スポーツの秋に向けて狙う“今が買い時のスポーティーなユーズドカー”5選
2025.08.18 デイリーコラム「中古で市民スポーツ」のすすめ
まだまだ猛烈に暑い日々が続いているが、暦の上ではすでに秋。そして来るべき10月、11月あたりの本格的な秋シーズンは「スポーツの秋」でもある。なまった体を涼しい朝方のランニングなどで鍛え直すと同時に、自動車愛好家としては「スポーティーなドライビング」も堪能したいのが秋という季節である。
スポーティーなドライビングといっても、わざわざサーキットへ行く必要はない。いやもちろん行きたければ行けばいいのだが、あくまでも市民スポーツとしての観点で考えるなら「そこらへんの交差点を普通に曲がるだけで気持ちいい!」というタイプのクルマにて、公道を安全かつ痛快に、比較的長距離を走るというスポーツドライビングこそが今、求められているはずなのだ。
とはいえ「痛快に走れるクルマ」の新車価格は昨今やたらと高額化してしまっているわけだが、世の中には「中古車」という便利なモノがある。中古車であれば極めて現実的な予算にて、痛快かつ愉快な「市民スポーツとしてのスポーツドライビング」を始めることができる。
ならば今、スポーツの秋に向けて狙うべきスポーティーな(そして現実的な価格の)ユーズドカーとはどれなのか? 独断で5車種をピックアップしてみることにしよう。
【候補1】ポルシェ718ケイマン<現行型>(想定予算:総額580万~700万円)
ポルシェといえば「911」が自動的に連想されるわけだが、あいにく911の新車は総額2000万円を軽く超え、中古車も、現行992型だと総額1300万円以上。「ならば古い空冷世代で」と考えても、やはり軽く1000万円以上になってしまうという恐ろしい時代だ。
だが同じ現行型のポルシェでも、2リッターの水平対向4気筒ターボエンジンをミドに搭載する「718ケイマン」のベースグレードであれば、走行3万km台までの中古車であっても総額580万~700万円ほどで入手可能。もちろんそれでも高いは高いが、ド根性をもって臨めばなんとかなりそうな金額であり、「現行世代のポルシェとしては安い!」と言うこともできる。そしてワインディングロードなどを走らせる際は当然のこととして、そこらへんの交差点を曲がるだけでも大いに楽しむことができる一台だ。
拡大 |
拡大 |
拡大 |
300万円前後でも大満足
【候補2】ルノー・メガーヌR.S.<最終型>(想定予算:総額270万~380万円)
秋の市民スポーツドライビングに用いるクルマは718ケイマンで決まり! としたいところだが、やはり総額580万~700万円は、市民スポーツに使用するギアの値段としては少々高いのかもしれない。ならば718ケイマンとある意味似たような切れ味を、総額250万~300万円ほどの予算感で堪能できる最終型「ルノー・メガーヌR.S.」でどうだろうか。
ご承知のとおり最終型のルノー・メガーヌR.S.は、2018年8月に上陸した1.8リッター直4ターボを搭載するFFのハイパフォーマンスハッチバック。ファイナルモデルである「ウルティム」の中古車は総額500万円を軽く超えるが、ベースグレードであれば、走行3万km台の物件であっても総額270万円付近から検討可能だ。
クローズドコース向きのスポーツ性能を高めた「トロフィー」や「ウルティム」ももちろん魅力的ではあるが、市民スポーツのギアとして使うぶんには、比較的おだやかなベースグレードのほうがむしろ好都合である場合は多いだろう。
【候補3】アウディTT<最終型>(想定予算:総額220万~350万円)
考えれば考えるほど、最終型ルノー・メガーヌR.S.のベースグレードは市民のスポーツドライビングギアとして最適なように思えるが、それでもまだ「切れ味が鋭すぎるかも?」という懸念は少々ある。もう少しおだやかな性格で乗り味もやさしく、それでいてけっこうスポーティーにも走れるクルマこそが、市民のギアには向いている可能性は高い。
そうであるならば、注目すべきは「アウディTT」の最終型だろう。2015年8月に日本に上陸したこちらは、TTとしては3代目にあたる2+2クーペ。パワーユニットは最高出力230PSの2リッター直4ターボエンジン、あるいは同180PSの1.8リッター直4ターボエンジンで、駆動方式は2リッター版がFFまたは4WD、1.8リッター版はFFのみとなる。
直近の中古車価格は個体により千差万別だが、FFの「2.0 TFSI」でよしとするなら総額220万~300万円ほど、4WDの「2.0 TFSIクワトロ」でいきたい場合でも総額250万~350万円ほどで、走行3万km台までの物件が見つかるだろう。
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
国産車にも逸品あり
【候補4】スズキ・スイフトスポーツ<現行型>(想定予算:総額140万~170万円)
ここまでは「スポーツの秋」という言葉に引っ張られ、スポーティーなフォルムを有する車種ばかりを挙げてきた。しかし考えてみれば、本格的なスポーツウエアを着用せずともスポーツは楽しめるのと同様に、割と普通のハッチバックなどであっても、市民スポーツとしてのスポーツドライビングは十分楽しめるはずなのだ。
そう考えた場合にベストな選択肢となるのは、やはりスイスポこと現行型「スズキ・スイフトスポーツ」だろう。いまさら過剰な説明は不要と思うが、高剛性かつ小ぶりで軽量なハッチバックボディーに、下から上までトルキーでよく回る1.4リッター直4ターボエンジンを組み合わせた超名作である。
スイスポではない普通の「スイフト」が新型に切り替わっている今、スイスポのほうも「新型」を買ってみたい気持ちはあるのだが、新型は待てど暮らせど登場しない。いつになるのか、そもそも本当に発売されるのかどうか、まったくわからない状況だ。
であるならば、走行3万km台までの物件であっても総額100万円台後半で狙える現行型をサクッと入手し、可及的速やかに「最高のハッチバックがある生活」を始めてしまうほうが、健康ですこやかな毎日を送れる可能性は高い。在庫のみとなった新車を買うのももちろん悪くないが、個人的には総額100万円台の中古車でも十分以上だと確信している。
【候補5】マツダ・ロードスター<現行型>(想定予算:総額190万~220万円)
スポーツの秋に最適な中古車をサラリとピックアップするつもりが、紙幅が尽きてしまった。最後はコンパクトにまとめよう。
市民スポーツとしてのスポーツドライビングを手ごろな予算で始めたいのであれば、現行型「マツダ・ロードスター」こそがベスト中のベストだろう。走りの良さについては言わずもがなだが、予算の面でも、総額200万円前後でけっこういいモノが狙える状況になっている。
これをしっかりメンテナンスしながら10年も乗り続ければ、身も心も間違いなく健康になれるだろう。
(文=玉川ニコ/写真=ルノー・ジャポン、アウディ ジャパン、スズキ、マツダ、webCG/編集=関 顕也)
拡大 |
拡大 |
拡大 |

玉川 ニコ
自動車ライター。外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、自動車出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。愛車は「スバル・レヴォーグSTI Sport R EX Black Interior Selection」。
-
長く継続販売されてきたクルマは“買いの車種”だといえるのか? 2025.11.17 日本車でも欧州車並みにモデルライフが長いクルマは存在する。それらは、熟成を重ねた完成度の高いプロダクトといえるのか? それとも、ただの延命商品なのか? ずばり“買い”か否か――クルマのプロはこう考える。
-
ホンダが電動バイク用の新エンブレムを発表! 新たなブランド戦略が示す“世界5割”の野望 2025.11.14 ホンダが次世代の電動バイクやフラッグシップモデルに用いる、新しいエンブレムを発表! マークの“使い分け”にみる彼らのブランド戦略とは? モーターサイクルショー「EICMA」での発表を通し、さらなる成長へ向けたホンダ二輪事業の変革を探る。
-
キーワードは“愛”! 新型「マツダCX-5」はどのようなクルマに仕上がっているのか? 2025.11.14 「ジャパンモビリティショー2025」でも大いに注目を集めていた3代目「マツダCX-5」。メーカーの世界戦略を担うミドルサイズSUVの新型は、どのようなクルマに仕上がっているのか? 開発責任者がこだわりを語った。
-
新型「シトロエンC3」が上陸 革新と独創をまとう「シトロエンらしさ」はこうして進化する 2025.11.13 コンセプトカー「Oli(オリ)」の流れをくむ、新たなデザイン言語を採用したシトロエンの新型「C3」が上陸。その個性とシトロエンらしさはいかにして生まれるのか。カラー&マテリアルを担当した日本人デザイナーに話を聞いた。
-
“Baby G”の開発状況は? 来日したメルセデスAMGの開発トップにインタビュー 2025.11.12 ジャパンモビリティショー2025の開催に合わせて、メルセデスAMGのCEOであるミヒャエル・シーベ氏が来日。自動車メディアとのグループインタビューに応じた。「コンセプトAMG GT XX」に込めた思いや電動化時代のAMGの在り方などを聞いてみた。
-
NEW
第852回:『風雲! たけし城』みたいなクロカン競技 「ディフェンダートロフィー」の日本予選をリポート
2025.11.18エディターから一言「ディフェンダー」の名を冠したアドベンチャーコンペティション「ディフェンダートロフィー」の日本予選が開催された。オフロードを走るだけでなく、ドライバー自身の精神力と体力も問われる競技内容になっているのが特徴だ。世界大会への切符を手にしたのは誰だ? -
NEW
赤字必至(!?)の“日本専用ガイシャ” 「BYDラッコ」の日本担当エンジニアを直撃
2025.11.18小沢コージの勢いまかせ!! リターンズかねて予告されていたBYDの日本向け軽電気自動車が、「BYDラッコ」として発表された。日本の自動車販売の中心であるスーパーハイトワゴンとはいえ、見込める販売台数は限られたもの。一体どうやって商売にするのだろうか。小沢コージが関係者を直撃! -
NEW
アウディRS 3スポーツバック(4WD/7AT)【試乗記】
2025.11.18試乗記ニュルブルクリンク北コースで従来モデルのラップタイムを7秒以上縮めた最新の「アウディRS 3スポーツバック」が上陸した。当時、クラス最速をうたったその記録は7分33秒123。郊外のワインディングロードで、高性能ジャーマンホットハッチの実力を確かめた。 -
NEW
「赤いブレーキキャリパー」にはどんな意味があるのか?
2025.11.18あの多田哲哉のクルマQ&A高性能をうたうブレーキキャリパーには、赤をはじめ鮮やかな色に塗られたものが多い。なぜ赤いキャリパーが採用されるのか? こうしたカラーリングとブレーキ性能との関係は? 車両開発者の多田哲哉さんに聞いてみた。 -
第323回:タダほど安いものはない
2025.11.17カーマニア人間国宝への道清水草一の話題の連載。夜の首都高に新型「シトロエンC3ハイブリッド」で出撃した。同じ1.2リッター直3ターボを積むかつての愛車「シトロエンDS3」は気持ちのいい走りを楽しめたが、マイルドハイブリッド化された最新モデルの走りやいかに。 -
スズキ・クロスビー ハイブリッドMZ(FF/CVT)【試乗記】
2025.11.17試乗記スズキがコンパクトクロスオーバー「クロスビー」をマイナーチェンジ。内外装がガラリと変わり、エンジンもトランスミッションも刷新されているのだから、その内容はフルモデルチェンジに近い。最上級グレード「ハイブリッドMZ」の仕上がりをリポートする。










































