ダッジ・チャージャー SRT8(FR/5AT)【ブリーフテスト】
ダッジ・チャージャー SRT8(FR/5AT) 2008.04.01 試乗記 ……653万5200円総合評価……★★★★
「ダッジ・チャージャー」は、パワフルなV8エンジンを抱く4ドアセダン。現代のマッスルカーの実力を、400psオーバーのトップグレード「SRT8」で試した。
最高のマッスルカー
個人的な好みで★をつけるなら、すべて5点満点をつける。アメリカ製の大型高性能車として、現在考え得る最高峰だ。このテストにはスタイリングの評価項目がないけれども、あればもちろん★5つだ。
あえて総合点で4としたのは、職業上、気がかりな点があるから。その一つに2度踏みリリース方式のサイドブレーキがある。作動上の難点は何度も指摘しているが、今回は戻し忘れやすいことが気になった。チャージャーSRT8は、軽く踏んだだけではまったく効力を発揮せず、パワーに任せて簡単に動いてしまう。
それに、今回の広報車は手荒く扱われており、細かな傷も散見されるほどだった。それだけ同業者の皆さんが、気楽に気持ちよく走りを楽しめた証拠とも受け取れるが……。だからとも言うわけではないが、すでにサイドブレーキは初期の性能を維持していない状態だった。
もちろんしっかりフロアまで踏みつければ止め得るけれども、左端の薄暗い足元では存在からして忘れてしまいがちだ。やはりクライスラーらしく手元にレバー式で欲しいところ。ともあれ、アメリカに住むならば、欲しくなるクルマの1台だろう。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
「チャージャー」は、元は1960年代に「フォード・マスタング」らの対抗馬として生まれ、レースでも活躍したモデル。3代目にあたる現行型は、ダッジブランドのスポーティな4ドアセダンとして2005年にデビューした。
「クライスラー300C」をベースに開発され、長さ5100mm、幅1895mmの大柄な車体をもつ。アメリカ本国では、2.7リッターV6、3.5リッターV6、5.7リッターV8、6.1リッターV8と、4種類のパワーユニットからなる5つのグレードをラインナップする。
日本では、2007年6月から正規導入がスタート。「キャリバー」「ナイトロ」「アベンジャー」とともに発売された。
(グレード概要)
日本で選べるチャージャーのグレードは、2種類。5.7リッターV8を積む「R/T(=ロードアンドトラック)」と6.1リッターV8の「SRT(=ストリートアンドレーシングテクノロジー)8」。
今回の試乗車は、後者「SRT8」で、シリーズ中最大となる6.1リッター「HEMI」エンジンを搭載。431psの最高出力を発生する最もスポーティなグレードである。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★★
フルスケール8000rpmのタコメーターや180mph(=約290km/h)まで計測できるメーター類など、高性能車を思わせる配慮は万全。大小4眼の丸い計器と太いグリップの革巻きホイールだけでも、尋常なアメリカ車ではない雰囲気を醸す。
ナビ画面はちょっと視線を落とした中央の適所にあり、その下の空調ダイヤルも自然に手が届く。普通にキーを差し込んでから、それを右手で捻ってエンジンを始動させるのも今となっては希少な手続き(?)ながら、かかった瞬間の「ウォン!」が気持ちいい。
(前席)……★★★★
シートはサイドの盛り上がりも効いており、横方向のホールドがいい。適度にタイトに体を包み込む。しっかり奥まで座れば、腰の位置決めも良好。そこからさらに多少ルーズに座っても違和感がないところがアメリカ流。2度踏みリリース方式のサイドブレーキは、戻し忘れを招きやすく危険だ。しっかりロックさせないと、パワーがあるのでそのまま走ってしまう。
フード中央のパワーバルジを見ながら走る風景は、オーナーのプライドを満足させてくれる。
(後席)……★★★★
とりたてて特徴はないが、広々として概ね快適。シート表皮は中央部が「アルカンターラ」材で滑りにくく、一度座ってからは姿勢を直すことはなかった。座面後傾角の必要性は、クライスラー全車に共通認識されている。
リアウィンドウ上部にはスリット状のプリントが入り、頭のてっぺんに当たる陽光を適当に遮断してくれる。前席に比べ上下方向のGはやや感じられるが、姿勢そのものはフラットだ。Cピラーがもたらす囲まれ感や外部との隔離感といい、大型セダンらしいたたずまいがある。
(荷室)……★★★★
内容量は広大。リッドまで高さがあり、フロアは低い。特にタイヤハウスより後方は長く、横寸法も一杯に使ってある。FRアメリカ車流にオーバーハングの長さを活かしているのだ。平らなフロアの床板を上げると、小物入れも出現。スペアタイヤは持たず、代わりとなるパンク修理剤と電動ポンプがそこに収納されている。さらにリアシートを倒せば室内と繋がり、長尺物も十分に積めそう。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★★
6.1リッター「ヘミ」(=半球型燃焼室)エンジンがこの車のシンボル。5.7リッターの下位グレード「R/T」(355ps、53.5kgm)に備わる可変気筒システムは、このSRT8では採用されない。R/Tの方は、「クライスラー300C」のヘミ同様、稼動する気筒数を減らして燃費を稼ぐことができる。しかし、このSRT8でも、今回走りを楽しんだわりには5.4km/リッターと優秀な値が得られた。
メルセデス・ベンツの手になる5ATは、通常2速発進なので、“らしく”楽しみたいならマニュアルモードをマイナスして、ESPも潔く切って(!)発進すればよい。ただし、力を入れすぎるとホイールスピンして加速は鈍る。要注意。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★★
高性能モデルとはいえ、かつてのようにゴツゴツして飛び跳ねる傾向はない。姿勢はフラットそのもので、水平移動は米国製大型セダンの模範である。ブッシュのコンプライアンスも取り過ぎず、ブワブワした横揺れとも無縁。動きはしっかりしており、ステアリング入力に忠実だ。245/45R20の大径タイヤによるグリップは確実ながら、アメリカのオールシーズン用(M+Sタイヤ)なので絶対値はそこそこ。それに頼るだけではなく、広いトレッドや高めのロールセンターなど、ジオメトリーの確保は大型車に許された自由度を有効活用している。プロの仕事ぶりがうかがえる。
(写真=峰昌宏)
【テストデータ】
報告者:笹目二朗
テスト日:2008年2月19日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2007年型
テスト車の走行距離:9544km
タイヤ:(前)245/45R20(後)同じ(いずれも、グッドイヤー・イーグルRS-A)
オプション装備:ETC(2万5200円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(3):高速道路(7)
テスト距離:279.5km
使用燃料:51.46リッター
参考燃費:5.43km/リッター

笹目 二朗
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