2000台以上の「マツダ・ロードスター」が集結 「ロードスター30周年ミーティング」の会場から
2019.11.06 画像・写真初代にあたる「ユーノス・ロードスター」の誕生から30年を迎えた今年(2019年)、広島県三次市にあるマツダの三次自動車試験場で、「ロードスター30周年ミーティング」が開催された。
普段なら、関係者さえめったに入ることができないマツダの開発拠点のひとつで開かれた今回のイベントだが、主催はマツダではなく、オーナーサイドであるロードスター30周年ミーティング実行委員会。マツダが特別協賛として、会場を提供したことで実現した。
マツダは1999年の10周年、2009年の20周年にも同会場を提供しており、今回が3回目。10年ごとの三次での開催は恒例となっている。台風19号が日本列島を直撃する可能性が非常に高くなったことから中止も危ぶまれたが、当日の三次は、天候に恵まれた暖かな日となった。ただ残念なことに、交通機関への影響や日本各地に大きな爪痕を残したことで、参加を辞退したファンが多かったのも事実。集まったファンも、30周年を一緒に祝えなかった仲間が、大勢いたことに、心を痛めているようでもあった。
そんな寂しい気持ちを払拭(ふっしょく)してくれたのが、オープニングに駆けつけた三次市長だ。サプライズとして、ロードスター30歳おめでとうと「ハッピーバースデー!」を即興で歌ってくれたのだ。終了とともに、ファンたちから大きな歓声と拍手が送られた。特に目立ったコンテンツはなかったが、三次自動車試験場内をバスで巡るツアーは、大人気で瞬く間にチケット配布が終了。さらにオーナー協力による歴代限定車の展示も行われ、幻ともいえる貴重なモデルの姿を見ることもできた。
基本的には、ファン同士や開発チームとの交流がメインのアニバーサリーイベントだったが、それぞれがお互いの愛車を鑑賞したり、開発主査と懇談したりと、楽しく過ごしている様子が印象的だった。ロードスターの30歳を祝う、アットフォームな空気に包まれたイベントの模様を写真とともにお伝えしよう。
(文と写真=大音安弘)
-
1/45ロードスター30周年を祝うために集まった歴代オーナー車の数は、なんと2200台。そのうちの2000台が、会場となるマツダ「三次自動車試験場」敷地内にある高速周回路と第一直線路の2カ所に並べられた。どこまでもロードスターだけが並ぶ景色は、まさに圧巻の一言だ。
-
2/45会場へと向かうロードスターの列。周辺住民に配慮して、試験場への入場はすべて左折のみに……。住人の方々が、沿道で全国より集まるロードスターを鑑賞する姿も見受けられた。マツダが地域で愛されている企業であることが感じられた瞬間であった。
-
3/45続々と三次自動車試験場入りする歴代ロードスター。入場口では、マツダからの応援スタッフや施設の従業員の方々が、「お帰りなさい!」と声をかけ、里帰りしたロードスターとオーナーを温かく迎え入れた。
-
4/45会場となる試験場内は、3500人の来場者でぎっしり。この長蛇の列は、「三次試験場内見学バスツアー」のバスチケット配布を待つファンのもの。普段は入ることができない三次自動車試験場内を見学できるとあって、用意されたチケットは、瞬く間に配布が終了してしまった。
-
5/45メインステージで10時から行われた開会式には、多くのファンが参加。用意された席だけでは足りず、立ち見が出るほどだった。ステージの後方には、参加者の休憩場所として巨大なテントが設置されており、そちらから開会式を見守る人も多かった。
-
マツダ ロードスター の中古車
-
6/45ステージイベントの司会を務めたのは、ロードスター・クラブ・オブ・ジャパン会長の水落正典さんとD1などの実況でも知られる鈴木 学さん。イベント開催を祝して、開会式には、三次市長も駆けつけた。
-
7/45オープニングで、集まったオーナーとファンを歓迎したマツダの丸本 明代表取締役社長。国内だけでなく海外からも多くのファンが集まってくれたことに感謝を述べた。
-
8/45ロードスターオーナー代表として、初代NAの極初期型となる平成元年式をワンオーナーで持ち続けている人たちが登壇。その証しとなる白い帽子は、初代から3代目まで開発を指揮してきた貴島孝雄さんから手渡されたものだ。参加者全員でお茶のペットボトルを片手に乾杯し、ロードスターの30歳を祝った。
-
9/45貴島孝雄さん、山本修弘さん、中山 雅さん、斎藤茂樹さんの、4人のロードスター歴代主査が登壇。オーナーを代表して、水落さんから歴代ロードスターを産んでくれたことへの感謝状が贈呈された。ロードスターの父である初代主査を務めた平井敏彦さんは、体調不良のため、残念ながら欠席。後日、感謝状が届けられることになった。
-
10/45会場での歴代の限定車展示に協力したオーナーたちが登壇し、それぞれの愛車について紹介。あるオーナーは、20周年にも記念展示に参加したが、今回に備え、少しずつ愛車のリフレッシュ作業を続け、ノーマルの状態に戻したという。まさにロードスター愛が感じられたエピソードだ。
-
11/45歴代限定車オーナーの中には、なぜか現役ロードスター開発チームの山口宗則さんの姿が……。今回の限定車展示に協力し、愛車のNDを提供していた。その愛車については、下記でご紹介を。
-
12/45イベント恒例の集合写真では、ファンとロードスター開発主査が参加。よく見ると、NDのデザイナーで、元主査である中山さんの姿が見当たらない。実は、愛車のNAで参加するも、急に愛車の調子が悪くなり、修理をしていたら、集合時間に間に合わなかったとのこと。この後、なんとか応急処置を終え、ファンとの交流を楽しんでいた。
-
13/45特別展示車の目玉は、2019年4月のオートモビル カウンシルでも展示された「クラブレーサー」。1989年のシカゴオートショーに参考出品されたNA型MX-5ベースのコンセプトカー。前後をワイドフェンダー化。ライトも固定式となるなど大幅の変更を受けている。これまで北米で保管されていた貴重なヒストリー車だ。
-
14/45マツダが初代NAを新車同様によみがえらせる「レストアサービス」の完成車も展示。その姿は、工場から出荷されたばかりの新車のようだ。フルメニューだと費用は500万円を超えるが、愛車が出会った日の姿に戻るとあって、今なお多くのレストア希望の声が寄せられている。
-
15/4510周年を記念して、ファンとマツダ関係者がボディーにサインしたNB。車両は、10周年を祝い、発売された10周年記念車仕様となっている。自分や仲間のサインを見つけ出そうと、じっくり観察するファンも多かった。
-
16/4520周年時のサイン車は、ロードスター史上初の電動格納式ルーフを備えたRHTが採用された。
-
17/45こちらのNDのサイン車は、2016年4月に、歴代ロードスター累計生産台数100万台記録達成を記念したもので、日本だけでなく世界を巡り、各国のファンがサインした。これにより「2人乗り小型オープンスポーツカー」生産累計世界一のギネス世界記録が更新されることになった。
-
18/4530周年となる今年も、NDの記念サイン車が用意された。三次会場だけでなく、各地のイベントでもファンによるサインが行われている。
-
19/4530周年記念サイン車に、サインするファン。誰もが感謝の気持ちを込めるように、丁寧にサインをしている姿が印象的であった。
-
20/45大盛況だったマツダのグッズ販売ブース。ロードスター30周年記念グッズに加え、1500円のミニカーが500円で販売されるなど、イベント開催を記念した特価品も見られた。
-
21/45レストアなどを担当するクラシックマツダのブースでは、パーツをすべて外してリペアを行い、マリーナブルーに再塗装したNAロードスターのボディーを展示。ファンは、マツダのレストアよる塗装の仕上げの出来栄えを確認していた。
-
22/45クラシックマツダの取り組みで再供給されるようになったNAロードスターの復刻パーツも展示。ブースでは、新たに「NAロードスターパーツ情報サービス」が開始されることも告知された。これは、レストアでの交換部品を基に、ユーザーがリフレッシュしたい箇所の推奨パーツなどを教えてくれるサービスだ。
-
23/45香港、マレーシア、フィリピンなど、海外からも多くのオーナーズクラブメンバーが来日。写真は、ロードスターアンバサダーの山本修弘さんと記念撮影する、香港のMX-5オーナーズクラブ。
-
24/45高速外周路の外側にある第一直線路にずらりと並べられたロードスター。多くのファンが、集結した歴代ロードスターを鑑賞して楽しんでいた。
-
25/45高速外周路に並べられたロードスター。この外周路を使い、パレードランが行われた。
-
26/45オーナーと交流を図るのは、初代ロードスターの企画を手がけた福田成徳さん。写真は、香港から参加したオーナー。クルマ好きに国境など存在しないのである。
-
27/45歴代ロードスターの開発主査は、多くのファンとの交流を楽しんだ。色紙だけでなく、さまざまなグッズにサインを求められ、快く応じていた。まさにオーナーにとって開発主査は、憧れの存在なのだ!
-
28/45開会式で、参加者にお礼を述べるマツダ副社長執行役員の藤原清志さん。実は、自身もNDロードスターオーナーのひとりだ。
-
29/45イベントの締めくくりとなるパレードランの先導車も、もちろんロードスター。試験場で使用されるNCとNDが用意された。
-
30/45パレードラン参加者に向けて手を振るのは、ロードスターの開発主査たち。帰路につくファンを見送った。
-
31/45パレードランに参加しないファンも、コースサイドで、参加するロードスターのオーナーに向けて手を振る。互いに別れを惜しんでいるようであった。
-
32/45三次自動車試験場の高速外周路をパレードするのは、2000台のロードスター。手を振る白いシャツの人たちは、イベントをサポートしたマツダ社員の方々だ。周回を終えたロードスターから帰路につく。最後の1台が退場するまで2時間以上かかったそうだ。
-
33/45三次試験場でのパレードラン時には、ヘリから航空写真も撮影された。コース上に小さく見えるクルマすべてがロードスターというのだから、規模の大きさを実感させられる。
-
34/45歴代の限定車が大集結する記念展示が実施された。展示車はすべて現オーナーの協力で行われた。わずか数台だったが、台風の影響で参加できなかったクルマがあったのは残念。それでもこれだけの限定車が一堂に会することは、里帰りイベントだからこそ。ここからは、そんな貴重な展示車の一部を抜粋して紹介したい。
-
35/45NA型「Jリミテッド」。ロードスター初の限定モデルで、800台を設定。まぶしいサンバーストイエローが最大の特徴で、大人気に。1.8リッターモデルでも「JリミテッドⅡ」として、復活した人気仕様だ。
-
36/45NA型「M2 1002」。M2というとハイチューンなスポーツモデルを連想させるが、ドレスアップ志向のモデルも存在した。それが1002だ。内外装のドレスアップのみで、ダークブルーメタリックのボディーとホワイトレザーの内装を組み合わせた。上品なロードスターを目指したが、市場の反応はいまひとつ。限定台数300台には到達せずに、販売を終了した。この内装は、他の少量生産の限定車などにも流用されたようだ。このため、特に希少性が高いM2モデルとなっている。
-
37/45NA型「ロードスターCスペック」。マツダスピードが手がけた最強のNAロードスターのコンプリートカーで、限定30台が販売された。エンジンは2リッターまでスープアップされ、最高出力200PS/最大トルク20.5kgf・mを発生。まさに幻の一台である。
-
38/45NB型「ターボ」。海外のモアパワー需要を受けて誕生したシリーズ唯一の過給機付きの量産モデル。最高出力172PS/最大トルク209N・mまで性能向上が図られ、同時に各部も強化およびチューニング。350台の限定だった。今でも人気の高い一台だ。
-
39/45B型「10周年記念車」。イノセントブルーマイカが特徴。限定数が多いにも関わらず、パーツを厳選してエンジンを組むなど、特別な一台であった。また新車購入者には、ミニカー、腕時計、キーホルダーもプレゼントされた。
-
40/45NC型「25周年記念限定車」。25周年を記念した限定車は、国内25台のみと超希少な存在だ。NCに通常は設定されないソウルレッドプレミアムメタリックの外装や、部品を厳選し回転フィールを向上させたエンジンなど、特別仕立てだった。くしくも20周年記念車もNC型がベースであった。
-
41/45ND型「30周年記念限定車」。ソフトトップとRFの両方がそろった。国内では、先に受注の始まった110台限定のソフトトップに購入希望者が殺到。急きょ、RFの販売台数が40台から139台に拡大されることに……。とはいえ、限定3000台の上限に変更はなかったというから、これはマツダが日本のファンの思いに必死で応えた結果だといえる。
-
42/45ND型「クラシックレッド」。期間限定で設定されたボディーカラーで、初代で人気だったクラシックレッドを現代の塗料で再現したもの。意外にも受注台数は少なく、希少とのこと。オーナーは、なんとロードスター開発メンバーのひとり、山口宗則さんだ。
-
43/45ND型「ローンチエディション」。米国にて、1000台限定で発売された導入記念モデル。現オーナーが米国駐在時に、購入した車両を持ち帰ったものだそうだ。ソウルレッドメタリック×タンレザーの内装となる。装備もてんこ盛り仕様だったようだ。
-
44/45「ローンチエディション」の付属品も展示。購入者には、ニット帽、ブランケット、水筒、Bluetoothスピーカーなどがプレゼントされたようだ。米国のユーザーがうらやましく感じたNDオーナーもいたのでは……。
-
45/45輸出仕様であることを示す左ハンドル仕様。日本仕様と異なるのは、ソフトトップにも2リッターエンジンを搭載することだ。安全装備や快適装備も充実している点も特徴。ホイールは17インチ仕様となる。