「The Rally -Amazing Moment-」の会場から
2018.06.18 画像・写真“ポルシェ”の名を冠した最初のスポーツカーである「ポルシェ356」が世に送り出されたのは、1948年6月のこと。あれから70年を迎えた今年、その系譜を受け継ぎ、ポルシェの象徴として最新モデルが送り出され続けている「911」を主役としたラリーイベント「The Rally -Amazing Moment-」が、2018年6月2日から3日の2日間にわたり開催された。このラリーイベントは、東京都心から長野県軽井沢町を目指す1日目の往路と軽井沢町から東京都心を目指す2日目の復路で構成される1泊2日のショートトリップだ。空冷から水冷まで含めた911全モデルが対象で、新旧合わせて約80台が参加した。多種多様な911によるラリーイベントのスタート地点となった東京・代官山T-SITEの模様を中心にお届けする。(文と写真=大音安弘)
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1/30スタート地点となる東京・代官山T-SITEには、早朝から新旧さまさまな「ポルシェ911」が集結。その横顔には、誕生より受け継がれるDNAが感じられる。
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2/30参加者だけでなく、多くのポルシェファンでにぎわった代官山T-SITEの駐車場。会場内はちょっとした“911ミュージアム”となり、熱心に各車に見入る人たちの姿も……。
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3/30参加者が出走準備のためにゼッケンを装着する。都心のポルシェディーラー主催のイベントだけに、参加者は関東近郊のオーナーが中心。ただ青森など遠方からの参加者も見受けられた。
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4/3080台を上回る参加台数があったため、スタート地点となる代官山T-SITEの駐車場は「911」であふれかえった。輸入車が多い都内とはいえ、これほどの911が集まるのは、かなり珍しいことだろう。
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5/30参加車両のモデルや仕様はさまざま。手前の白い「997」は、「911 50thアニバーサリーエディション」。2013年に911の誕生50周年を記念して登場した限定車で、誕生年にちなんで世界限定1963台が発売された。
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6/30スタート地点に飾られていたのは、70年前に誕生したポルシェ初の量産車である「356クーペ」。集結した「911」のご先祖さまといえる。ハンドメイドのボディーは、スポーティーながら愛らしさもあるフォルムが印象的だった。
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7/30まずは開会式とともにドライバーズミーティングを実施。ドライバーたちには、ラリー出走に向けての諸注意が伝えられた。集まった「911」は代官山をスタートし、コマ図を頼りにチェックポイントに立ち寄りながら、ゴールとなる軽井沢を目指す。
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8/30ドライバーズミーティングに熱心に耳を傾ける参加者たち。当日は天候にも恵まれ、特に屋根開きモデルの「タルガ」と「カブリオレ」は、開放感あふれる“本来の姿”を周囲に披露していた。
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9/30参加車両は、やはり現行型となる「991」が最も多く、次いで先代の「997」と続く。意外にも、いまだ街中で見かけることも多い初の水冷モデルである「996」や、ラスト空冷モデルの「993」などはさほど多くなかった。
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10/30ターボルックの「911カブリオレ」(930)と「911」(964)が並ぶ。クラシカルな“911スタイル”を受け継ぎつつも、実用性が一気に高められた世代といえる。
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11/30「ポルシェ911」が主役のイベントだけあって、ラリーのペースカーも911が用意されていた。
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12/30参加者の中には、「997」のオーナーであるモータージャーナリスト、九島辰也氏の姿も。
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13/301985年の「930」が1号車となってラリーがスタート。参加者たちからの声援を受けて、さっそうと軽井沢に向けて走りだした。
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14/30続々とスタートしていく「ポルシェ911」。スタートを目前に控えるのは、専用のサイドエアインテークを持つ「911ターボ」(997)だ。
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15/30軽快なスタートを見せる「911カブリオレ」(996)。沿道からスタートを見守る観客たちにコドライバーが旗を振って応えていた。
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16/30参加車両の走る姿を楽しもうと、スタート地点の沿道には、多くのクルマ好きが集結。ラリーのスタートを見守りつつ、その雄姿と特徴的なサウンドを楽しんでいた。
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17/30ラリーコースである碓氷峠の中山(なかせん)道を走る「911タルガ」。峠道の途中に現れるめがね橋は、現在は廃線となった信越本線の横川~軽井沢間を結んでいた陸橋で、今は国の重要文化財にもなっている。(撮影:小川義文)
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18/30高速道路を軽井沢に向けて北上する参加車両。新旧多種多様な「ポルシェ911」とともにした道中は、参加者たちのいい思い出となったはずだ。(撮影:小川義文)
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19/301日目のチェックポイントのひとつである鬼押出し園では、ジムカーナも行われた。快走を見せるのは、1988年の「911カブリオレ」(930)。(撮影:小川義文)
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20/302日目のゴール地点となるパレスホテル東京に到着した参加車両。2日間で約300kmを走行した。(撮影:小川義文)
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21/301991年「911カレラ4カブリオレ」(964)。ハイテク4WDの「ポルシェ959」で培った技術を911に初めて取り入れたのが1989年発表の964だ。ティプトロニックと呼ばれるマニュアルモード付きATが初採用されたモデルでもある。この当時は、まだ4段ATだった。
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22/302000年「911 GT3」(996)。レース参戦やサーキット愛好家向けに作られた高回転型の自然吸気エンジンを持つGT3は、996より設定。この頃は、電子制御も省かれており、かなりスパルタンな仕様だった。
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23/301972年「911S」(901)。1963年に発売された初代911。「S」は、高性能インジェクション仕様となるモデルだ。エアダムスカート付きであることから2.4リッターと推測される。この他のグレードに、キャブ仕様でエントリーモデルとなる「T」、インジェクション仕様の「E」があった。
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24/301968年「912」(901・左)と1973年「911」(901・右)。4気筒と6気筒というエンジンの違いはあるが、基本的なスタイリングは同じ。バンパーのオーバーライダーは、当初は911全車に備わっていたが、後に廃止された。
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25/301966年「912」(901)。高性能だが、あまりにも高価であった「911」の廉価版として登場。911が2リッターの水平対向6気筒SOHCエンジンだったのに対して、コンパクトな1.6リッターの水平対向4気筒OHVエンジンを搭載。このエンジンは、「356SC」より受け継がれたものだった。
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26/301988年「911ターボ タルガ」(930)。930世代では太いBピラーが特徴的だが、「964」以降は大型スライディングルーフ装着車がタルガと呼ばれることになった。しかし「991」世代では、そのスタイルを原点回帰。リアガラスが大きく後退し、ラゲッジスペースにルーフを電動格納する便利なモデルになった。
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27/301989年「911ターボ」(930)。レースで培ったターボ技術を市販車に投入した930ターボはずば抜けた高性能と豪華装備を備えており、まさに“キング・オブ911”といえる存在だった。
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28/30ボリューム豊かなフォルムを持つ「356クーペ」。灯火類などの付加物は、かなりシンプルで、より特徴的なフォルムが際立っている。
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29/30展示される「356クーペ」のトランクルームは、燃料タンクとスペアタイヤで満杯。後続車となる「911」では実用性がかなり高められていたことがよく分かる。
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30/30「ポルシェ356クーペ」のエンジンルーム。1.3リッターの空冷水平対向4気筒OHVエンジンは実にコンパクトで、最高出力も44馬力にすぎなかった。