第7回:8月7日「ダート400km(その2)」
2007.05.06 「ユーラシア電送日記」再録第7回:8月7日「ダート400km(その2)」
『10年10万キロストーリー4』刊行記念!
1996年型「トヨタ・カルディナCZ」で、ロシアのウラジオストクから、ポルトガルはロカ岬を目指す! 自動車ジャーナリスト金子浩久による、インターネット経由の旅の日記帳。
激しい上下動
交通検問所の警官の指摘通り、アスファルト舗装路は終わり、ダートが始まった。
はじめは、ダートといってもローラーで踏み固められたばかりのフラットな路面だったが、しだいにギャップが増え、穴だらけになっていく。道幅は、片側2車線道路以上ある。フラットなダートならば、時速100km/hで楽々コーナリングできる楽しい道が、一転して、ハンドルを左右に切って、ギャップや穴を避けながら時速20〜30キロで走らなければならなくなる。
「トヨタ・カルディナ」には、大人3人と3人分の荷物が積んであるので、テールが下がっている。フロントがギャップを避けられても、リアバンパーやエキゾーストパイプなどを擦る。ギャップや穴を避けられないと、14インチという細いタイヤだから、穴に落ち、ショックが激しい。
サスペンションのショックアブソーバーは強い上下動をつねに繰り返しながら走り、ときにはそれを支えきれず、フルバンプする。上下動はあとを引き、つねにクルマは揺すられている。明らかに、サスペンションの許容能力の範囲を越えている。トヨタのエンジニアは、カルディナがこんなに長距離を、こんなに激しい上下動を伴う悪路を行くことになるとは、考えていなかっただろう。
はずれた目論見
「ブラゴヴェンチェンスクからチタの間以外は、道路コンディションはすべていいから大丈夫」
昨年、同じルートをバイクとワンボックスカーで走ったK氏とK氏の証言とは、大幅に違っているじゃないか!
クルマの往来は、10〜15分に1、2台あり、同じカルディナやカローラなどの乗用車がたくさん走っている。しかし、路肩ではパンク修理をしているクルマも多い。
悪路の工事中に基礎部分の石を敷き直しているのだが、角の尖ったものが剥き出しになっている部分がある。気づかず踏み越えて、タイヤのサイドウォールを切り裂かれているラーダも見た。自分たちもいずれああなるのかと考えると、スロットルペダルに乗せた右足も引き気味になってくる。
「やっぱり、最低地上高が高く、タイヤ径の大きなオフロードタイプの4輪駆動車じゃないとダメなのか」
弱気になりかけると、急に気持ちのいい踏み固められたダートが出現して、「背の高いSUVじゃ、こうは気持ちよくコーナリングしないよな」と思い直したりもする。
出発前に東京で地図を見てシミュレーションしたときには、「ブラゴヴェンチェンスク〜スコヴォロジノ」間は499kmのはずだったが、迂回や標識の見間違いによって引き返した分が増えて、総計791kmも走ってしまった。そのうちダートが400kmもあった。「舗装路がほとんど」といい、「距離」といい、目論みがことごとくはずれた1日だった。
(文=金子浩久/写真=田丸瑞穂/2003年8月初出)
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