「STI MOTORSPORT DAY」の会場から
2019.03.13 画像・写真2019年3月10日に開催された、STI(スバルテクニカインターナショナル)初のファン感謝イベント「STI MOTORSPORT DAY」は、悪天候の予報も吹き飛ぶ熱気に包まれ大盛況だった。その様子をスバルファンの目線で報告する。(文=マリオ高野/写真=マリオ高野、スバル)
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1/30本コース上で行われた、SUPER GT参戦マシン「BRZ GT300」と、ニュルブルクリンク24時間レースのチームスタッフ、およびスポンサーが勢ぞろいした様子は、グランドスタンドなどから見物できた。スバルファンにとってはおなじみのカルロ・ヴァンダム選手とティム・シュリック選手も、ドイツから駆けつけたのは初めて。両選手そろって日本で開催されたイベントへの参加を喜び、楽しんでいた。
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2/30イベントの趣旨は、スバルのモータースポーツファンとスバルのモータースポーツ関係者が直接対話することで絆を深めるというもの。これまでは毎年、東京・恵比寿にあるスバルの本社ショールームで行われる「SUBARUモータースポーツファンミーティング」がその役割を果たしてきたが、ショールーム内でのイベントということで収容キャパシティーが小さく、事前申し込みによる抽選で当選した150人程度のファンしか参加できなかった。そこでSTIの「足を運ぶすべてのスバルファンが参加できるようにしたい」との思いから、開催場所を富士スピードウェイに変更し、大幅に規模を拡大するに至った。
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3/30集まったスバルファンの愛車が並んだ駐車場の様子も圧巻。ラリーレプリカに仕立てたものや、ハイチューン車、そして往年の名車などもそろっていて、スバルファンはこれだけでもモーターショー感覚で楽しめた。自分の愛車をあこがれのドライバーや競技マシンといった“スバルワークス”の近くに置けるのも喜びである。当日の会場には、約2000台のスバル車(駐車場への入場台数1900台、さらにバイク、自転車、タクシーなどが55台)と約3000人のファンが集まり、スバルブランドのメーカー主催イベントとしては過去最大規模となった。
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4/30SUPER GTの前身、全日本GT選手権時代の参戦マシン「クスコDUNLOPスバル・インプレッサ」も展示された。
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5/302005年に「クスコDUNLOPスバル・インプレッサ」でスポット参戦したカルロ・ヴァンダム選手にとっても、展示された同車は懐かしいマシン。思わず写メを撮りまくるなど、ドライバーたちもファンと同じ感覚で楽しんでいた。
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6/30筆者の知る限り、スバルのトークショーイベントで史上最多の観客を集めた、ステージトークショーの様子。SUPER GTオフィシャルアナウンサーのピエール北川さんがMCを務め、いつもに増して濃厚な話題で盛り上がった。
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7/30会場を埋め尽くしたスバルファン。
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8/30トークショーの模様は、会場の大型モニターでも紹介された。山内英輝選手(写真中央)にマイクを向けるのは、スバルファンにとってはおなじみのリポーターである一戸恵梨子さん。
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9/30会場を盛り上げた、ピエール北川さん(写真左)と一戸恵梨子さん(右)。
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10/30STIのマシンでレースに臨む4人のドライバーと、辰己英治総監督(写真左から3番目)。
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11/30昨年までと異なり、「自分の愛車で参加できる」ようになったことは大歓迎すべきポイントで、かなり遠方からの参加者も目についた。『スバル マガジン』『SUBARU STYLE』などスバル専門誌のオフ会イベントも同時に開催。BBSやダンロップ、レカロをはじめとする人気パーツブランドや、プローバ、シムスといったスバル車の老舗チューナーのブース出店があったことも、イベントを大規模化したメリットといえる。
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12/30今回のイベントで最も大きかったのは、富士スピードウェイというサーキットが舞台となったため、これまでは展示のみだったレーシングカーやラリーカーのデモランが拝めるようになったことだ。
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13/30「WRX STI NBR」の2019年モデル(写真)は、6月に開催されるニュルブルクリンク24時間レースに出場する。
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14/302019年のニュルブルクリンク24時間レース参戦マシンの改良ポイントとしては、2017年から課題にしてきた熱対策を含めた、耐久性の向上が挙げられている。
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15/30デモラン前のピット。辰己総監督以下、スタッフが慌ただしく出走準備を進める。
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16/30車両のセッティングや路面の状況について意見交換する、辰己英治総監督(写真中央)とカルロ・ヴァンダム選手(右)。
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17/30WRX STI NBR(2019年仕様車)のエンジンルーム。
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18/302019年仕様の「WRX STI NBR」は、ホイールの材質をマグネシウムから、よりしなやかなアルミニウムに変更し、タイヤも温度変化の大きさに対応できるものとするなど、長丁場で安定した走りを実現するための工夫が施されている。
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19/30気迫のこもった走りを披露する「WRX STI NBR」(2019年仕様車)。
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20/30ピットで談笑する2人のドライバー。写真左は「BRZ GT300」をドライブする山内英輝選手で、右は「WRX STI NBR」を駆るカルロ・ヴァンダム選手。
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21/30デモランで使用するタイヤの準備を進めるスタッフ。今季、レースに参戦するディーラーメカニックは8人に増員された。
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22/30SUPER GT参戦マシンの「BRZ GT300」。最新型は、昨シーズン優勝を遂げた菅生での仕様で得られたデータを元に、フロントまわりの空力性能が改善されている。
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23/30真横から見た「BRZ GT300」。張り出したチンスポイラーや大きなリアウイングが目を引く。
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24/30整備中の「BRZ GT300」。「WRX STI NBR」のドライバーであるカルロ・ヴァンダム選手(写真手前)も、興味津々の様子。
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25/30ピットから出て、本コース出走のときを待つ「BRZ GT300」。
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26/30富士スピードウェイのコーナーを駆け抜ける「BRZ GT300」。課題だったパワーユニットの耐久性アップにも力を注いだ結果、2018年に多発したエンジントラブルは解消しつつあるようだ。
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27/30「BRZ GT300」でSUPER GTを戦う井口卓人、山内英輝の両選手はそろって「例年よりも完成度が高い状態で開幕できる」とコメント。シーズン開幕を目前に、確かな手応えを感じているようだ。
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28/30北米市場専売で話題となった「S209」の実車も本邦初公開となった。イベント終盤のパレードランでは本コースを走る貴重な姿も披露され、熱烈なファンの注目を大いに集めた。開発エンジニアの高津益夫氏や森 宏志氏も会場に常駐。ファンがSTIの開発者と直接対話できたという点でも貴重な機会だった。
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29/30長年にわたりSUPER GTやニュルブルクリンク24時間レースの現場に駆けつけるKさんは、ドイツでロシアのスバルファンから譲り受けたというフラッグを振ってイベントを盛り上げた。
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30/30最近免許を取得し、先日初めての愛車「レヴォーグ」が納車されたばかりという若手のスバルファン。「スバル車のオーナーとして誇らしくなるイベントでした!」と熱く語ってくれた。彼にとっても夢のような時間だったに違いない。
「STI MOTORSPORT DAY」は、初の大規模な試みとあって、選手らによるステージでのトークショーとマシンがコースを走るタイミングがかぶってしまったり、物販エリアが大混雑してしまったりと、来場者から不満の声が上がる部分もあった。しかし、集まったスバルファンは、それを補って余りある満足度の高いイベントとして楽しめたことだろう。
不祥事関連の報道や大規模なリコールなど、昨年からネガティブな話題が続いていたなかで、クルマの走行性能の高さを実証する場であるモータースポーツにかけるスバルの意気込みや、選手をはじめモータースポーツに関わる関係者の思いの強さを肌で実感できた内容だった。メーカーの姿勢が形として表れ、それをユーザーに直接伝える場が設けられた意義はとても大きい。ぜひ来年以降も継続的に実施し続けてほしい。