ルノー・メガーヌRS(FF/6MT)【ブリーフテスト】
ルノー・メガーヌRS(FF/6MT) 2007.11.09 試乗記 ……390.0万円総合評価……★★★★
よりアグレッシブにフェイスリフトされた、「ルノー・メガーヌ」のスポーティグレード「RS」。足まわりに手が加えられたマイナーチェンジモデルの走りを、笹目二朗が診断する。
緊張しないスポーツモデル
ルノースポールが威信をかけて世に送り出した(かどうかは知らないが)とされる、希代のスポーツモデル「RS」であるが、走りっぷりの絶対値は高性能車のレベルにある。
しかしあまりにもフツウで、まったく緊張感を伴わない走行感覚に、多少の困惑も覚える。ドライバーズシートに座った時から眺めは標準車と同じだし、MTとはいってもシフトをサボってATのように走れてしまう(平地なら5速で1000rpmからカバー) し、乗り心地はいたって快適。5ドアハッチバックゆえ日常的に使うファミリーカーとしても最適なクルマだ。6速を多用すれば燃費もいいだろう。
これを「洗練された高性能車」とかたずけていいのだろうか。操縦する楽しみをどこに見いだすかが、ユーザーに課せられた宿題かもしれない。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
2004年1月より日本に導入された2代目「メガーヌ」は、3ドアと5ドアのハッチバック、ツーリングワゴン、グラスルーフカブリオレのボディバリエーションを持つ。のちに2リッターターボエンジン搭載の「RS」がハッチバックモデルに追加された。
2006年10月にマイナーチェンジを受け、シリーズ全体のフロントマスクが改められたほか、ステアリングシャフトやATのギア比変更、電動パワステフィールの改善などが行われた。
(グレード概要)
ルノースポール(RS)の名を持つこのグレードは、224psの専用2リッターターボエンジンと6段MTが与えられる。マイナーチェンジの際には、足まわりに手が加えられた。サスペンションは限定で発売されたスポーティグレード「メガーヌトロフィー」のものが移植され、ドリルドディスクブレーキローターを装着。ESPはすべての速度域で解除可能とされ、ブレーキペダルストロークなどを減らす、スポーツチューニングが施された。なお日本市場向けには、3ドアモデルが左ハンドル、5ドアが右ハンドルで用意される。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
RSという特別なモデルとしてのスポーティな装いに欠ける。ステアリングホイールのリム上部に巻かれた赤い印は、与えた舵角を確認するのに便利。だが径はやや大きすぎるので、グリップ形状なども含めRS専用品が欲しい。一応、3つのペダルは滑りにくい孔開きアルミであるとか、RSらしさも皆無ではない。ノーマルの状態でも走るのに必要な計器は完備しているし、凹凸のある立体的なインパネ造形はそれなりに魅力。でもやはり、専用品が欲しい。
(前席)……★★★★★
RS専用のシートは横方向のサポートも良く、しっかりホールドしてくれる。ヘッドレストも遠すぎない。座面の後傾斜角もまずまず。二重構造のフロアは、ボディ剛性の面では強固であるが、やや浅い感じで足を前に投げ出す姿勢を強要される。一方、ペダル類は上から下に踏み下ろす感覚なのでポジション全体にやや違和感がある。よって戦闘的なヤル気は削がれるものの、長距離走行の安楽さは上々。
(後席)……★★★
スタイリング優先のボディは空力特性ゆえかキャビン上部を絞り込んでおり、外から見て予想されるほど広くはない。しかしルーフはそれなりに高く、天井に頭髪が触れることはない。足元はFF車のフロアゆえセンタートンネルは小さめで、窮屈さから救われている。ここでも二重フロアゆえに、浅いフロアから天井までの距離は小さく感じる。リアウィンドウが近いことによる頭部への圧迫感はそれほどでもない。
(荷室)……★★
これこそデザイン優先の大きな犠牲。ランプ部分の容積などまったくの独占無駄遣い。ハッチゲートも分厚く、さらに内側にくびれており、上下方向の空間も限られる。トランクの有効容積としてはクラス最小か。この同じ造形思想のまま全長を変えずとも膨らませることは可能。モデラーの削り過ぎか?
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★
パワフルでスムーズ。高回転型ではないがロングストロークを活かして、実用域で使いやすい特性だ。6段のギアを総動員してシフトワークを楽しむにはイイ。RSというイメージからは遠く、高いギアで低速トロトロ走りもできてしまう。クルマとして悪い性格ではないものの、RSを名乗るからには、もう少し回して楽しめるキャラもほしい。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★★
乗り心地は良好。路面への当たりは間接的で目地段差などでもゴツゴツした感触は皆無。姿勢も概ねフラットで快適。ほどほどの接地圧が各輪に掛かって太めのタイヤをよくグリップさせている。キビキビした軽快な動きとは言い難いが、ドライバーの意思通りに旋回してくれる。高速道では、ぬるま湯に浸かっているような平和なクルーズ感覚。電動パワステの操舵感はかなり改善された。
(写真=郡大二郎)
【テストデータ】
報告者:笹目二朗
テスト日:2007年9月20日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2007年型
テスト車の走行距離:2696km
タイヤ:(前)235/40ZR18 DUNLOP SP SPORT MAXX(後)同じ
オプション装備:--
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(1):高速道路(6):山岳路(3)
テスト距離:294.6km
使用燃料:28.0リッター
参考燃費:10.52km/リッター

笹目 二朗
-
アウディQ3スポーツバックTFSIクワトロ150kWアドバンスト(4WD)【試乗記】 2026.8.31 フルモデルチェンジした「アウディQ3スポーツバック」に試乗。プラットフォームやパワートレインこそ従来型の改良版ではあるものの、内外装のデザインやインフォテインメント、効率性のすべてにおいて大幅な進化を遂げたという。その仕上がりやいかに。
-
トヨタbZ4XツーリングZ(4WD)【試乗記】 2026.8.29 「トヨタbZ4X」にワゴンのようなロングボディーを持つ「ツーリング」が登場。ただ長くなっただけではなく、今回試した4WDモデルではパワーもアップ。乗り味にも微妙な影響を及ぼしているから見逃せない。経路充電を試しつつ、370km余りをドライブした。
-
BMW 120オリジナル(FF/7AT)【試乗記】 2026.8.25 BMWの主要モデルに新グレードの「オリジナル」が設定された。位置づけとしては新たなエントリーグレードということになるが、BMWらしさを損なうことなく装備を厳選し、価格を抑えたのがポイントだという。「1シリーズ」の「120オリジナル」の仕上がりをリポートする。
-
トライアンフ・スラクストン400(6MT)【レビュー】 2026.8.25 カフェレーサーの本場である、イギリスのトライアンフがリリースした「スラクストン400」。車名のとおり、カジュアルに楽しめる400ccクラスのマシンではあるのだが、その実物からは、エントリーモデルとは思えない本物の香りが漂っていた。
-
スズキeスカイ プロトタイプ(FWD)【試乗記】 2026.8.24 スズキが満を持して世に問う、軽規格の新型電気自動車「eスカイ」。軽乗用車の本質である、生活の足としてのちょうどよい性能を追求したという一台は、どのようなクルマに仕上がっているのか? 2026年秋の正式発表を前に、プロトタイプモデルに試乗した。
-
NEW
第127回:新型BMW X5(後編) ―迷走するBMW 結局アナタは“ノイエクラッセ”でなにがしたかったの?―
2026.9.2カーデザイン曼荼羅その姿が明らかとなるや、賛否両論を巻き起こしている新型「BMW X5」。このクルマは既存のBMW製SUVとはなにがちがうのか? そもそもBMWは“ノイエクラッセ・デザイン”になにを託していたのか? カーデザインの識者と、迷走するBMWの明日を探った。 -
NEW
BMW X1 sDrive20iオリジナル(FF/7AT)【試乗記】
2026.9.2試乗記BMWのコンパクトSUV「X1」に新グレードの「オリジナル」が登場。走りの楽しさをはじめとしたBMWらしさをキープしつつ、装備の厳選によって価格抑制を図った新たなエントリーグレードだ。都市部におけるドライバビリティーとユーザービリティーをリポートする。 -
スポーツカーに未来はあるか?
2026.9.1あの多田哲哉のクルマQ&A年々、開発環境が厳しくなるといわれるスポーツカーは、この先も存在しうるのか? トヨタのエンジニアとしてさまざまなスポーツカーを開発してきた多田哲哉さんに“未来のスポーツカー像”を聞いた。 -
トヨタGRヤリスRZ“ハイパフォーマンス”+エアロパフォーマンスパッケージ【試乗記】
2026.9.1試乗記2020年のデビュー以来、間断なく進化を続けてきたコンパクトスポーツの「トヨタGRヤリス」。一般ユーザーの間ではもちろん、コンペティションの世界でもチューニングのかいわいでも光を放つ一台は、2026年モデルでどう進化したのか? その走りを報告する。 -
“自然を連想する車名”の名車特集
2026.9.1日刊!名車列伝暑さが和らぐ一方で、台風シーズンとも呼ばれる9月。その風をはじめ、星座、景観など自然を連想させる名前が与えられた、世界の名車を日替わりで紹介します。 -
興味があるのはたったの3割!? 自動車業界を揺るがすSDVやAIって本当に必要なの?
2026.8.31デイリーコラム自動車も、スマホのように機能がアップデートできるようになる! ……ということで注目されるソフトウエアディファインドビークル(SDV)だが、日本のユーザーの多くが「いらない」と思っていることが判明! 急速に進むデジタル技術の、必要性について考えた。





























