第18回フィアット・フェスタ2011
2011.06.08 画像・写真2011年6月5日、群馬県の水上高原 宝台樹スキー場で「第18回フィアット・フェスタ2011」が開かれた。このイベントは「走る、見る、触れる楽しさ」という初回から不変のテーマを掲げる、新旧フィアットとその周辺のイタリア車を対象とした、年に一度のお祭りである。プログラムは駐車場に設けた全長約800mのパイロンコースで走行タイムを競う「トロフェオスラローム」をメインに、フリーマーケットやプロショップ/クラブによる展示などで、イタリア車以外も含め、のべ500台以上が会場を訪れにぎわった。「トロフェオスラローム」の出走車両を中心に、場内の光景を紹介しよう。(文と写真=沼田 亨)

「トロフェオスラローム」には40台が参加。出走を待つマシン群。
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「トロフェオスラローム」には40台が参加。出走を待つマシン群。
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第一走者はポップなカラーリングの「MOMOパンダ」(1990年)。ナンバーにふさわしく、Aクラス(1000cc以下)で一番時計(50秒52)を出して優勝。
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きれいな水色に塗られた「アウトビアンキA112アバルト」(1985年)。ナンバーなし、ロールケージを組んだ競技車両である。
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サソリのエンブレムを付けてがんばっていた「フィアット500F」(1970年)。クラスAの4位だが、タイムはトップから1秒ちょっと遅れの51秒63と健闘。
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正規輸入されなかったこともあって、日本での一般的な知名度は低い3代目「チンクエチェント」の、「トロフェオ」と名乗るアバルトが仕立てたラリー用限定車両(1995年)。見た目もロールも派手。
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「がんばろう東北!! がんばろう日本!!」のメッセージを入れた2代目「パンダ」(2005年)。ウィンドウを通してごっついロールケージが見える……。
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と思ったら、「パンダ・ラリー」と呼ばれるメーカー製のカップカーだった。オーナーによれば、ポーランドから輸入したとのこと。ちなみにエンジンはノーマルのSOHC1.2リッターを80ccほど拡大しただけというが、おそらくはマフラーのせいで野太いエグゾーストノートを発していた。
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カップルでダブルエントリーしていた「プントHGT」(2001年)。先代プントの高性能モデルである。派手な出で立ちの多いエントラントのなかでは比較的おとなしい姿だが、走りはけっこう攻めており、Cクラス(2000cc未満)で2位。
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フィアットボディのアバルト伝統のグレーにブルーのストライプがキマった「アバルト500」(2009年)もダブルエントリー。
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土ぼこりを舞い上げてコースを攻めるのは、ルーフに赤白のチェッカー模様をあしらった「アバルト・グランデプント エッセエッセ」(2009年)。
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非常に珍しい「フィアット128ジャンニーニ」(1973年)。1970年のヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤーを獲得したフィアットブランド初のFF車である「128」の高性能版「128ラリー」に、フィアットの小型車を得意としていたチューナー「ジャンニーニ」が手を入れたモデル。タイムは48秒66でCクラス優勝。
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めっちゃシブい「フィアット131レーシング」(1982年)。1974〜84年に作られた、弁当箱のように四角い中型セダン「131」のスポーティバージョンの稀少な正規輸入車。オーナーいわく「どアンダーで、ぜんぜん曲がらない」とのこと。
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「フィアット131アバルト・ラリー」(1976年)。400台が限定生産されたラリー用のホモロゲーションモデルで、ワークスカーはWRCでメイクスタイトルを3度獲得した。カッチョイイ〜。
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クラス「X1/9」で、そして総合でもこの日もっとも速いタイム(44秒98)を記録した「ベルトーネX1/9」(1984年)。見た目は「X1/9」軍団の中でもっともおとなしい部類だったが、ドライバーの腕は確かで、無駄のない走りを披露した。
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ブリスターフェンダーにどでかいウイング、後付け感バリバリで迫力たっぷりの「ベルトーネX1/9」(1984年)。ボディパーツはレーシングカーコンストラクター「ダラーラ」を率いるジャンパオロ・ダラーラがモディファイした「ダラーラX1/9」から型取りしたものだという。エンジンは「ウーノ ターボ」用の1.3リッターターボを搭載。
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クラスD(2000cc以上)のトップタイム(45秒79)を出した、フィアット一族の「ランチア・デルタHFインテグラーレ16Vエボルツィオーネ」(1992年)。
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出走車両のなかでボディ、エンジンともにもっとも大きな「アルファ・ロメオSZ」(1991年)。「クルマは走らせてナンボ」というオーナーがタイトなコースで豪快に振り回して魅せ、しかもクラスDの2位、総合でも3位のタイム(46秒61)を叩き出した。
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「トロフェオスラローム」では午前中に3本の練習走行、午後に3本のタイムアタックが行われた。会場は午前中はまずまずの天気だったが、昼過ぎから時おり雨粒が落ちはじめ、本番の3本目はセミウエットのむずかしいコンディションに。派手にモディファイされた「ベルトーネX1/9」(1984年)も、慎重にスタート。
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「トロフェオスラローム」が無事に終了し、これから表彰式というときに雨が本降りになった。急きょ表彰式は本部テント内で行われたが、上位入賞者はシャンパン代わりのペリエ・ファイトのおかげで、結局のところはびしょ濡れに。それでもテント内は笑いに包まれ、盛り上がった。
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会場には「フィアット・バルケッタ」や新旧「500」など、10台単位でつるんでやってきたチームもあったが、ツーリングの途中に立ち寄ったという感じで滞在時間は短く、気づいたときには姿を消していた。これは街中ではめっきり見かけなくなった黄色い「クーペ・フィアット」。左からノーマル、だいぶいじってる、ちょっといじってる、というトリオである。