第16回:8月16日「リモートアクセス四苦八苦」
2007.05.27 「ユーラシア電送日記」再録第16回:8月16日「リモートアクセス四苦八苦」
『10年10万キロストーリー4』刊行記念!
16回目を迎えた「ユーラシア電送日記」。ロシアを旅する金子さんが、インターネットを使って原稿や写真を送り、約1週間のタイムラグでお送りしています。しかし、彼の地の通信環境は、お世辞にもイイとはいえないようで……。
鍛えられていたハズが
多少の心構えはしていたが、ロシアでこれほどインターネットに接続できないとは。海外取材の度に鍛えられ、リモートアクセスには不自由しなくなったつもりなのに……。
私は仕事柄、海外出張が多い。ホテルの部屋、サーキットやモーターショーのプレスルーム、あるいは観光地や繁華街のインターネットカフェから、自分のパソコンを電話線やLANコードにつないでインターネットに接続。メールを送受信したり、サイトで調べものをしたりすることは、ここ数年の旅の一部であり、日常になっていた、はずだ。
まぁ、そのためにパソコン、デジカメ、各種のコード類と変換プラグ、モデムチェッカー、CD-Rなどを詰め込み、鞄は重くなった。旅先での貴重な時間をネットワークの設定に費やし、便利なはずの装備に逆に不自由にさせられている者を「デジタルスレイブ」と揶揄する表現があることを教わったが、僕も立派な“電脳奴隷”のひとりであることは間違いない。
ロシアで今までネットにアクセスできたのは、ウラジオストクのホテルの客室、スコヴォロジノの郵便局、ウランウデのホテルのビジネスセンター、イルクーツクのホテルの客室などだけである。経由地とその周辺にあるすべてのローミング先(契約プロバイダのアクセスポイント)は、事前に東京から国際電話経由で接続チェック済みなのに、だ。
中央シベリア随一でもダメ
ホテルの部屋からは、チェックイン後に必ずトライしている。しかし、成功することはまれ。しない場合の反応はみんな一緒だった。大きな雑音が聞こえ、モデムの発信音も歪んで聞こえる。もちろん、外線番号有無の確認や、念のためにトーン信号とパルス信号の設定違いなども、順列組み合わせで試みる。
しかし、上記の成功例以外はすべて駄目だった。毎回うまくいくとは期待していないが、中央シベリアを代表する大都市クラスノヤルスク(人口約90万人)随一の、「クラスノヤルスク・ホテル」の客室からはもとより、ビジネスセンターにあるLANコードからもネット接続できないなんて……。
客室の電話機はジャック付きではなく、壁と電話機から直接コードが“生えている”古いタイプなので論外。ビジネスセンターのウィンドウズマシンはインターネットに繋がっており、『webCG』も閲覧できる。だが、そのLANコードを自分のiBookに差し込み、インターネットエクスプローラーを立ち上げても、どこにもアクセスできない。FAX機の電話ジャックをつなげて、ダイヤルアップしてみても雑音だ。
電話経由のダイヤルアップができないのは、たぶん交換機かホテル内の電話システムが古いのだろう。部屋の電話から市外にかける場合は“8”を押し、しばらく待ってから聞こえる「フォーン」というロングトーンの後に、市外局番とそれに続く電話番号を押すことになっている。
ちなみに、ロシアではホテルの部屋に内線番号というものは存在せず、個人宅やオフィス用と同じ桁数の固有電話番号が割り当てられている。だから、部屋の電話案内には、細かな数字が羅列している。(続く)

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