「第4回ルノー・スポールジャンボリー」の会場から
2012.10.24 画像・写真2012年10月20日、静岡県小山町の富士スピードウェイで「第4回ルノー・スポールジャンボリー」が開かれた。タイトルにあるように4回目を迎えた、サーキットを舞台としたルノー・ジャポン主催のファン感謝イベントで、今回も本国ルノー・スポールのドライバーらのスペシャルゲストを迎えて開催された。メーカーやインポーター主催のファン感謝イベントは少なからずあるが、中でも主催者と参加者の一体感を強く感じるのが、ルノー・ジャポン主催の「カングージャンボリー」であり、この「スポールジャンボリー」である。その理由を考えたところ、まずは主催者の姿勢。今や日本は、ルノー・スポールに関してはヨーロッパ以外では最大のマーケットだそうだが、それを支えているオーナーやファンに対する「愛してくれて、集まってくれて、ありがとう」という主催者の感謝の気持ちが、ダイレクトに伝わってくるのだ。すべてのプログラムが「いっしょに楽しもう」という視点から構成されており、目玉のひとつであるタイムアタック「ルノー・スポールトロフィー」にゲストドライバーが出走するのをはじめ、短いランチタイムを除いてはゲストおよびスタッフは参加者の輪の中で、共に時間を過ごすのである。こうした主催者の姿勢が、参加者の共感を呼ばないはずがなく、結果として強い一体感が生まれるというわけだ。ちなみに今回の参加台数は306台で、昨年比約4割増という。毎回台数が増えているのは、主催者としてはうれしいところだが、今後さらに規模が拡大した場合、前述した一体感に影響が出ないか、というのはいささか気になるところではある。もっとも、本来ニッチ商品であるルノー・スポールにそこまでの心配は無用か? ということで、会場から印象に残ったシーンとマシンを紹介しよう。
(文と写真=沼田 亨)

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オープニングセレモニー。ルノー・ジャポンの大極 司社長(左から2人目)、ルノー・スポールのスタッフ、そして3人のゲストドライバーらがステージに整列、あいさつしてイベントがスタート。
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最初のプログラムであるゲストドライバーによる「サーキットタクシー」に続いては、ゲストによるスペシャルトークショー。出席者は左から「メガーヌR.S.」のプロダクトマネージャーであるイレネ・べレリ、メガーヌR.S.でニュルブルクリンクFF最速タイムをたたき出した、ルノー・スポールテクノロジーのトップガン・テストドライバーであるロラン・ウルゴン、「メガーヌR.S. N4」を駆ってIRCラリーで活躍中のエマニュエル・ギグ、そして通訳兼進行役のルノー・ジャポンのフレデリック・ブレン。質疑応答コーナーでは「ルノー・スポールはデュアルクラッチ・トランスミッションを採用しないのか?」とか「新型『ルーテシアR.S.』のブレーキはブレンボではないが、コストダウンしたのか?」などといった、回答する側にとってはなかなか悩ましい質問も。
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一昨年、昨年と2年連続でゲスト参加したジャン・ラニョッティ御大を筆頭に、ルノーのドライバーはみな気さくでフレンドリーなナイスガイ。ジャケットにサインを頼まれたロラン・ウルゴンは「こりゃ路面に置いたほうが書きやすいね」とばかりにひざまずいてサイン。
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先日、11月中旬の発売がアナウンスされた「トゥインゴR.S.レッドブルレーシングRB7」がパドックで本邦初公開された。「サプライズのつもりだったのに、朝一番からベールもかけずにど〜んと展示されちゃった」と、大極社長は苦笑い。ルーフにはチェッカー模様が入っていた。
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来場したルノー車のなかで、(アルピーヌを除いて)唯一のリアエンジン車だった「R8ゴルディーニ」。ゴルディーニというとフレンチブルーに2本の白いストライプがお約束だが、この淡いイエローもいい。これを見て、大昔にエレール(フランスの模型メーカー)のR8ゴルディーニをハンブロール(イギリスの模型用塗料)の筆塗りで黄色に仕上げたことを思い出した。
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次なるプログラムは、毎年恒例となっているゲストドライバーによる超絶アクロバットショー。トークショーに出演した2人に、「ワールドシリーズ・バイ・ルノー」のショータイムで活躍するフレデリック・ジョエを加えた3人が、「メガーヌR.S.」と「トゥインゴR.S.」を駆り、ホームストレート上を大暴れ。
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おそらく20cm以内か? アクセル、ブレーキのタイミングがちょっとでも狂ったらゴッツン、という間隔を保ったままのスラローム走行。
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これでもかとばかりにタイヤスモークを上げる2台。前のプログラム(当日はオートカージャパン・フェスティバルと併催)の終了後にまかれたオイル処理のための石灰もまじって、あたりは一面真っ白。
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ショーを終えた直後の3人のドライバー。左から一昨年、昨年に続いて3回目の参加となるフレデリック・ジョエ、ロラン・ウルゴン、そしてエマニュエル・ギグ。
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一方そのころパドックでは、フルコースにおけるタイムアタック「ルノー・スポールトロフィー」に向けて参加車両が最後のチェック中。
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ここからは78台がエントリーした「ルノー・スポールトロフィー」の参加車両を紹介しよう。まずは昨年のこのイベントで国内初披露された「メガーヌ・トロフィー」。チューブラーフレームに360psを発生する3.5リッターV6エンジンをミドシップしたワンメイクレース用のマシンである。
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「ロータス・エラン」や「MGB」などと同じく1962年の生まれで、今年生誕50周年を迎えた「アルピーヌA110」のランデブー走行。
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珍しいオレンジ色をまとった「アルピーヌA110」。
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1985年から91年まで作られた「アルピーヌV6ターボ」。鋼管バックボーンフレームの後端にエンジンを積み、FRP製ボディーをかぶせるという、59年に登場した「A108」以来の基本構造を踏襲するRRのスポーツカー。エンジンは2.5リッターV6ターボで、カタログ上の最高速度は250km/hを豪語した。
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同じく「アルピーヌV6ターボ」の後ろ姿。こちらはステッカーで飾られたボディーから想像されるとおり中身もチューンされているようで、室内にはロールケージが組まれていた。
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ルノー・スポール初の市販車として1996年に発売された「ルノースポール・スピダー」。もともとワンメイクレース用車両として開発された、サイドウィンドウやソフトトップの備えがない完全なロードスターで、初代「メガーヌ16V」用の2リッターエンジンをミドシップ。この個体はさらに大きなテールウイングを生やしている。
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「クリオ ルノースポールV6」。1998年に登場した2代目「クリオ」(クリオ2、日本名「ルーテシア」)のボディーを拡幅し、後席のあるべき場所に3リッターV6エンジンをミドシップした、「5ターボ」の再来ともいうべきリトル・モンスター。このフェイズ1は、80〜90年代にスポーツカーレースを中心に活躍したTWR(トム・ウォーキンショー・レーシング)で製造された。
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1987年にデビューした、2リッター直4ターボエンジンを積んだスポーツサルーンの「21ターボ」をレーシング仕様に仕立てた、日本ではおそらく1台きりと思われるマシン。ジウジアーロが手がけた角張ったボディーが、時にタイヤスモークを上げながらつんのめるように激しくブレーキングする姿は、えらくカッコよかった。
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先代「メガーヌR.S.」をベースに後席を取り払うなどして車重を150kg近くも軽量化。2008年当時ニュルブルクリンクでFF最速タイムをマークした450台限定の「R26.R」。
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往年の「8ゴルディーニ」にちなんだ、ブルーに2本の白いストライプが入った「ルーテシアR.S.ゴルディーニ」。思い起こせば2年前、ルノー・スポールジャンボリーの前日にお披露目され、イベントのために来日したジャン・ラニョッティも発表会に顔を見せたのだった。
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初代「クリオ」(クリオ1)の高性能モデルである「16S」(日本では「ルーテシア16V」)をベースに、1993年に登場した「クリオ ウィリアムズ」。ウィリアムズとは、もちろんルノーがエンジンを供給し、90年代に2度目の黄金期を迎えていたF1ウィリアムズ・チームのことである。
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2001年のマイナーチェンジで顔つきが変わり、フェイズ2となった「クリオ2」のカップカー。室内にはロールケージが組まれ、シーケンシャル式ミッションを備える。
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つい先日、新型「クリオ」のカップカーが発表されたことで、先代となってしまった「クリオ3」のカップカー。
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速さ自慢のマッチョな兄弟に囲まれながら、がんばって走っていた「ウインド ゴルディーニ」。
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先ごろ60台が限定販売された「メガーヌ エステートGT」の姿もあった。