三菱デリカD:5 Gプレミアム(4WD/CVT)【ブリーフテスト】
三菱デリカD:5 Gプレミアム(4WD/CVT) 2007.03.28 試乗記 ……379万290円総合評価……★★★★
発売から1か月で目標の3倍以上受注するなど、好評が伝えられる新型「デリカD:5」。
別人と見まごうばかりのフルモデルチェンジで、いったいどんなクルマに仕上がったのか? 笹目二朗が吟味した。
すべての面で大きく改善
まるで軍用車のようなイメージもあった旧型に対し、すべての面で内容は大きく改善された。ギラギラ光る顔の化粧を除けば、この手のボックス型SUVとして頼もしさはある。
左右輪への荷重移動が激しく、ちょっと無理をすると転倒しそうな不安さえあった操縦安定性は、まだ完全に心を許せるまでには至らないが、ロールを感じることでドライバーから入力を加減することができる。だが、横風などの外乱には注意が必要か。パリダカなどでの経験が生かされているとは思えない。
資料によれば「2WDと4WDの燃費の差は1%」とあるが、この程度なら誤差のうち。私の経験によれば、切り替え式でも高速道路や長距離での計測では4WDのほうが良かった例も多い。この場合には2WDで走るメリットはほとんどないのだから、センターデフをつけるなりして「フルタイム4WD」化するのが望ましい。高速安定性の面でも好ましいことは明らかだ。
一方で、室内のいろいろな細工は上々。ボックス型ゆえの室内空間は、広く有効に使われている。2列目と3列目の客間の乗り心地は、この手のSUVの中でも秀逸。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
1968年の「デリカトラック」をベースにした、9人乗り商用ワンボックス「デリカコーチ」が祖。「さまざまな走行環境下で、多くの乗員を安全に目的地まで運ぶ」をポリシーに、伝統的にオフロード走破性能を持ち味とするミニバンである。
新型は“ディーファイブ”の名が示すとおり、「デリカ」シリーズの5代目にあたる。13年と長寿だった先代が本格ヨンク「パジェロ」ベースだったのに対し、より今日的なSUV「アウトランダー」を元に開発された。
オフローダー的なキャラクターはそのまま引き継がれており、キャリアなどのオプション群は豊富。
(グレード概要)
基本的な部分、すなわちアウトランダーゆずりの2.4リッター直4エンジン、CVT、電子制御4WD、横滑りを抑制する「ASC」などは全車共通。
「HDDナビゲーションシステム」「左右の電動スライドドア」「パドルシフト(マグネシウム製)」といった装備の有無により、5つのグレードに分かれる。テスト車の「Gプレミアム」は、いわゆる“全部つき”の最上級グレードである。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★
まず、ダッシュボード上面の棚板が前傾斜なのを評価する。この手のクルマは、前が見えそうで見えない。「D:5」は直下を見せようとする心理的意図がある。棚板が居すわって視界の邪魔をしないということ。上下2段で冷暖房まで完備する大型物入れもいい。インパネシフトも良好。コンソール型より足元周辺がすっきり整理されている。
手動パドルはステアリングとともに回らない“固定タイプ”で○。メーターは表示盤がスッキリと見やすいが、周辺の囲いは煩雑だ。中央の収納スペースには貯金箱のような開口部があり、中から間接照明がもれる遊びゴコロも。
2度踏みリリース方式の足踏みサイドブレーキは要改善だ。
(前席)……★★★★
フロアはやや高めで、乗降性の点では★★ながら、Aピラーにアシストグリップあり。シートは座面後傾角があって○。前後長をはじめ、サイドの寸法もややタイトながら、座った時のホールド感は良好。ウォークスルーも可能。背面の両脇に盛り上がるサイドサポートも、でしゃばりすぎない。
フロアは平らでいい。Aピラーはやや邪魔だが、三角窓は大きくドアミラーの場所も的確である。左のアンダーミラーは有効。
(2列目シート)……★★★★
ステップがあり、高めのフロアに対して乗降性を助ける。シートは2対1スプリットで左右別々にスライド。移動量が大きくスペース的にゆったりもできる。座面後傾角は前席より大きく、ブレーキに対しても腰がズレにくく長時間でも疲れは少ないだろう。
左右のひじ掛けも、運転しない身にはらくちん。ヘッドレストも首筋あたりからカバーする長めなもので休める。座面前端が高いので、不要な荷物などを置くスペースともなる。8人乗る時の真ん中3人掛けは窮屈なベルトはあるが、ヘッドレストはない。
(3列目シート)……★★★★
2列目を前にやれば、こちらも左右別々に大きくスライドして、スペース的には十分。ウィンドウガラスが外まで一杯に追いやられているため、横方向のスペースも広い。ホイールハウスが気にならないのは、その上にレールがあり懸垂する形でマウントされるから。
シートそのものはやや平板な作りながら、座り心地はまずまず。ここも3人掛けすると真ん中のヘッドレストは用意されない。背面はリクライニング機構もあり、倒せば頭がリアウィンドウに近くなるものの窮屈ではない。乗り心地も良好な部類。ピッチングにはならずにおさまる。こもり音の類も気にならない。
(荷室)……★★★
3列目もシートが大きくスライドするし、背だけを倒しても上面はフラットだから、抑えのネットを利用すれば小物の大事なものでも収納可能。フロアはフラットでシート下に有効なスペースあり。
バックドアは垂直に近いため開ければ雨の日は屋根になりうる。そして電動のクローザースイッチがあり、操作に力を必要としないし、ゆっくり閉めてくれるので安心。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★
2.4リッター4気筒エンジンは170psと23.0kgmを発生、1.8トンのボディを運ぶのにパワーはまずまず。CVTは高効率に加速を担当するが、発進時に高まるエンジン音は、ややうるさい。
変速はDのままでもパドルが優先し、そのパドルは固定された位置にあるから捜す必要がない。4WDシステムは切り替え式。なぜフルタイム4WDにしないのか疑問。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★
旧型の、高い重心と低いロールセンターによる、“ひっくり返りそうなロール感”はかなり改善され、ロール角そのものは増えたが接地性は向上してきた。ただ、さらなる努力は必要。
硬いだけの荒い乗り心地も改善され、重量を利したフラット感も少し出てきた。車体はガッシリしており剛性感は十分。8人乗りの想定ながら、軽荷重でも乗り心地は損なわれていない。最後尾席の乗り心地も悪くない。
(写真=峰昌宏)
【テストデータ】
報告者:笹目二朗
テスト日:2007年3月1日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2007年型
テスト車の走行距離:5298km
タイヤ:(前)225/55R18(後)同じ(いずれも、グッドイヤー・イーグルLS2)
オプション装備:DVD内蔵後席9インチワイド液晶ディスプレイ=13万6500円/SRSカーテンエアバッグ=8万4000円/コーナーセンサー=4万2000円/ビルトインETCユニット=1万8900円/フロアマット=6万4890円/ボディ色ウォームホワイトパール=3万1500円
形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(6):高速道路(4)
テスト距離:221.7km
使用燃料:28.7リッター
参考燃費:7.72km/リッター

笹目 二朗
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