有機ELメーターはとても見やすい。
オプションのヘッドアップディスプレイは、速度以外にレーン情報やルート案内が表示されるのが便利。見やすさにも不満はない。
新機能の「リモートタッチ」は、遠く離れたスクリーンを指でタッチするのではなく、センターコンソールのノブを動かすことで指の形をしたカーソルを操るというもの。発想はユニークだが、カーナビのリモコンと違って、(1)地図操作と画面上のボタン操作を同じカーソルで行わなければならない(2)選択時にノブとは別のボタンを押す必要がある(3)「戻る」ボタンがない、などの理由からかえって操作に手間取ってしまった。操作性という意味では、アウディの「MMI」やBMWの「iDrive」に一日の長がある。まだまだ発展途上という印象をうけた。
(前席)……★★★★
ソフトな肌触りとソフトな座り心地のセミアニリンレザーシート。身体を支える部分には小さな穴が開いている。これはシートベンチレーション用のもので、暑い時期でも快適に過ごせそうだ。シートの位置調節は電動で、スライド、リクライン、リフト、ランバーサポートに加え、座面を伸縮できるのがユニーク。メモリー機能も付く。ステアリングコラムは電動でチルト、テレスコピック調節が可能だ。
アイポイントが高いぶん眺めは良好で、運転していても気持ちがいい。駐車時にはボディの大きさを実感し、またいまひとつ車両感覚が掴みにくいので、リア/サイドモニターやオプションのクリアランスソナーが重宝する。
(後席)……★★★
前席同様、ソフトで座り心地のいい後席。スライド、リクライン調節が可能で、さすがに一番前のポジションだと窮屈だが、少し後ろにずらすだけで膝の前には十分な余裕が生まれる。だた、前席の下は奥まで爪先が入らないのと、フロアからシートクッションまでがさほど高くないため、ニールームにスペースがあるわりには広々とした感じがない。
(荷室)……★★★★
ボディサイズに対してほぼ期待どおりの広さを確保したラゲッジスペース。そのままでも奥行きは十分だが、必要とあらばラゲッジスペース内のレバー操作で後席を畳み、荷室を拡大することができる。このとき、後席のポジションにかかわらず、簡単に床下に収納できるのは便利。この「バージョンL」には電動テールゲートが標準で装備される。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★★
「RX350」に搭載される3.5リッターV6は、扱いやすいうえにスポーティな面も持つ。実に楽しいエンジンだ。余裕ある排気量のおかげで低回転からトルクが豊かで、アクセル操作に対するレスポンスも上々。大抵は3000rpm以下で済んでしまうが、さらに回してやれば、4000rpmあたりから乾いたサウンドとともに気持ちのいい吹け上がりを見せる。燃費優先の「ECO」モードを選ぶと、実用域でのトルク、レスポンスともやや控えめになり、排気量がもたらす余裕こそ感じられなくなるが、それでもふだん走るうえでは十分な性能をもたらす。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★
ラインナップ中、ベースモデルとこの「バージョンL」が標準のサスペンションを備え、少しハードに仕立て上げたのが「バージョンS」で、エアサスにより快適さの向上を図ったのが「バージョンL エアサスペンション」だという。
その説明どおり、バージョンLの乗り心地は基本的にはマイルド。SUVだけに、前後、左右の揺れは感じるものの、挙動は落ち着いている。ただ、標準の18インチに替えて、試乗車には235/55R19のタイヤが装着されているせいか、多少路面が荒れただけでも途端にショックを伝えてくるようになり、とくに後席ではそれが顕著だった。
一方、高速走行時の直進性は優秀で、レクサスらしく、フラット感も十分である。
(写真=峰昌宏)
【テストデータ】
報告者:生方聡
テスト日:2009年2月9日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2009年型
テスト車の走行距離:1314km
タイヤ:(前)235/55R19(後)同じ(いずれも、ブリヂストン DUELER H/L33)
オプション装備:235/55R19タイヤ+アルミホイール(3万1500円)/プリクラッシュセーフティシステム+レーダークルーズコントロール(14万7000円)/ヘッドアップディスプレイ(8万4000円)/クリアランスソナー(4万2000円)/“マークレビンソン”プレミアムサラウンドサウンドシステム(21万9450円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(4):高速道路(6)
テスト距離:226.8km
使用燃料:27.95リッター
参考燃費:8.11km/リッター

生方 聡
モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。
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